Geekに恋した2人

べいかー

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三角関係 八

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 「ではここで、少し話を変えて、2人の学生時代について、訊いてみたいと思います。」

対談の進行役の男性が、そのような質問を発した時、

「奏さんは学生時代、どんな人だったのだろう?」

そう興味を持って、聴いているユイカがいた。

 そして、対談は好きな小説や、1週間の中で、読書をする時間など、本に関する話になり、その後、今ハマっていることなど、20代の2人ならではの、内容で進んでいった。もちろん、こういった仕事に慣れているユイカは、滞りなく自分のことについて話をしていた。しかし、ユイカの心の中は、いつもとは、まるっきり違っていた。

 「奏さんは、どんなことに興味があるんだろう?どうやって、毎日生活しているのかな?奏さんのことを、もっと知りたい!」

「私、奏さんに嫌われてないかな?ちょっと、自分のこと、しゃべり過ぎたかも…。」

気づいたらユイカは、そんなことばかり考えるようになっていた。もちろんこんな、公私混同のようなことは、今までの仕事の中では全くなかったし、ユイカの本意でもない。しかし、1度芽生えたこの思いを、ユイカはどうすることもできなかった。仕事は仕事で頑張らなければいけないが、どうしても、奏さんのことが気になる…。ユイカは、対談中、そんな気持ちであった。

 「さて最後に、今後の2人の、抱負をお願いします。」

「そうですね。僕は、これから作家としてやっていく自信はありませんが、1人でも多くの人に、自分の作品が認められ、また感動を届けられたらいいなと思います。」

「私は、今までやったことのないことも含め、これからもっと、色々なことに挑戦して、自分自身を高めていきたいです。そして、多くの人に、少しでも元気を与えられるように頑張って、微力ですが、社会にも貢献していきたいと思います。」

こうして、対談が終わった。
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