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母の話 七
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―それで、お母さんはその大学に入学した時、前にも言ったけど、フランス文学を、専攻しました。そして、亜美子のお父さんも、フランス文学専攻でした。そこで、初めて2人は出会ったの。お母さんとお父さんは、そのフランス文学専攻の、同級生でした。
先に声をかけたのは、…お父さんの方です。私は、昔からフランスは好きだったんだけど、文学やその他のことについては、全然詳しくありませんでした。でも、亜美子のお父さんは、フランスの文学から歴史から、何から何まで詳しくて、私に、色々教えてくれました。そんなお父さんが格好良くて、私は、お父さんに、恋をしてしまいました。
それで、そんな何も知らない私だけど、お父さんは、そんな私のことを、
「かわいい。」
と思ってくれたみたい。それに、これは後から言われたことだけど、
「一生懸命な美香のこと、俺も最初から、好きだったよ。」
とのことで、2人は出会ったそのすぐ後から、両想いでした。
なんか、ノロケ話みたいになっちゃって、ごめんね。
それで、結局お父さんの方から告白されて、2人は付き合うことになりました。それから先は…、楽しかった!2人で流行りの映画を見に行ったり、遊園地に行ったり、ショッピングをしたり…。もちろん、2人でフランス文学の勉強も、いっぱいしました。お父さんは、中でもカミュがお気に入りで、よく、代表作の「異邦人」の良さを、語ってくれました。それで、カミュについて語る時のお父さんの目は、本当にキラキラしていました。その目を見る度に、私は、
「この人と一緒にいられて、私は、本当に幸せだ。」
と、思うことができました。
あと、私は、今の亜美子と同じ、サルトルに少し興味を持ったんだけど、やっぱり、サルトルって難しいわよね。それで、お父さんにいろいろ質問もしたんだけど、お父さんはサルトルについても詳しくて、代表作の「嘔吐」についても、解説してくれました。他には、お父さんは哲学の、フランス現代思想にも詳しくて、サルトルはもちろん、ラカン、レヴィナス、メルロ=ポンティなど、一通りは勉強していて、それについても、熱く語ってくれました。
…ごめんね。お父さんの自慢話みたいになっちゃってるね。でも、亜美子は私たちの子どもだから、まあいいか。
でも、それくらい、他の人に自慢したくなるくらい、お母さんにとってお父さんは、運命の人でした。
それで、一応なんだけど、私たち2人で行った旅行について、話をしておきます。旅行の行き先は…、もちろんフランス!私たちは、有名な観光地の、パリのルーブル美術館や、凱旋門、それにヴェルサイユ宮殿にも行ったんだけど、それだけではありません。他には、サルトルと、サルトルの内縁の妻のボーヴォワールの、お墓参りにも行きました。…かなりマニアックな場所だけど、2人とも、そのお墓の前で、サルトルたちの生前の功績に、思いをはせました。
あと、私たちは、南仏のプロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏にある、ルールマランの、カミュの墓参りにも行きました。パリからは離れていたんだけど、お父さんがどうしても行きたい、って言うから…。それで、私も、お父さんの喜ぶ顔が見たくて、ついて行くことにしました。
その、カミュの墓の前に立った時のお父さんは、本当に神妙な面持ちで、今まで、見たことがないような表情をしていました。それを見て私は、
「この人は、本当にカミュのことを、愛しているんだなあ。」
と、思いました。ちょっと、カミュに妬けちゃうくらいにね。
…それは冗談です。それと、2人ともフランス語を勉強していたので、旅先では、積極的にフランス語を使いました。…って言っても、私は片言しかしゃべれなかったんだけど。でも、お父さんのフランス語はほぼ完璧で、「この人、よく勉強してるなあ。」
