王太子妃が我慢しなさい ~姉妹差別を受けていた姉がもっとひどい兄弟差別を受けていた王太子に嫁ぎました~

玄未マオ

文字の大きさ
13 / 51

第13話 嫌がらせへの報復

しおりを挟む
「要するにこういうことですか? 彼女にそれを提供する気もない癖に、アクタラッサの新鮮な魚介類をこれ見よがしに食して見せつけるために呼びつけたと? ほぼ嫌がらせですね」

 ベネットの詰問は続く。

 なんとなく虐めを受けている気がしたがやはりそうだったのか、と、夫ベネットの説明でメルも合点がいった。

「嫌がらせなんて人聞きの悪い、国王陛下もおっしゃったとおり、メルはいつも妹に譲る娘だと聞いて……」

「だからその妹エメをダシにするために家族でもないのに同席させたと?」

 王妃の言い訳にベネットが反論した。

「まあ、いやらしい解釈。顔が醜いと性根まで醜く腐っていくものなのかしら」

 王妃の意地の悪い感想にクレールやエメがくすくすと笑った。

「あの、一言よろしいですか? 両親から私はエメに何でも譲ると聞いたとおっしゃられますが、それは両親の側の都合の良い解釈で、私にとっては嘘です。譲らなければ今の王妃殿下のような意地の悪いことを言われたり、暴力を振るわれたりするので、そうせざるを得なかったわけです」

 メルは王妃の意地の悪さをけん制するかのように発言した。

「ひどいわ、メル。お父様やお母様がメルをひっぱたくのまでばらすなんて」

「ほんとうのことよ、そもそも、あなたが欲張って何でも人の物を欲しがるからなんですけどね」

「まあまあ、泥棒ねこという私の見立ては正しかったわけですか」

 エメとメル、姉妹の言い合いにばあやのサモワが割って入った。

「そもそも、誰のおかげでアクタラッサから毎年、希少な魚介の珍味が献上されていると思っているのですか? 呪いによって生産されている魔石を安価でかの国にゆずりわたしているからでしょう」

 ベネットが再度国王夫妻に指摘した。

「つまり、どうすればいいというのだ……?」

 返す言葉がなくなり、国王はおずおずとベネットの気持ちを尋ねた。

「そうですね。献上品はまだ残っているのでしょう。材料はちゃんと残っているのにあたかも切らしたごとく言い訳をして、我が妻にこのような嫌がらせをするとは!」

「……っう……」

「今ある食事はどうぞ、そこにいる方々でお楽しみください。残ったものはみなメルの食事で使わせていただきます。それでよろしいですね」

 国王はうなづくしかなかった。

 しかし王妃や弟妹達は異を唱えた。

「ちょっと待ちなさい。たかだか一回、この娘に同じものを提供しなかったからって……」
「そうよ、毎年楽しみにしているのに……」
「他にも食べたいものはあったのに、何もそこまで……」

「ならば、なぜ我が妻のメルにこんな底意地の悪い仕打ちをしたんだ?」

「いや、だからさ……」

「あの、少しよろしいですか?」

 ベネットと他の王族との言い合いに再びメルが割って入った。

「先ほどベネット様がおっしゃった、献上品の食材はみな私の食事にとのお話ですが、私だけにそのようなことをされるのはもったいなさすぎて……」

 ベネットの厳しい懲罰的な提案に面食らっていた王家の面々はメルの発言に救いを感じた、しかし、

「私だけではなく、私とベネット様のお食事に使わせていただく、と、言うことにいたしましょう。たいそう美味との話ですので一緒に食べた方が美味しゅうございますよ」

 彼女の発言は王家の面々の期待に即したものではなかった。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

地味令嬢を見下した元婚約者へ──あなたの国、今日滅びますわよ

タマ マコト
ファンタジー
王都の片隅にある古びた礼拝堂で、静かに祈りと針仕事を続ける地味な令嬢イザベラ・レーン。 灰色の瞳、色褪せたドレス、目立たない声――誰もが彼女を“無害な聖女気取り”と笑った。 だが彼女の指先は、ただ布を縫っていたのではない。祈りの糸に、前世の記憶と古代詠唱を縫い込んでいた。 ある夜、王都の大広間で開かれた舞踏会。 婚約者アルトゥールは、人々の前で冷たく告げる――「君には何の価値もない」。 嘲笑の中で、イザベラはただ微笑んでいた。 その瞳の奥で、何かが静かに目覚めたことを、誰も気づかないまま。 翌朝、追放の命が下る。 砂埃舞う道を進みながら、彼女は古びた巻物の一節を指でなぞる。 ――“真実を映す者、偽りを滅ぼす” 彼女は祈る。けれど、その祈りはもう神へのものではなかった。 地味令嬢と呼ばれた女が、国そのものに裁きを下す最初の一歩を踏み出す。

婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。

拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

学園首席の私は魔力を奪われて婚約破棄されたけど、借り物の魔力でいつまで調子に乗っているつもり?

今川幸乃
ファンタジー
下級貴族の生まれながら魔法の練習に励み、貴族の子女が集まるデルフィーラ学園に首席入学を果たしたレミリア。 しかし進級試験の際に彼女の実力を嫉妬したシルヴィアの呪いで魔力を奪われ、婚約者であったオルクには婚約破棄されてしまう。 が、そんな彼女を助けてくれたのはアルフというミステリアスなクラスメイトであった。 レミリアはアルフとともに呪いを解き、シルヴィアへの復讐を行うことを決意する。 レミリアの魔力を奪ったシルヴィアは調子に乗っていたが、全校生徒の前で魔法を披露する際に魔力を奪い返され、醜態を晒すことになってしまう。 ※3/6~ プチ改稿中

【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした

きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。 全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。 その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。 失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。

お言葉ですが今さらです

MIRICO
ファンタジー
アンリエットは祖父であるスファルツ国王に呼び出されると、いきなり用無しになったから出て行けと言われた。 次の王となるはずだった伯父が行方不明となり後継者がいなくなってしまったため、隣国に嫁いだ母親の反対を押し切りアンリエットに後継者となるべく多くを押し付けてきたのに、今更用無しだとは。 しかも、幼い頃に婚約者となったエダンとの婚約破棄も決まっていた。呆然としたアンリエットの後ろで、エダンが女性をエスコートしてやってきた。 アンリエットに継承権がなくなり用無しになれば、エダンに利などない。あれだけ早く結婚したいと言っていたのに、本物の王女が見つかれば、アンリエットとの婚約など簡単に解消してしまうのだ。 失意の中、アンリエットは一人両親のいる国に戻り、アンリエットは新しい生活を過ごすことになる。 そんな中、悪漢に襲われそうになったアンリエットを助ける男がいた。その男がこの国の王子だとは。その上、王子のもとで働くことになり。 お気に入り、ご感想等ありがとうございます。ネタバレ等ありますので、返信控えさせていただく場合があります。 内容が恋愛よりファンタジー多めになったので、ファンタジーに変更しました。 他社サイト様投稿済み。

透明な貴方

ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
 政略結婚の両親は、私が生まれてから離縁した。  私の名は、マーシャ・フャルム・ククルス。  ククルス公爵家の一人娘。  父ククルス公爵は仕事人間で、殆ど家には帰って来ない。母は既に年下の伯爵と再婚し、伯爵夫人として暮らしているらしい。  複雑な環境で育つマーシャの家庭には、秘密があった。 (カクヨムさん、小説家になろうさんにも載せています)

モブで可哀相? いえ、幸せです!

みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。 “あんたはモブで可哀相”。 お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?

処理中です...