Geekに恋した2人

べいかー

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ジェラシー 四

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 ※ ※ ※ ※

 「私、ユイカさんの質問に、答えることができなかった…。」

 奈美は、自宅へと着いた。そして、自分の部屋に着いた途端、電気もつけずに、布団へとくるまった。

 「ユイカさんは、本当に奏のことが好きなんだろう。それは分かる。だから、私にあんな態度、とったんだ。

 本当のユイカさんは、あんな人じゃないと思う。多分、気立てが良くて、優しくて、みんなから好かれる性格なんだろう。

 だから、ユイカさんが今日したことに対して、私は怒ったりなんかしない。誰だって、好きな人に彼女がいたら、あんな態度、とってしまうものだ。

 ただ…。

 『奏さんがこれから、例えば作家として行き詰まった時に、支えていく自信はあるの?』

 ユイカさんの質問に、私は答えることができなかった。もちろん、ユイカさんは勢いで、この質問をしたんだろう。それは分かってる。でも…。

 一瞬、その質問に怯んでしまった、自分がいた。『私は、奏が本当に苦しい時に、支えになってあげることができるのか?』そのことから、一瞬逃げてしまった、自分がいた。もちろん、私は奏のことが好きだ。だから、奏が苦しい時は、側にいて支えてあげたい。でも、その一瞬は…。ほんの一瞬だけ、私は奏から逃げたんだ。こんなことなら、ユイカさんの言うように、私は奏と付き合う資格は、ないのかもしれない。

 本当に私は、奏にふさわしい女の子なのかな…?」

奈美は、布団の中で、声には出さず、自問自答した。そしてやはり、奈美は布団の中で、声には出さず、泣いていた。
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