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本編
商品開発と仲間達
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ベルード家族とルドルフ、ノア爺が屋敷にやってきて商品開発は再び始まった。
「ルドルフ?どんな感じかしら?」
ルドルフは、サベージでも色々な薬品の研究を熱心にしていて商会が援助する代わりに色々な商品開発に参加してもらっていた、もともとシャポワン とアプレ・シャポワン を作ったのは彼だった。
「良い感じですよ。元々、シャポワン はあっちですでに売り出す予定だった商品ですからね。ほぼ、出来ていたも同然でしたね。」
そう苦笑しながらながら、数個の小瓶を出す。
「香りの方は三つほど、お嬢様にテスターとしてあげたのが柑橘系の香りです。それと他の二つは、薔薇とミントの香りです。アプレ・シャポワン の方は瓶の色を濃くしてわかりやすく。なお、こちらも同じ香りで三種作りました。」
「オレンジと赤、緑。分かりやすい色合いね。うん。香りもいいわ、このミントの香りなら女性だけじゃなく男性も手に取りやすいかもしれないわね。」
ルナリアは、説明を聞きそれぞれの瓶を確認する。
(やっぱり、私が作るより香りがはっきりしていていいわね。こちらは、問題なく商品化出来そうね。)
そう頷いて、次の場所へ行く。
「では、ルドルフ。引き続きよろしくね。」
行った場所は、キッチンだった。そこには、カレンとヘレナ、ロナの3人がいた。
「あら?カレン様、皇族の視察に動向するのでは無かったのですか?」
「はい、今日は軍施設の視察日なので、私は軍に関わらせてもらえないというかその・・詳しくは無いのでそちらの司令官にお任せしています。陛下にも許可をいただいて下がらせてもらいました。」
軍施設か、この国は騎士団がなく代わりに軍という組織がこの国を守っていると知った。
騎士団は貴族のものが多く在籍し、身分によって所属が決まるが軍は完全、実力主義で平民の者でも、実力が伴えば城の守備に配置されるらしい。
「そうでしたの、それは良かったですわ。カレン様には、協力して欲しかったですし。それで、ヘレナ試作はできたの?」
「一応、試作の方はできたんですけど私達は、美味しいのですが・・・」
「私には少し茶葉の香りが強すぎて・・」
カレンが申し訳なさそうにすると兎耳も少し下を向いた。
(獣人と人族の嗅覚は違うから・・・)
仕方ないとはいえ、この国は獣人が多く住む。だからこそ、彼らのことを考えなければ。
「ヘレナ、ロナ。茶葉を少なくして、ほのかに香る程度に、これはカレン様の紅茶のパックと一緒に売り出します。だから、少なくてもいいわ。試作作ったら私の元に運んでくださいね?」
「はい!わかりました。」
そして、最後に行った場所はノア爺のところだった。
ノア爺は屋敷の離れで作業して貰っている。
「これなら、どうじゃ?おお!いける!いけるぞ!」
部屋の中から何やらガチャガチャと音がするのと試行錯誤する様な声が聞こえる。
ノックするが返事がなく。少し強めにノックするがまた無反応だった。しかし、未だにガチャガチャと音がするので中にはいるのだろう。
多少強引だが、中に入ることにした。
「失礼しますわ。ノア爺?ノア爺様?」
「うん?ルナ嬢かどうかしたか?」
「えっと、これは?」
(きて早々、離れをここまでにするなんて。カレン様に詫びの物を贈らないと。)
呆れ混じりに、そう思う。
部屋に、散らばった作品を見てついついため息を落とす。ノア爺は機械工学に詳しくて色々な道具を作ることができる。
「ノア爺様?これは、どうしたのかしら?」
笑みを称えて、聞く。惨状を今、気づいたのかノア爺は目を見開いてギクリとする。
「いや、その。色々と試していたんじゃが、気づけばこうなっておった。」
「それは、言い訳になっておりませんよ。」
「だって、夢中になってしもうたんじゃもん。」
