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第1章 悪役令嬢の婚約
第7話 歴史の勉強を始めよう
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私の投げた質問に父は顔をしかめた。
それは『不愉快』というよりも、どう説明したらいいのか、と、言葉を探しているようだった。
ヴェルダートルはヴァイスハーフェンと同じく公爵位を持っていた家である。
しかし、一人娘が病気で儚く逝ったあと、両親は養子をとって家を存続させることもせず、後を追うようにして亡くなった。
そしてヴェルダートルは絶家となった。
少なくとも私はそう聞いている。
しかし、先ほどの王宮での父のセリフを反芻すると、どうもそれだけではない何かがありそうである。
「私はまだ子供ですが、大人の複雑な話も理解することはできます」
そう、前世に存在した有名なアニメの主人公じゃないけど、私は今『見た目は子供頭脳は大人』状態なのだ。
子供だからわからないなどと思ってもらっちゃ困る。
父は身を乗り出し私の頭をなでながら言う。
「さすがは私の娘だ。王侯貴族の複雑な事情を知れば、利発さゆえ頭では理解できても心が委縮してしまうのではと心配で、真実を話すのはもう少し先の方がよいと思っていたのだが……」
「覚悟はできています。王太子妃、さらに王妃になるということは国全体を背負うということですから、過去にあった出来事で委縮などしていられません」
私の返事に父は目を細める。
「そうか、ならばお前が知らなかったこと、疑問に思ったことにできる限り答えよう。その前に歴史の勉強を一からやり直そうか」
「へっ?」
父の唐突な提案に私は目を白黒させた。
◇ ◇ ◇
今から話すのはこの国の初等教育で教えられる歴史の話。
中興の祖と言われる第十代ゼーンハルト王がまだ王子だった頃。
エルフは元より魔物など人外なものが多く徘徊する森が、今より小規模な王都を囲むように広がっていた。
その森に狩りや有害な魔物排除の目的で時々人間も入っていくことがあり、お付きの者とはぐれた王子はエルフの娘ミューレアと出会い恋に落ちた。
紆余曲折あったが、王子とエルフの娘は結ばれ、その後二人はいつまでも幸せに、と、いいたいところ、悩み事として、お二人の間にはなかなか子ができなかった。
種族が違うと子もできにくいのか?
おそらく生まれ育った森を出て人間たちの国にやって来たことへの不適応、いわゆる「ストレス」もあったのだろう。
しかし十年後、その時にはもう王子は国王となっていたが、お二人の間についに待望の御子が、そう、ミューレア王妃が懐妊したのだ。
国民たちも喜び、そして期待した、後継ぎの王子を。
しかし生まれたのは王女様。
◇ ◇ ◇
「どうしてこの時代からのお勉強なの?」
私は父に聞いた。
「我が国の王侯貴族は皆エルフの王妃ミューレアの血を引いてる。そこをちゃんと抑えなければあとの話ができないからね」
父はそう答えた。
それは『不愉快』というよりも、どう説明したらいいのか、と、言葉を探しているようだった。
ヴェルダートルはヴァイスハーフェンと同じく公爵位を持っていた家である。
しかし、一人娘が病気で儚く逝ったあと、両親は養子をとって家を存続させることもせず、後を追うようにして亡くなった。
そしてヴェルダートルは絶家となった。
少なくとも私はそう聞いている。
しかし、先ほどの王宮での父のセリフを反芻すると、どうもそれだけではない何かがありそうである。
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そう、前世に存在した有名なアニメの主人公じゃないけど、私は今『見た目は子供頭脳は大人』状態なのだ。
子供だからわからないなどと思ってもらっちゃ困る。
父は身を乗り出し私の頭をなでながら言う。
「さすがは私の娘だ。王侯貴族の複雑な事情を知れば、利発さゆえ頭では理解できても心が委縮してしまうのではと心配で、真実を話すのはもう少し先の方がよいと思っていたのだが……」
「覚悟はできています。王太子妃、さらに王妃になるということは国全体を背負うということですから、過去にあった出来事で委縮などしていられません」
私の返事に父は目を細める。
「そうか、ならばお前が知らなかったこと、疑問に思ったことにできる限り答えよう。その前に歴史の勉強を一からやり直そうか」
「へっ?」
父の唐突な提案に私は目を白黒させた。
◇ ◇ ◇
今から話すのはこの国の初等教育で教えられる歴史の話。
中興の祖と言われる第十代ゼーンハルト王がまだ王子だった頃。
エルフは元より魔物など人外なものが多く徘徊する森が、今より小規模な王都を囲むように広がっていた。
その森に狩りや有害な魔物排除の目的で時々人間も入っていくことがあり、お付きの者とはぐれた王子はエルフの娘ミューレアと出会い恋に落ちた。
紆余曲折あったが、王子とエルフの娘は結ばれ、その後二人はいつまでも幸せに、と、いいたいところ、悩み事として、お二人の間にはなかなか子ができなかった。
種族が違うと子もできにくいのか?
おそらく生まれ育った森を出て人間たちの国にやって来たことへの不適応、いわゆる「ストレス」もあったのだろう。
しかし十年後、その時にはもう王子は国王となっていたが、お二人の間についに待望の御子が、そう、ミューレア王妃が懐妊したのだ。
国民たちも喜び、そして期待した、後継ぎの王子を。
しかし生まれたのは王女様。
◇ ◇ ◇
「どうしてこの時代からのお勉強なの?」
私は父に聞いた。
「我が国の王侯貴族は皆エルフの王妃ミューレアの血を引いてる。そこをちゃんと抑えなければあとの話ができないからね」
父はそう答えた。
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