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7.言葉の魔術師 サイコパス
①
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「中川」
――み、三重野……! 王子様、キラキラしてる!
二社合同プロジェクトの第2回目会議が終わり、オフィスの自席に戻ろうとすると後ろから三重野に呼び止められた。爽やか笑顔が眩しい。
「今日のプレゼンの資料、すごく見やすかったよ。イベントに参加してくれる企業さんも増えると思う」
「ありがとう、頑張って作った甲斐があったよ」
――やっと、三重野と話せる! しかも、三重野が俺を褒めてくれてる!
我ながらすごいデレデレした顔をしてると思うけど、もうそんなの隠してられるわけもなくて、俺はルンルン気分で三重野にお礼を言った。
ああ、でも、このままだと会話が続かないかも。何話したら良いんだか。このあと、飲みに行くとか誘ってもいいのか?
「再会してからずっと思ってたんだけど、中川、高校のときより、ちょっと背伸びたよな?」
「そ、そうかな?」
にへっと笑う三重野に戸惑って、そんなふうに答えるけど、実はちょっとだけ背は伸びている。まだまだ三重野との身長差はあるけど。
「なんか、少し体格もしっかりした気がするし」
「……っ」
――ひぇっ、三重野が俺の肩とか腕とか触ってる……! ぜんぜんいいけど、どんなサービスですか! 神様!
突然、自然な動きで三重野の大きな両手が伸びてきて、ドキマギした。好きな人に触れられるのはまずいって。心臓、いや、心が爆発しそうだ。
「あ、ごめん、普通にセクハラだったわ」
ははっ、と笑って三重野が手を離す。ちょっと名残惜しいとか思ってしまった。三重野はノンケだし、叶うことはないんだろうけど、付き合えたらとか期待してしまう。望みがあるなら、って。嫌いだったら、触れてきたりしないだろうし。
やっぱり、今夜、飲みに誘って――
「響くん」
後ろから明るい声がした。
「はい?」
反射的に振り返る。宇佐神さんが笑顔で立っていた。しかも俺の鞄と自分の鞄を持っている。そして、
「帰るよ」
表情を変えることなく、俺の腕を掴んで自分のほうに引き寄せる。ちょっと、強引なんですけど?
「先輩、いつのまにか、中川と仲良くなったんですね」
そう言う三重野は爽やか笑顔だ。心から純粋に思ってる顔。
「うん、仲良く出来て嬉しいよ。それじゃあ、お疲れ様」
宇佐神さんは明るい声で答えて、俺の腕を引き、エレベーターへと向かった。
「ちょ、ちょっと、なんなんすか。俺、まだ三重野と話して――」
「今夜はこれから天気が悪くなるから、早く帰ったほうがいい」
いつもと同じニコニコしてるけど、なんか棘がある気するのなんでなん? おかげで三重野に「おつかれ」って挨拶出来なかったんですけど?
「そっすか……」
天気の話されたら、それ以外に何も話せないし、俺はムスッと答えて大人しく宇佐神さんとエレベーターに乗った。
そして、事件は宇佐神さんと俺が住んでいるマンションのポスト前で起きた。
――み、三重野……! 王子様、キラキラしてる!
二社合同プロジェクトの第2回目会議が終わり、オフィスの自席に戻ろうとすると後ろから三重野に呼び止められた。爽やか笑顔が眩しい。
「今日のプレゼンの資料、すごく見やすかったよ。イベントに参加してくれる企業さんも増えると思う」
「ありがとう、頑張って作った甲斐があったよ」
――やっと、三重野と話せる! しかも、三重野が俺を褒めてくれてる!
我ながらすごいデレデレした顔をしてると思うけど、もうそんなの隠してられるわけもなくて、俺はルンルン気分で三重野にお礼を言った。
ああ、でも、このままだと会話が続かないかも。何話したら良いんだか。このあと、飲みに行くとか誘ってもいいのか?
「再会してからずっと思ってたんだけど、中川、高校のときより、ちょっと背伸びたよな?」
「そ、そうかな?」
にへっと笑う三重野に戸惑って、そんなふうに答えるけど、実はちょっとだけ背は伸びている。まだまだ三重野との身長差はあるけど。
「なんか、少し体格もしっかりした気がするし」
「……っ」
――ひぇっ、三重野が俺の肩とか腕とか触ってる……! ぜんぜんいいけど、どんなサービスですか! 神様!
突然、自然な動きで三重野の大きな両手が伸びてきて、ドキマギした。好きな人に触れられるのはまずいって。心臓、いや、心が爆発しそうだ。
「あ、ごめん、普通にセクハラだったわ」
ははっ、と笑って三重野が手を離す。ちょっと名残惜しいとか思ってしまった。三重野はノンケだし、叶うことはないんだろうけど、付き合えたらとか期待してしまう。望みがあるなら、って。嫌いだったら、触れてきたりしないだろうし。
やっぱり、今夜、飲みに誘って――
「響くん」
後ろから明るい声がした。
「はい?」
反射的に振り返る。宇佐神さんが笑顔で立っていた。しかも俺の鞄と自分の鞄を持っている。そして、
「帰るよ」
表情を変えることなく、俺の腕を掴んで自分のほうに引き寄せる。ちょっと、強引なんですけど?
「先輩、いつのまにか、中川と仲良くなったんですね」
そう言う三重野は爽やか笑顔だ。心から純粋に思ってる顔。
「うん、仲良く出来て嬉しいよ。それじゃあ、お疲れ様」
宇佐神さんは明るい声で答えて、俺の腕を引き、エレベーターへと向かった。
「ちょ、ちょっと、なんなんすか。俺、まだ三重野と話して――」
「今夜はこれから天気が悪くなるから、早く帰ったほうがいい」
いつもと同じニコニコしてるけど、なんか棘がある気するのなんでなん? おかげで三重野に「おつかれ」って挨拶出来なかったんですけど?
「そっすか……」
天気の話されたら、それ以外に何も話せないし、俺はムスッと答えて大人しく宇佐神さんとエレベーターに乗った。
そして、事件は宇佐神さんと俺が住んでいるマンションのポスト前で起きた。
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