44 / 167
第3章 いよいよゲーム開始
第43話 王太子はストーカー
しおりを挟む
変身魔法の初歩、見た目性別を変える技だと、ベースが自分なので少々線の細い若い男性になる。
しかし、市井の中で私の容姿を知っている人はいない。
だから無問題。
男性として相談の場に立ちあったらどうだろう?
相談役として雇い入れたのは温和な聞き上手のおじさん。
男装して相談所に来た日は彼の横で相談者の話に耳を傾けることにした。
研修中の者が立ち会っているということにしたらそれほど不審がられることはなかった。
人によってはもっと若い人物や女性の方が話しやすいケースもあるので、いずれ一人で顧客の相談にも乗れるようになりたい。
高位貴族の生活しか知らない身ゆえ市井の者たちの相談内容は常に新しい発見があり、私にとっては非常に興味深かった。それゆえ、学園が休みの日には必ず相談所に足を延ばすようになった。
しかし、それを少々やりすぎたようだ。
休日のたびにジークのお誘いを断ってしまっていた。
よくよく考えてみれば、私の仕事も肩代わりしてくれていたジークなのに……。
エミールのことを批判できないな。
そしてついにばれてしまった。
いやはや、ジークも変身魔法を使って相談者のふりをしてやってきたのだよ。
彼は性別ではなく見た目の年齢を変える魔法で老人のふりをしぼろをまとってやってきた。
「できればお若い方に話を聞いていただきたいのですがな。その、相談したいのが若い者の気持ちに関わることですので……」
老人にそう言われ、常駐しているおじさんことエクレレ氏は退出した。
初めてのご指名にドキドキしながら私は老人の正面に腰かけた。
すると老人は口を押さえてくすくす笑い出す。
何か不自然なところでもあったのだろうか?
「よく化けているけど、僕の目はごまかせないね、サラ」
見た目老人の御仁から聞きなれた声が響いてきた。
「えっ、ジーク!」
「あたり、変身術はうまくできているけど、光による看破術を身に着けている僕にとっては児戯にひとしい!」
光属性が強い人間は騙されにくいとよく言われる。
全てのことを白日の下にさらすのが能力の基本とされる光得意の人間は、直観的に他人の嘘を見破ったり、発言の矛盾を突いたりするのにもたけている。
また、他の者が使った魔法の種類を見破る「看破術」というのは光属性の人間が得意な技だ。
「僕の誘いを断って休日のたびに何をやっているのかと思ったらまさかこんなことをしていたなんて」
ジークはニコニコと笑った。
あのね、王太子自らストーカー、もとい、刑事や探偵のようなまねをするか?
疑惑を抱いたなら、部下に後をつけさせるのが普通でしょうが!
いや、それはそれで、こっちとしては困るのですけどね。
しかし、市井の中で私の容姿を知っている人はいない。
だから無問題。
男性として相談の場に立ちあったらどうだろう?
相談役として雇い入れたのは温和な聞き上手のおじさん。
男装して相談所に来た日は彼の横で相談者の話に耳を傾けることにした。
研修中の者が立ち会っているということにしたらそれほど不審がられることはなかった。
人によってはもっと若い人物や女性の方が話しやすいケースもあるので、いずれ一人で顧客の相談にも乗れるようになりたい。
高位貴族の生活しか知らない身ゆえ市井の者たちの相談内容は常に新しい発見があり、私にとっては非常に興味深かった。それゆえ、学園が休みの日には必ず相談所に足を延ばすようになった。
しかし、それを少々やりすぎたようだ。
休日のたびにジークのお誘いを断ってしまっていた。
よくよく考えてみれば、私の仕事も肩代わりしてくれていたジークなのに……。
エミールのことを批判できないな。
そしてついにばれてしまった。
いやはや、ジークも変身魔法を使って相談者のふりをしてやってきたのだよ。
彼は性別ではなく見た目の年齢を変える魔法で老人のふりをしぼろをまとってやってきた。
「できればお若い方に話を聞いていただきたいのですがな。その、相談したいのが若い者の気持ちに関わることですので……」
老人にそう言われ、常駐しているおじさんことエクレレ氏は退出した。
初めてのご指名にドキドキしながら私は老人の正面に腰かけた。
すると老人は口を押さえてくすくす笑い出す。
何か不自然なところでもあったのだろうか?
