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三角関係 十三
しおりを挟むユイカにとって、今日は運命の日であった。奏に呼び出されたユイカは、待ち合わせの公園へと向かっていた。この日のユイカの服装は、変装用に、前のようにマスクをしていることに加え、伊達眼鏡もしていたが、私服は、ピンヒールにワンピースという、いつものユイカのイメージを思わせるような格好で、それはユイカにとっての、勝負服であった。もちろん、前にレストランに着て行ったような、ボーイッシュな格好も似合っていたが、この日のユイカは、他の追随を許さないような、圧倒的なトップモデルとしてのオーラを、(マスクがあるにも関わらず)醸し出していた。
ユイカが公園に着いた時、既に奏はそこで待っていた。そして、ユイカと奏との会話が、始まった。
「すみません、奏さん。お待たせしてしまって。」
「いえいえ、構わないですよ。僕もさっき来たばかりです。」
「ありがとうございます。それでなんですが…、この間の答え、聞かせてくれないでしょうか?」
「分かりました。僕の出した答え、しっかり聴いてくださいね。
実は僕は、ユイカさんとこうして出会う前から、ユイカさんのファンでした。まあ、ファンと言っても、そんなに熱心なファンではなく、『きれいな人だな。』と思う程度でしたが…、とにかく、ユイカさんのような女性が、僕にとってタイプであることは、間違いありません。
だから、ユイカさんとの対談の仕事が決まった時、僕は心底、嬉しかった。憧れのユイカさんは、実際どんな人なんだろうと、興味津々でした。今考えると、少しミーハーでしたが。
そして、ユイカさんとお会いして、話をして、ユイカさんの人柄を知って、僕は、ユイカさんは何て素敵な人なんだろうと、思うようになりました。ユイカさんはトップモデルだからといって、天狗になったりしていないですよね?それどころか、一生懸命、仕事や自分磨きに打ち込んでいらっしゃる。その姿勢は、素晴らしいと思います。僕も、ユイカさんを見習わなければならない…僕は今、心底そう思っています。そして、異性として見てみても、ユイカさんほど魅力的な女性は、いないと思います。」
「ありがとうございます!じゃあ…」
「ちょっと待ってくださいね。でもやっぱり、僕は…、ユイカさんとお付き合いすることはできません。実は僕には、高校時代から付き合っている、彼女がいます。その彼女は、ユイカさんほど器用で、才能があるわけでもありません。でも、僕にとっては、彼女が1番なんです。だから、その彼女との関係を壊して、他の人と付き合うというのは、僕には考えられません。だから…、本当にごめんなさい。これからは友達として、よろしくお願いします。」
「そうですか…、分かりました。今日は貴重な時間をとってしまい、申し訳ありませんでした。」
「いえいえ。本当に、すみませんでした。」
ユイカは奏の答えを聞いた後、そう言い残し、公園を後にした。そして、奏と別れる時、奏からユイカの姿が見える範囲では、気丈に振る舞っていたが、奏から見えない所に入った瞬間、ユイカの目から、涙が止まらなくなった。その涙は、今流行りの、レンズなしの伊達眼鏡をつたって流れ落ち、また、ユイカはマスクの中から、嗚咽を出さずにはいられなかった。そうやって泣きながら、ユイカは自宅へと、帰っていった。空を見上げれば、そこにはユイカの今の気持ちとは正反対の、快晴の青空が広がっていた。
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