「いい歳した、大人がじゃもんは無いです。」
ぽんぽんとテンポの良い投げ合いをする。それは、とても懐かしく久しぶりの感触だった。一番、付き合いの長いルナリアとノア爺だからできることだった。
「まぁ、聞いてくだされ。ルナ嬢、魔石の透明化に成功したぞ。」
「え!?それは、本当ですの?」
「あぁ、本当じゃ。ほれ。」
そう言って、透明な色も付いていない魔石を机の上にころがす。
「でも、どうやって?」
「これじゃよ。」
そう言って差し出したのは、テーブルランプの様な柱に吊るされたガラスでできた皮水筒型の丸い容器で中に薄紫の液体が入っているものだった。
「これはな。ヘリアンフォラの消化液を薄めた液体じゃ。」
ヘリアンフォラは魔草といった種類で筒型の葉をつけるルナリアの背丈ほどある大きな植物だ。冒険者の初心者たちがあの葉や液体を素材として売りに来るほど比較的狩りやすい魔草だ。
ただ、あの筒状の葉に包まれると動物や昆虫は消化液に溶かされてしまう。
「どうして、こんなものが?」
「それはな。この魔草の特徴として獲物を捕食するとき先に魔力を吸収するんだよ。そして、ゆっくりと肉を食らう。その魔力を吸収ってところに俺ぁ、目をつけた。で、やってみたらできたんだよ。」
得意気にノア爺は説明してくる。
(・・ヘリアンフォラの液体自体は入手困難じゃ無いわ。それに、ノア爺は薄めたと言っていたつまり、ある程度液体が用意できれば道具を複数作れるってことよ!)
「ノア爺様!その、道具持っと作ることはできるかしら?」
「あぁ、できるぞ。」
「では、お願い。それと、透明にした魔石の加工はできますか?」
「おお!そんなの片手間じゃい!まぁ、デザインがあればじゃが。」
「分かったわ。ロナ一緒に考えます。」
「おうよ。」
早速、デザインを考え用途与えられた部屋に戻ろうと踵を返した。
「・・・ノア爺様。ちゃんと片付けといてくださいね?」
少し、ビクッとしたノア爺は「分かっとるわい!」と言っていた。その後も、小声で何か言っていたけれど部屋から出たルナリアには聞こえなかった。
「ルドルフ?どんな感じかしら?」
ルドルフは、サベージでも色々な薬品の研究を熱心にしていて商会が援助する代わりに色々な商品開発に参加してもらっていた、もともとシャポワン とアプレ・シャポワン を作ったのは彼だった。
「良い感じですよ。元々、シャポワン はあっちですでに売り出す予定だった商品ですからね。ほぼ、出来ていたも同然でしたね。」
そう苦笑しながらながら、数個の小瓶を出す。
「香りの方は三つほど、お嬢様にテスターとしてあげたのが柑橘系の香りです。それと他の二つは、薔薇とミントの香りです。アプレ・シャポワン の方は瓶の色を濃くしてわかりやすく。なお、こちらも同じ香りで三種作りました。」
「オレンジと赤、緑。分かりやすい色合いね。うん。香りもいいわ、このミントの香りなら女性だけじゃなく男性も手に取りやすいかもしれないわね。」
ルナリアは、説明を聞きそれぞれの瓶を確認する。
(やっぱり、私が作るより香りがはっきりしていていいわね。こちらは、問題なく商品化出来そうね。)
そう頷いて、次の場所へ行く。
「では、ルドルフ。引き続きよろしくね。」
行った場所は、キッチンだった。そこには、カレンとヘレナ、ロナの3人がいた。
「あら?カレン様、皇族の視察に動向するのでは無かったのですか?」
「はい、今日は軍施設の視察日なので、私は軍に関わらせてもらえないというかその・・詳しくは無いのでそちらの司令官にお任せしています。陛下にも許可をいただいて下がらせてもらいました。」
軍施設か、この国は騎士団がなく代わりに軍という組織がこの国を守っていると知った。
騎士団は貴族のものが多く在籍し、身分によって所属が決まるが軍は完全、実力主義で平民の者でも、実力が伴えば城の守備に配置されるらしい。
「そうでしたの、それは良かったですわ。カレン様には、協力して欲しかったですし。それで、ヘレナ試作はできたの?」