「よく化けているけど、僕の目はごまかせないね、サラ」
見た目老人の御仁から聞きなれた声が響いてきた。
「えっ、ジーク!」
「あたり、変身術はうまくできているけど、光による看破術を身に着けている僕にとっては児戯にひとしい!」
光属性が強い人間は騙されにくいとよく言われる。
全てのことを白日の下にさらすのが能力の基本とされる光得意の人間は、直観的に他人の嘘を見破ったり、発言の矛盾を突いたりするのにもたけている。
また、他の者が使った魔法の種類を見破る「看破術」というのは光属性の人間が得意な技だ。
「僕の誘いを断って休日のたびに何をやっているのかと思ったらまさかこんなことをしていたなんて」
ジークはニコニコと笑った。
あのね、王太子自らストーカー、もとい、刑事や探偵のようなまねをするか?
疑惑を抱いたなら、部下に後をつけさせるのが普通でしょうが!
いや、それはそれで、こっちとしては困るのですけどね。
1
あなたにおすすめの小説
落ちこぼれ公爵令息の真実
三木谷夜宵
ファンタジー
ファレンハート公爵の次男セシルは、婚約者である王女ジェニエットから婚約破棄を言い渡される。その隣には兄であるブレイデンの姿があった。セシルは身に覚えのない容疑で断罪され、魔物が頻繁に現れるという辺境に送られてしまう。辺境の騎士団の下働きとして物資の輸送を担っていたセシルだったが、ある日拠点の一つが魔物に襲われ、多数の怪我人が出てしまう。物資が足らず、騎士たちの応急処置ができない状態に陥り、セシルは祈ることしかできなかった。しかし、そのとき奇跡が起きて──。
設定はわりとガバガバだけど、楽しんでもらえると嬉しいです。
投稿している他の作品との関連はありません。
カクヨムにも公開しています。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
社畜の私は異世界でも社畜精神が残ったままだった
木嶋うめ香
恋愛
貴族学園の小さな部屋で、私は一人書類仕事に追われていた。
今日も寮には帰れそうにない、机の上には大量の未処理の書類。
せめて空腹を紛らわそうと、ビスケットを鞄から取り出し水を汲んでこようとして立ち上がった途端、視界が暗くなり倒れた。
床に倒れた反動で、頭を床にぶつける。
その衝撃で思い出した、私は前世ブラック企業に勤めていた社畜で、二十三連勤サービス残業付きの末、体調を崩し亡くなったアラサー営業職だった。
他サイトでもアップしています。
不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。
桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。
戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。
『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。
※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。
時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。
一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。
番外編の方が本編よりも長いです。
気がついたら10万文字を超えていました。
随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!
【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています
きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...
昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ
蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。
とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。
どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。
など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。
そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか?
毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。
婚約破棄のその場で転生前の記憶が戻り、悪役令嬢として反撃開始いたします
タマ マコト
ファンタジー
革命前夜の王国で、公爵令嬢レティシアは盛大な舞踏会の場で王太子アルマンから一方的に婚約を破棄され、社交界の嘲笑の的になる。その瞬間、彼女は“日本の歴史オタク女子大生”だった前世の記憶を思い出し、この国が数年後に血塗れの革命で滅びる未来を知ってしまう。
悪役令嬢として嫌われ、切り捨てられた自分の立場と、公爵家の権力・財力を「運命改変の武器」にすると決めたレティシアは、貧民街への支援や貴族の不正調査をひそかに始める。その過程で、冷静で改革派の第二王子シャルルと出会い、互いに利害と興味を抱きながら、“歴史に逆らう悪役令嬢”として静かな反撃をスタートさせていく。
私ですか?
庭にハニワ
ファンタジー
うわ。
本当にやらかしたよ、あのボンクラ公子。
長年積み上げた婚約者の絆、なんてモノはひとっかけらもなかったようだ。
良く知らんけど。
この婚約、破棄するってコトは……貴族階級は騒ぎになるな。
それによって迷惑被るのは私なんだが。
あ、申し遅れました。
私、今婚約破棄された令嬢の影武者です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる