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第40話 王宮を出る
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「私が王宮を去ると同時にクレールの立太子が発表されるでしょう。それに伴いメル殿がどのような選択をなされようとも、私は支持することにいたします。まあ、その頃には私は遠くにいるのですけどね」
ではお元気で、と、二人は挨拶をしあい、オーブリーは部屋を出て言った。
この件をメルがベネットに告げると意外そうな顔つきをした。
「ベネット様にはあいさつはなかったのですか?」
「そういう兄弟でもなかったからね。でも、そんなオーブリーの心をときほぐして素直にさせるなんてメルはすごいな」
ベネットの素直な誉め言葉にメルは照れた。
「たぶん、義理の姉と弟という他人に近い間柄だからうまくいったのかも。私だって実の姉妹のエメとはそんな風に分かり合えるような気はしませんからね」
そう、メルの妹エメとベネットの弟クレールとの婚約発表はすぐ近くに迫っている。
「ああ、いよいよだ、もう一度聞くけど、後悔しないの?」
「するわけないでしょ!」
「ああ、このことを聞くたびにドキドキする」
「私の気持ちは変わりませんから、慣れてください」
メルはベネットに太いくぎを刺した。
それからしばらくして、王太子ベネットは健康状態が芳しくないので第三王子クレールにその座を譲り地方の離宮に隠棲することと、さらにクレールとエメの婚約も発表された。
「どういうことだ、メル、離婚しないなどと!」
ベネットと一緒に離宮へ行くというメルの話を聞いた両親が激怒した。
「話が違うわ、王太子妃として面倒な業務はすべて引き受けてくれるってきいていたのに」
エメも恨めし気にメルを責めた。
「どうして王太子妃を辞した私が引き続きその仕事をしなければならないのですか?」
メルは家族に逆質問した。
「家族なんだから助け合うのは当然だろう!」
「私はベネット様の元に嫁ぎました。ですから私の今の家族はベネット様です!」
「離婚だ、離婚!」
「国王陛下は、離婚は『してもいい』とおっしゃいましたが、『しなければならない』とはおっしゃっておられません。そして私とベネット様は話し合って離婚はしないと決めたのです」
「正気の沙汰じゃない!」
「どう解釈されても結構です!」
メルは頑として折れない。
メルを離婚させた後、妹エメの影として王太子妃の面倒な仕事を押し付けようとした侯爵家の面々の胸算用は大きく外れた。
「あなた方はいつも私よりエメの方を優れた存在として扱ってきたじゃありませんか? その私でもできたのですから、エメだったらさぞ立派に王太子妃としての義務を果たしてくれるでしょう」
最後の捨て台詞、侯爵家の面々にメル気持ちを変えさせるための言葉は残っていない。
「ふん、まあいい」
父親のファヴォリティス侯爵は吐き捨てるようにつぶやいた。
「あなた、よろしいのですか?」
「そんな……」
母親とエメが言う。
「いいんだ、化け物との人里離れた土地での暮らしなど長く耐えられるわけがない。泣きついて帰ってきたときに徹底的に言い聞かせてやる」
そう言い捨てて、父親をはじめ公爵家の面々は去っていった。
メルとベネットの王宮を去る日も近づき、コッソリ忍び込んだレナートやテティスも引っ越しの協力をする。
「新たな王太子夫妻に子が生まれるまでのしばらくの間は離宮暮らしだな」
レナートが言った。
「あの、そのことについてなんですけど、私に考えがあるのです」
メルが何事かを提案しようとした。
ではお元気で、と、二人は挨拶をしあい、オーブリーは部屋を出て言った。
この件をメルがベネットに告げると意外そうな顔つきをした。
「ベネット様にはあいさつはなかったのですか?」
「そういう兄弟でもなかったからね。でも、そんなオーブリーの心をときほぐして素直にさせるなんてメルはすごいな」
ベネットの素直な誉め言葉にメルは照れた。
「たぶん、義理の姉と弟という他人に近い間柄だからうまくいったのかも。私だって実の姉妹のエメとはそんな風に分かり合えるような気はしませんからね」
そう、メルの妹エメとベネットの弟クレールとの婚約発表はすぐ近くに迫っている。
「ああ、いよいよだ、もう一度聞くけど、後悔しないの?」
「するわけないでしょ!」
「ああ、このことを聞くたびにドキドキする」
「私の気持ちは変わりませんから、慣れてください」
メルはベネットに太いくぎを刺した。
それからしばらくして、王太子ベネットは健康状態が芳しくないので第三王子クレールにその座を譲り地方の離宮に隠棲することと、さらにクレールとエメの婚約も発表された。
「どういうことだ、メル、離婚しないなどと!」
ベネットと一緒に離宮へ行くというメルの話を聞いた両親が激怒した。
「話が違うわ、王太子妃として面倒な業務はすべて引き受けてくれるってきいていたのに」
エメも恨めし気にメルを責めた。
「どうして王太子妃を辞した私が引き続きその仕事をしなければならないのですか?」
メルは家族に逆質問した。
「家族なんだから助け合うのは当然だろう!」
「私はベネット様の元に嫁ぎました。ですから私の今の家族はベネット様です!」
「離婚だ、離婚!」
「国王陛下は、離婚は『してもいい』とおっしゃいましたが、『しなければならない』とはおっしゃっておられません。そして私とベネット様は話し合って離婚はしないと決めたのです」
「正気の沙汰じゃない!」
「どう解釈されても結構です!」
メルは頑として折れない。
メルを離婚させた後、妹エメの影として王太子妃の面倒な仕事を押し付けようとした侯爵家の面々の胸算用は大きく外れた。
「あなた方はいつも私よりエメの方を優れた存在として扱ってきたじゃありませんか? その私でもできたのですから、エメだったらさぞ立派に王太子妃としての義務を果たしてくれるでしょう」
最後の捨て台詞、侯爵家の面々にメル気持ちを変えさせるための言葉は残っていない。
「ふん、まあいい」
父親のファヴォリティス侯爵は吐き捨てるようにつぶやいた。
「あなた、よろしいのですか?」
「そんな……」
母親とエメが言う。
「いいんだ、化け物との人里離れた土地での暮らしなど長く耐えられるわけがない。泣きついて帰ってきたときに徹底的に言い聞かせてやる」
そう言い捨てて、父親をはじめ公爵家の面々は去っていった。
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「新たな王太子夫妻に子が生まれるまでのしばらくの間は離宮暮らしだな」
レナートが言った。
「あの、そのことについてなんですけど、私に考えがあるのです」
メルが何事かを提案しようとした。
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