「一応、試作の方はできたんですけど私達は、美味しいのですが・・・」
「私には少し茶葉の香りが強すぎて・・」
カレンが申し訳なさそうにすると兎耳も少し下を向いた。
(獣人と人族の嗅覚は違うから・・・)
仕方ないとはいえ、この国は獣人が多く住む。だからこそ、彼らのことを考えなければ。
「ヘレナ、ロナ。茶葉を少なくして、ほのかに香る程度に、これはカレン様の紅茶のパックと一緒に売り出します。だから、少なくてもいいわ。試作作ったら私の元に運んでくださいね?」
「はい!わかりました。」
そして、最後に行った場所はノア爺のところだった。
ノア爺は屋敷の離れで作業して貰っている。
「これなら、どうじゃ?おお!いける!いけるぞ!」
部屋の中から何やらガチャガチャと音がするのと試行錯誤する様な声が聞こえる。
ノックするが返事がなく。少し強めにノックするがまた無反応だった。しかし、未だにガチャガチャと音がするので中にはいるのだろう。
多少強引だが、中に入ることにした。
「失礼しますわ。ノア爺?ノア爺様?」
「うん?ルナ嬢かどうかしたか?」
「えっと、これは?」
(きて早々、離れをここまでにするなんて。カレン様に詫びの物を贈らないと。)
呆れ混じりに、そう思う。
部屋に、散らばった作品を見てついついため息を落とす。ノア爺は機械工学に詳しくて色々な道具を作ることができる。
「ノア爺様?これは、どうしたのかしら?」
笑みを称えて、聞く。惨状を今、気づいたのかノア爺は目を見開いてギクリとする。
「いや、その。色々と試していたんじゃが、気づけばこうなっておった。」
「それは、言い訳になっておりませんよ。」
「だって、夢中になってしもうたんじゃもん。」
「いい歳した、大人がじゃもんは無いです。」
ぽんぽんとテンポの良い投げ合いをする。それは、とても懐かしく久しぶりの感触だった。一番、付き合いの長いルナリアとノア爺だからできることだった。
「まぁ、聞いてくだされ。ルナ嬢、魔石の透明化に成功したぞ。」
「え!?それは、本当ですの?」
「あぁ、本当じゃ。ほれ。」
そう言って、透明な色も付いていない魔石を机の上にころがす。
「でも、どうやって?」
「これじゃよ。」
そう言って差し出したのは、テーブルランプの様な柱に吊るされたガラスでできた皮水筒型の丸い容器で中に薄紫の液体が入っているものだった。
「これはな。ヘリアンフォラの消化液を薄めた液体じゃ。」
ヘリアンフォラは魔草といった種類で筒型の葉をつけるルナリアの背丈ほどある大きな植物だ。冒険者の初心者たちがあの葉や液体を素材として売りに来るほど比較的狩りやすい魔草だ。
ただ、あの筒状の葉に包まれると動物や昆虫は消化液に溶かされてしまう。
「どうして、こんなものが?」
「それはな。この魔草の特徴として獲物を捕食するとき先に魔力を吸収するんだよ。そして、ゆっくりと肉を食らう。その魔力を吸収ってところに俺ぁ、目をつけた。で、やってみたらできたんだよ。」
得意気にノア爺は説明してくる。
(・・ヘリアンフォラの液体自体は入手困難じゃ無いわ。それに、ノア爺は薄めたと言っていたつまり、ある程度液体が用意できれば道具を複数作れるってことよ!)
「ノア爺様!その、道具持っと作ることはできるかしら?」
「あぁ、できるぞ。」
「では、お願い。それと、透明にした魔石の加工はできますか?」
「おお!そんなの片手間じゃい!まぁ、デザインがあればじゃが。」
「分かったわ。ロナ一緒に考えます。」
「おうよ。」
早速、デザインを考え用途与えられた部屋に戻ろうと踵を返した。
「・・・ノア爺様。ちゃんと片付けといてくださいね?」
少し、ビクッとしたノア爺は「分かっとるわい!」と言っていた。その後も、小声で何か言っていたけれど部屋から出たルナリアには聞こえなかった。
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