追放されたデバフ使いが実は対ボス最終兵器でした〜「雑魚にすら効かない」という理由で捨てられたけど、竜も魔王も無力化できます〜

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第36話 【グラナドス戦⑤・決着】

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 第36話 【グラナドス戦⑤・決着】

 グラナドスの巨体が揺れた。

 五重の輝線が、その身を縛り上げている。

 鋼のようなウロコにひび割れが走る。

 動きが鈍い。

 明らかに、力を失っている。

「今だ!」

 クリスが叫んだ。

 剣を構える。

 彼女の全身から青い光がアフれ出す。

「【蒼天一閃ソウテンイッセン】!」

 一瞬で間合いを詰める。

 剣が銀色の軌跡を描いた。

 グラナドスの首元、ウロコの隙間を狙う。

 確かな手応え。

 剣が深く食い込んだ。

「ガアッ!」

 グラナドスが苦悶クモンの声を上げる。

 血が噴き出した。

「俺も行くぜ!」

 ダリウスが地面を蹴る。

 左手の剣に魔力を集中させる。

 黄金色の光が刃を包んだ。

「【大地断絶】!」

 下から上へ、斬り上げる。

 グラナドスの胴体に巨大な裂傷が走った。

 竜の体が大きく仰け反る。

「まだです!」

 ミラがツエを掲げた。

 残りのマナをすべて使う。

 純白の光がツエの先端に集まる。

「【浄化の光】!」

 光の奔流がグラナドスを飲み込んだ。

 竜の体内に蓄積された毒が浄化される。

 追加のダメージが体をムシバんだ。

「ぐ、おおおっ!」

 グラナドスの巨体がゆっくりと傾く。

 地面に膝をついた。

 氷の床に、大きな亀裂が走る。

 勝った。

 俺たちは、古代竜を倒したんだ。

 息が上がる。

 全身から力が抜けていく。

「やった、の、か?」

 ダリウスがツブヤいた。

 その場に座り込む。

 左腕が震えている。

 ミラもツエを支えにして立っていた。

 顔色が悪い。

 マナを使い果たしたんだ。

 クリスは剣を構えたまま動かない。

 警戒を解いていない。

 さすがだ。

 グラナドスが口を開いた。

「よく、やった」

 低い声が洞窟に響く。

 血を流しながら、それでも笑っている。

「人間よ、お前たちは強い」

 俺は一歩前に出た。

 膝が笑っている。

 それでも、立ち続ける。

「グラナドス、封印のことを教えてくれ」

 竜の瞳が俺を見つめた。

 金色の光が弱まっている。

「封印は千年周期で弱体化する」

 静かに語る。

「我が核を使えば、再び強化できる」

 グラナドスの体が光の粒子に変わり始めた。

「八つの災厄、それぞれが世界を滅ぼしかけた」

 声が途切れがちになる。

「そして、第九の災厄」

 俺は息をんだ。

「それは八つの災厄の集合体だ」

 クリスが目を見開く。

「八体を倒さねば、第九は永遠に目覚め続ける」

 グラナドスの姿がさらに薄くなっていく。

「お前のデバフ、まだ未完成だな」

 俺を見つめる瞳に、何かが宿っている。

「だが、その力は確かに伝説を殺す力だ」

 胸が熱くなった。

「成長を続けろ」

 最後の言葉。

「残り七つの守護者は、我より強い」

 グラナドスの姿が光の粒子となって消えた。

 後には、青白く輝く結晶が残されている。

 【封印守護者の核(グラナドス)】

 俺はそれを拾い上げた。

 手のひらに収まる大きさ。

 温かい。

 まるで生きているみたいだ。

「終わった、のね」

 クリスが膝をついた。

 剣を杖代ツエガわりにして体を支えている。

 額に汗がニジんでいた。

「ああ、やっと終わった」

 ダリウスがその場に倒れ込む。

 大きく息を吐いた。

「長かったぜ、本当に」

 ミラも地面に座り込んだ。

 ツエを膝に乗せている。

「マナが、もう空っぽです」

 疲れ切った顔で微笑んだ。

 俺も膝を折る。

 体が重い。

 全身が痛む。

 でも、生きている。

 みんな、生きている。

 クリスが俺の肩を支えてくれた。

「あなたが諦めなかったから」

 彼女の声が優しい。

「勝てたのよ」

 俺は首を横に振った。

「みんなのおかげだ」

 仲間たちの顔を見回す。

 みんな、疲れているけど笑っている。

「行きましょう」

 クリスが立ち上がろうとする。

 でも、足が震えていた。

「封印を再強化しないと」

 俺は彼女の手を取った。

「少し、休もう」

 ミラがウナズく。

「そうですね、急いでも仕方ありません」

 ダリウスが笑った。

「俺なんか、もう動けねえよ」

 ※

 同じ頃。

 王都から南へ三日の距離。

 C級ダンジョン【忘却の森】。

 マルセルは剣を構えていた。

 目の前には、ゴブリンが三体。

 本来なら一瞬で倒せる相手。

 だが、剣が重い。

 息が上がっている。

「くそっ!」

 横薙ヨコナぎに剣を振るう。

 ゴブリンが避けた。

 カウンターの棍棒コンボウが脇腹に当たる。

「ぐあっ!」

 マルセルが後退する。

 カミラが魔法を放った。

「【ファイアボール】!」

 火球がゴブリンに命中する。

 一体が倒れた。

 でも、詠唱に時間がかかりすぎている。

 ブライトがヤリで二体目を倒す。

 リナが回復魔法を唱えた。

「【ヒール】!」

 マルセルの傷が癒える。

 でも、疲労は取れない。

「マルセルさん」

 ブライトが言った。

 表情が硬い。

「このままでは、C級ダンジョンすら危険です」

 マルセルは歯を食いしばった。

「わかってる」

 認めたくない。

 でも、事実だ。

 俺たちは弱くなっている。

 リナが口を開いた。

「アクセルさんが、いた時は」

「その名前を出すな!」

 マルセルが怒鳴った。

 リナがオビえる。

 ブライトが間に入った。

「マルセルさん、いい加減に」

 その目に、批判の色があった。

「認めるべきです」

 カミラもウナズく。

「私たちには、彼が必要だったのよ」

 マルセルの拳が震えた。

 認めたくない。

 認めたら、全てが崩れる。

 でも。

 頭の中で、声が響く。

 (あいつが、いないと)

 (俺たちは、何もできない)

 膝が笑った。

 剣を握る手から力が抜ける。

「俺は、間違って、いない」

 その言葉が、空しく響いた。
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