Geekに恋した2人

べいかー

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運命の人 十

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そして、奏の下に、ある大きな仕事が、舞い込んできた。それは、奏が新人賞をとった出版社の、発行している雑誌の対談特集に、出て欲しい、というものであった。もちろん、最近流行りの、新人作家として出て欲しい、ということである。奏は「自分に務まるのだろうか。」と少々不安になり、決心がつかないでいたが、奈美からの、

「何事も経験だよ。せっかくのチャンスなんだし、その話、受けなよ。」

との励ましの言葉もあり、その依頼を承諾することにした。

 そして奏は、出版社の担当の人から呼び出され、事前の打ち合わせをすることになった。その出版社が入っているビルは、新築なだけあって立派で、高さも十分あり、新人をはねつけるような威圧感と、そんなビルで働いている人たちのプライドの塊のような感覚とを、奏に与えていた。

 奏がビルの中の、打ち合わせをする一室に入ると、そこには担当の人が、座っていた。そして、奏は説明を聞くことになった。

 「森田君、今日はわざわざ来てくれて、ありがとう。今回の対談を、担当させて頂く松田です。どうぞ、よろしくね。」

「はじめまして。森田です。よろしくお願いします。」

「それで、今回対談をしてもらう相手なんだけど、森田君は、モデルの、ユイカちゃんって知ってるかな?」

「えっ、はい。一応知ってます。きれいな人ですよね。」

「そうだね。今回の対談のテーマは、『20代、若き2人の才能』ということにしているんだ。もちろん、対談の内容は自由で、その時、思ったことを口にしてくれていいよ。むしろ、20代の2人の生の声が聞きたいから、そっちの方がいいかな。もちろん、向こうの事務所からのNGなんかもあるけど、常識の範囲内なら、全てOK、ということにしてあるからね。」

「分かりました。自分にできるかどうか自信がないですが、とりあえず頑張りますので、よろしくお願いします。」

「こちらこそ、よろしくね。」




こうして、奏はユイカと出会うことになるのである。
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