海は今日も大荒れ(完結)

三森まり

文字の大きさ
10 / 28

覚める夢

しおりを挟む
「空也? どうしたの?」

と七海ちゃんの声がする

「あぁゴメン!なんか 針谷さんが気分悪いって言ってるから介抱してた」

と答える俺の声の方向に小走りで美海と七海ちゃんがやってきた 

「大丈夫ですか?」

針谷にそう問う七海ちゃんは演技なのか本気なのか測りかねるけど

「帰っても良いのよ」

と ツンケンしてる美海は まぁ本気なんだろう

「最近暑いもんねぇ なにか冷たいもの頼みますね 帰るにしても一休みしてからが良いですよ」

とかいいつつ針谷の肘のあたりを掴むと 夏の生地の薄いジャケット越しにビクリと彼が震えてるのが伝わってきた
え! そんな怯えなくても

「そうそう 親父呼んだの空也なの?」

と美海に問われ 俺は頷く

「夏本番で忙しくて ゆっくり家族で遊んでないってイジケてたからさ 珊瑚ねぇとお仲間の許可とって呼んであげたんだよ」

おっと 思わず何時もの癖で「珊瑚」呼びが「珊瑚ねぇ」になってしまったけど 何やらブツブツと呟いて自分の世界に入り込んでいる針谷は気がついてないようだった
ほぼほぼ引きずるように針谷と渚家の双子と カラオケルームに戻る
その時ちょうど 渚叔父さんが十八番のカラオケを歌いだしていた

「亡き妻との思い出の歌 歌います!『ラブストリーは突然に!!』」

叔父さんが歌い出すのと同時に美海が凄い嫌な笑顔で刈谷を振り返り 七海ちゃんは笑いを抑えるてるんだろう肩を震わせ 哀れみを込めた目で珊瑚ねぇが刈谷を見つめる
それに追い詰められたんだろう… ジリジリとあとずさる彼はカラオケルームから逃げ出してしまったのだった……

うむ… なんかこう 一挙に現実が押し寄せてきたんだろう… まぁ歌詞改変ラブレター(いやLINEだから手紙じゃないけど) 恥ずかしいよなぁ まぁそのぉ 恥ずかしがるぶんくらいの理性が残ってるみたいで良かった良かった

ビョウキレベルの勘助だったら 次の手をうたないといけなかったけど とりあえずこれでどうにかなるだろう

青いスポットライトの中とうとうと歌う叔父さんは実に気持ち良さそうだ
時折珊瑚ねぇを見ながら目を細める叔父さん うんうん写真でしか知らないけど珊瑚ねぇお亡くなりになった叔母さんに瓜二つだもんねぇ

「針谷の事親父に知られたら 彼病院送りになったかもよ バカねぇ空也ったら」

とヒソヒソと声を潜めながら美海に怒られた
それに七海ちゃんがさらに小さな声で反論してくれる

「空也がそんなヘマするわけないじゃないか」

あぁ!七海ちゃんわかってるなぁ 
そうそう 綿密とは言わないけど だいたいのとこで計画どうり夢見がち彼の目を覚まさせる事はできたと思うんだよね うん
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

仲良くなったと思った相手は、どうやら友達なんて作りたくないらしい

たけむら
BL
仲良くなった相手は、どうやら友達なんて要らないっぽい 石見陽葵には、大学に入ってから知り合った友人・壬生奏明がいる。少し冷たそうな第一印象から周りの学生に遠巻きにされている奏明に、とある提案をしてみると、衝撃的な一言が返ってきて…?

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

執着

紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。

恋愛速度【あっというまに始まった、おれと遊び人の先輩の恋の行方……】

毬村 緋紗子
BL
高校生になったばかりの千波矢は、2コ上の先輩、高城 慶と知り合う。 女の子にモテる慶は、これまでかなり派手に遊んできたらしい。 そんな慶から告白されて付き合いはじめた千波矢だったけれど、すぐに身体を求められて、戸惑い、思い悩んでしまう。 先輩は、本当におれのことが好きなのかな おれは、先輩に遊ばれてるだけなのかな──。 〈登場人物〉 瀧川 千波矢 タキガワ チハヤ 高1 高城 慶 タカシロ ケイ 高3 表紙イラストは、生成AIによる自作です。 エールをありがとうございます!(ω〃)

だって、君は210日のポラリス

大庭和香
BL
モテ属性過多男 × モブ要素しかない俺 モテ属性過多の理央は、地味で凡庸な俺を平然と「恋人」と呼ぶ。大学の履修登録も丸かぶりで、いつも一緒。 一方、平凡な小市民の俺は、旅行先で両親が事故死したという連絡を受け、 突然人生の岐路に立たされた。 ――立春から210日、夏休みの終わる頃。 それでも理央は、変わらず俺のそばにいてくれて―― 📌別サイトで読み切りの形で投稿した作品を、連載形式に切り替えて投稿しています。  エピローグまで公開いたしました。14,000字程度になりました。読み切りの形のときより短くなりました……1000文字ぐらい書き足したのになぁ。 📌本編モブ視点による、番外エピソード 「君はポラリス ― アンコール!:2年後の二人と俺と」を追加しました。

かえり、みち

真田晃
BL
エセ関西弁の幼馴染みと、歩いて帰る。 明るいコイツのお陰で、外灯の少ない真っ暗な田舎道も怖くなかった。 なのに、何故だろう。 何処か懐かしさを感じてしまう。 コイツとはいつも一緒に帰っているのに。大切な何かを、俺は──忘れてしまっている、のか? 第一章:シリアスver. 第二章:コミカルver.

無愛想な氷の貴公子は臆病な僕だけを逃さない~十年の片想いが溶かされるまで~

たら昆布
BL
執着ヤンデレ攻め×一途受け

【完結】男の後輩に告白されたオレと、様子のおかしくなった幼なじみの話

須宮りんこ
BL
【あらすじ】 高校三年生の椿叶太には女子からモテまくりの幼なじみ・五十嵐青がいる。 二人は顔を合わせば絡む仲ではあるものの、叶太にとって青は生意気な幼なじみでしかない。 そんなある日、叶太は北村という一つ下の後輩・北村から告白される。 青いわく友達目線で見ても北村はいい奴らしい。しかも青とは違い、素直で礼儀正しい北村に叶太は好感を持つ。北村の希望もあって、まずは普通の先輩後輩として付き合いをはじめることに。 けれど叶太が北村に告白されたことを知った青の様子が、その日からおかしくなって――? ※本編完結済み。後日談連載中。

処理中です...