と、改めて思いました。亜美子も知っての通り、フランス語は発音が難しいんだけど、その発音も、お父さんはネイティブに近いくらい完璧で、現地の人も、
「すごいですね。」
という、リアクションをしていました。それを見てお母さんは、1人で誇らしく、なっていました。
そんなこんなで、私たちのフランス旅行は、終わりました。私は、フランスに行ったのはそれ1回きりなんだけど、またフランスに、行ってみたいなあ…。
そして、私たちは、大学を卒業して、しばらくしてから、結婚しました。その時は、2人とも、本当に幸せでした。
それと、亜美子の話をするね。亜美子が産まれてきたのは、それからまた数年後のことでした。私たちは結婚したのは早かったけど、2人の間には、なかなか子どもが産まれなかった、ってことになるね。
まあ、そんなこんなで、亜美子が生まれました。亜美子を出産した時、お父さんも病院で立ち会ってくれて、亜美子の泣き声が聞こえた時は、2人で、号泣しました。お父さんの泣き方は、ちょっとオーバーなくらいの号泣で、それを見てお母さん、少し、おかしくなっちゃった。
でも、それだけ、私のことも、産まれてきた亜美子のことも、この人は愛してくれているんだなと思って、私は、改めて幸せになりました。
ちなみに、「亜美子」っていう名前は、2人で考えて、つけました。最初、私たちはフランスにちなんだ名前にしようかな、って考えたんだけど、なかなか良い名前が浮かばなくて…、それで、一旦フランスからは離れよう、ってことになったの。
それで、「心の美しい人に、なって欲しい。」っていう思いから、「美」の文字を入れようってことになりました。あと、「亜」の文字には、
「自分たちのホームである、アジアを愛するようになって欲しい。」
っていう意味が、込められています。何でいきなりアジアかって言うと、私たちは、やっぱりフランスのことを考えてしまって、それで、
「フランスなど世界のことはもちろんだけど、それだけでなく、日本や、アジアのことも考え、愛する人になって欲しい。」
という意味も、亜美子の名前に込めました。
…若干、こじつけのように感じるかもしれないけど、私たちは、真剣に考えて、名前をつけました。だから、亜美子も自分の名前、気に入ってくれたら、嬉しいな。―
先に声をかけたのは、…お父さんの方です。私は、昔からフランスは好きだったんだけど、文学やその他のことについては、全然詳しくありませんでした。でも、亜美子のお父さんは、フランスの文学から歴史から、何から何まで詳しくて、私に、色々教えてくれました。そんなお父さんが格好良くて、私は、お父さんに、恋をしてしまいました。
それで、そんな何も知らない私だけど、お父さんは、そんな私のことを、
「かわいい。」
と思ってくれたみたい。それに、これは後から言われたことだけど、
「一生懸命な美香のこと、俺も最初から、好きだったよ。」
とのことで、2人は出会ったそのすぐ後から、両想いでした。
なんか、ノロケ話みたいになっちゃって、ごめんね。
それで、結局お父さんの方から告白されて、2人は付き合うことになりました。それから先は…、楽しかった!2人で流行りの映画を見に行ったり、遊園地に行ったり、ショッピングをしたり…。もちろん、2人でフランス文学の勉強も、いっぱいしました。お父さんは、中でもカミュがお気に入りで、よく、代表作の「異邦人」の良さを、語ってくれました。それで、カミュについて語る時のお父さんの目は、本当にキラキラしていました。その目を見る度に、私は、
「この人と一緒にいられて、私は、本当に幸せだ。」
と、思うことができました。
あと、私は、今の亜美子と同じ、サルトルに少し興味を持ったんだけど、やっぱり、サルトルって難しいわよね。それで、お父さんにいろいろ質問もしたんだけど、お父さんはサルトルについても詳しくて、代表作の「嘔吐」についても、解説してくれました。他には、お父さんは哲学の、フランス現代思想にも詳しくて、サルトルはもちろん、ラカン、レヴィナス、メルロ=ポンティなど、一通りは勉強していて、それについても、熱く語ってくれました。
