赤獅子皇帝の花嫁

桃源郷

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本編

内見です。2

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次に来た屋敷は、元商会の屋敷だった。
元商会だけあって、一回の方は店として利用できそうなカウンターや棚などがあった。応接間もしっかりとしたできだ。ただ、部屋数が少なく離れに至っては納屋のようなものだった。

「離れなのですが、以前の持ち主が使わなかったこともあり、押入れの様な仕様になっております。」

先程と同じように、テアが細かく説明してくれた。

(一階や応接間は文句ないけれど、他の部屋が・・・皆んなが住み込みでとなるときついかしらね?)

一通りの説明を終えて、ルナリアはレオンと共に馬車へと向かう。

「では、ルナリア様午前中はここまでになります。午後からは、こちらの住所の方になりますので時計が2の時を刻む頃にお越しください。」

「ええ。分かりました。」

見学の時間を午前と午後に分けたのは、帝都の様子を見たかっただけだ。

(レオン様には悪いけど、帝都にきてから忙しくて少しも観光していないのよね。)

少しの罪悪感を持ちながらも、レオンと共に再び街を回れる嬉しさに心が躍る。

「ルナ、そろそろ昼だな。君さへ良ければ私のオススメの店に行ってもいいか?」

「ええ。お願いしますわ。」

レオンの申し出にうれしく思う。レオンが御者に行き先を告げ向かった。
着いた場所は、『鳥の休息亭』と看板が下がったこじんまりとしたお店だった。
入ってみれば、中はそれなりに人が多く店の雰囲気も温かみのある木のテーブルや椅子で店主の声や客の話し声で賑わっていた。皆それぞれに、料理に舌鼓を打ちつつ、会話を楽しんでいる姿がこの雰囲気を出しているに違いない。
席が空いたらしく、店主の女性が案内してくれた。

「二人かい?あんた!お二人様だよ!どうぞ、こっちの席が空いてるよ。」

「あいよ!いらっしゃい!」

女性が大きな声で、声をかけると奥の方からいらっしゃいとこれまた大きな声で返された。
とても、フレンドリーに案内した女性は水とメニューを持ってきて「決まったら声をかけて。」と言って次の客の元へと向かった。

「女将は相変わらずだな。」

レオンが苦笑しながらいう。

「こちらに来たことが?」

「あぁ。まだ、皇太子で軍に参加していた頃同期の奴らと何度かな。」

レオンはそう言って、メニューを開いた。
ルナリアもそれに習い、メニューを開く。メニューは、小さいおつまみ程度ならものからパーティー用の大きなものまで多種多様にあった。
だが、多いのは肉料理だった。獣人の国だけあって肉食系が多いのだろう。
ルナリアが選んだのは、『ゴロゴロ野菜のトマトクリーパスタ』というものだった。レオンの方は、がっつりと『骨つき肉ステーキ』だったと思う。

女将に頼めば、「あいよ!」と元気に奥の方へ声をかけた。レオンは、もう少し格式張った所を紹介すると思ったのだが、ローカルな場所だったので意外に思っていると心を読まれたかのようにレオンが言った。

「私が、ここを選んだのが不思議か?」

そう問われれば、ほんとの事なので頷く。

「昔来た、と言っただろう?私は、出来るだけ多くの者たちの声を聴きたい。その為には、一部の者たちしかいないところではなく、ここの様に多くの人がたくさん話しているところに行きたかったんだ。」

そこで、一旦区切りコクコクと話を聞いていたルナリアと目を合わせる。

「それに、ここの料理は絶品だ。城の料理も捨てがたいが、時折こうして素朴なアジというものを求めてしまうんだ。だから、ルナにもこの店の味をして欲しくてな。」

そう言って、レオンはまた苦笑して「時折、城を出たら大抵ここへ来る。王族としては褒められた行動ではないけどな。」とおどけていた。

「ルナ、こんな私をどう思う?」

急に真剣な顔になって聞いてきた。
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