…ごめんね。お父さんの自慢話みたいになっちゃってるね。でも、亜美子は私たちの子どもだから、まあいいか。
でも、それくらい、他の人に自慢したくなるくらい、お母さんにとってお父さんは、運命の人でした。
それで、一応なんだけど、私たち2人で行った旅行について、話をしておきます。旅行の行き先は…、もちろんフランス!私たちは、有名な観光地の、パリのルーブル美術館や、凱旋門、それにヴェルサイユ宮殿にも行ったんだけど、それだけではありません。他には、サルトルと、サルトルの内縁の妻のボーヴォワールの、お墓参りにも行きました。…かなりマニアックな場所だけど、2人とも、そのお墓の前で、サルトルたちの生前の功績に、思いをはせました。
あと、私たちは、南仏のプロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏にある、ルールマランの、カミュの墓参りにも行きました。パリからは離れていたんだけど、お父さんがどうしても行きたい、って言うから…。それで、私も、お父さんの喜ぶ顔が見たくて、ついて行くことにしました。
その、カミュの墓の前に立った時のお父さんは、本当に神妙な面持ちで、今まで、見たことがないような表情をしていました。それを見て私は、
「この人は、本当にカミュのことを、愛しているんだなあ。」
と、思いました。ちょっと、カミュに妬けちゃうくらいにね。
…それは冗談です。それと、2人ともフランス語を勉強していたので、旅先では、積極的にフランス語を使いました。…って言っても、私は片言しかしゃべれなかったんだけど。でも、お父さんのフランス語はほぼ完璧で、「この人、よく勉強してるなあ。」
と、改めて思いました。亜美子も知っての通り、フランス語は発音が難しいんだけど、その発音も、お父さんはネイティブに近いくらい完璧で、現地の人も、
「すごいですね。」
という、リアクションをしていました。それを見てお母さんは、1人で誇らしく、なっていました。
そんなこんなで、私たちのフランス旅行は、終わりました。私は、フランスに行ったのはそれ1回きりなんだけど、またフランスに、行ってみたいなあ…。
そして、私たちは、大学を卒業して、しばらくしてから、結婚しました。その時は、2人とも、本当に幸せでした。
それと、亜美子の話をするね。亜美子が産まれてきたのは、それからまた数年後のことでした。私たちは結婚したのは早かったけど、2人の間には、なかなか子どもが産まれなかった、ってことになるね。
まあ、そんなこんなで、亜美子が生まれました。亜美子を出産した時、お父さんも病院で立ち会ってくれて、亜美子の泣き声が聞こえた時は、2人で、号泣しました。お父さんの泣き方は、ちょっとオーバーなくらいの号泣で、それを見てお母さん、少し、おかしくなっちゃった。
でも、それだけ、私のことも、産まれてきた亜美子のことも、この人は愛してくれているんだなと思って、私は、改めて幸せになりました。
ちなみに、「亜美子」っていう名前は、2人で考えて、つけました。最初、私たちはフランスにちなんだ名前にしようかな、って考えたんだけど、なかなか良い名前が浮かばなくて…、それで、一旦フランスからは離れよう、ってことになったの。
それで、「心の美しい人に、なって欲しい。」っていう思いから、「美」の文字を入れようってことになりました。あと、「亜」の文字には、
「自分たちのホームである、アジアを愛するようになって欲しい。」
っていう意味が、込められています。何でいきなりアジアかって言うと、私たちは、やっぱりフランスのことを考えてしまって、それで、
「フランスなど世界のことはもちろんだけど、それだけでなく、日本や、アジアのことも考え、愛する人になって欲しい。」
という意味も、亜美子の名前に込めました。
…若干、こじつけのように感じるかもしれないけど、私たちは、真剣に考えて、名前をつけました。だから、亜美子も自分の名前、気に入ってくれたら、嬉しいな。―
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