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舞踏会の夜は、記録されていなかった
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【ヴァルトシュタイン帝国 城下町 掲示板】
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【速報】皇后様の過去が気になりすぎて眠れない
1:名無しの帝国民
昨日の映像ログ見た
2:名無しの帝国民
日記返却のやつな
3:名無しの帝国民
皇后様「最初は信じていた」って言ってたよな
4:名無しの帝国民
>>3
アルベルトのことだろ
5:名無しの帝国民
そりゃそうだ
婚約者だったんだから
6:名無しの帝国民
でも陛下との出会いの方が気になる
7:名無しの帝国民
「あの舞踏会の夜」ってやつ
8:名無しの帝国民
どんな出会いだったんだろうな
9:名無しの帝国民
ロマンチックだったに決まってる
10:名無しの帝国民
>>9
陛下だぞ
11:名無しの帝国民
「退屈そうだな」って声かけたらしい
12:名無しの帝国民
>>11
それナンパか?
13:名無しの帝国民
陛下のナンパ想像できん
14:名無しの帝国民
でも皇后様はそれで救われたって言ってた
15:名無しの帝国民
どういう状況だったんだ
16:名無しの帝国民
記録残ってないのかな
17:名無しの帝国民
フローレンスの舞踏会だろ
帝国の記録には残ってないんじゃね
18:名無しの帝国民
つまり真相は闇の中
19:名無しの帝国民
でも二人は覚えてる
20:名無しの帝国民
それで十分だろ
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【帝国記録官 ハインリヒの私的メモ 帝国歴四〇三年 冬 第二の月 13日 午前10:00】
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新婚生活6日目。
陛下は、今日も膝枕から動かない。
しかし、その表情がいつもと違った。
どこか、真剣だった。
「ハインリヒ」
「はい」
「昨夜、皇后から話を聞いた」
「話、ですか」
「うむ。フローレンスにいた頃の話だ」
私は、姿勢を正した。
「殿下の過去について、でございますか」
「ああ」
陛下は、天井を見上げた。
「あの女性は、余が思っていた以上に、辛い日々を過ごしていた」
「……そうでございましたか」
「余は、あの夜のことを覚えている」
陛下の声が、低くなった。
「フローレンスの舞踏会。余が、あの女性に初めて会った夜のことを」
「舞踏会、ですか」
「ああ」
陛下は、ゆっくりと目を閉じた。
「あの夜のことは、どこにも記録されていない。フローレンスの公式記録には、余が『早々に退席した』としか残っていないだろう」
「そうなのですか」
「だが、真実は違う」
陛下の手が、そっと自分の胸に当てられた。
「あの夜、余はあの女性に出会った。そして、一目で心を奪われた」
私は、息を呑んだ。
「陛下が、一目惚れを」
「そうだ」
陛下は、静かに頷いた。
「余の人生で、最も大切な夜だった。なのに、記録には何も残っていない」
「それは」
「だから、記録しろ」
陛下が、私を見た。
「余が話す。お前が記録しろ。あの夜のことを」
私は、深く頭を下げた。
「畏まりました」
そして、羽ペンを取った。
これから語られるのは、公式記録には残されなかった真実。
二人の出会いの物語だ。
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【回想記録 帝国歴三九九年 秋 フローレンス王国 王宮舞踏会】
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記録者:帝国記録官 ハインリヒ
情報源:皇帝陛下および皇后殿下の証言
注記:本記録は公式文書には含まれない。極秘扱いとする。
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その夜、フローレンス王宮は華やかな光に包まれていた。
秋の収穫祭を祝う舞踏会。
各国から賓客が集い、音楽と笑い声が響いていた。
しかし、その華やかさの中に、一人の令嬢がいた。
蜂蜜色の髪。翠色の瞳。
壁際に立ち、誰とも踊らない。
ティアラは、孤独だった。
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(以下、皇后殿下の証言に基づく)
あの夜のことは、今でも鮮明に覚えていますわ。
私は、壁際に立っていました。
誰も私に話しかけない。
いいえ、正確には、誰も私と話したがらない。
なぜなら、私は「悪女」だったから。
アルベルト様の心を奪おうとした、醜い女。
マリア様を陥れようとした、卑劣な令嬢。
そう、噂されていましたわ。
私が何をしたわけでもない。
ただ、婚約者がいただけ。
ただ、その婚約者が、別の女性を愛してしまっただけ。
それだけのことで、私は「悪女」になりましたわ。
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舞踏会の中央では、アルベルト様がマリア様と踊っていた。
二人は、本当に美しかった。
金色の髪のアルベルトと、銀色の髪の天使。
まるで、絵画から抜け出したような二人。
周囲は、二人を祝福していましたわ。
「お似合いですわね」
「あの方こそ、アルベルト様の運命の相手ですわ」
「婚約者の令嬢は、どこにいるのかしら」
「ほら、あそこ。壁際で一人で立っていますわよ」
「みじめですわね」
「自業自得ですわ」
声は、私に聞こえていました。
わざと聞こえるように言っている。
それが、分かっていましたわ。
でも、何も言えなかった。
言い返す気力も、残っていなかった。
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私は、バルコニーに出ましたわ。
外は、雪が降っていました。
秋なのに、雪。
おかしな天気でしたわ。
後で聞いた話では、その年は異常気象だったとか。
でも、あの時の私には、どうでもいいことでした。
私は、バルコニーの手すりに手をかけた。
下を見た。
遠い。
でも、飛び降りれば、楽になれる。
そう、思いましたわ。
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(以下、皇帝陛下の証言に基づく)
「余は、外交のためにフローレンスを訪れていた」
陛下は、低い声で語り始めた。
「くだらん夜会だと思っていた。形式的な挨拶を済ませれば、さっさと帰るつもりだった」
「しかし」
「ああ。バルコニーに立つ、一人の女性を見つけた」
陛下の目が、遠くを見た。
「雪の中、薄いドレスで立っていた。凍えるような寒さの中で。周囲には誰もいなかった」
「それが、皇后殿下で」
「ああ」
陛下は、深く息を吸った。
「最初、余は何をしているのか分からなかった。だが、彼女の目を見て、理解した」
「目を」
「死のうとしていた」
私は、息を呑んだ。
「あの女性は、あの夜、死のうとしていたのだ」
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(以下、皇后殿下の証言に基づく)
手すりに手をかけた時、背後から声がしましたわ。
「退屈そうだな」
低い声。
振り返ると、銀髪の男性が立っていました。
切れ長の瞳。冷たい表情。
でも、その目は、私を見ていました。
「退屈、ですか」
私は、笑いましたわ。
自分でも、おかしな笑い方だったと思います。
「ええ、退屈ですわね。とても」
「そうか」
男性は、私の隣に立ちました。
「余も退屈だ。くだらん夜会だ」
「……陛下」
私は、ようやく気づきましたわ。
この方が誰なのか。
氷の皇帝。
ヴァルトシュタイン帝国の若き支配者。
冷酷で、慈悲がなく、笑わない。
そう、噂されている方でしたわ。
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「なぜ、一人で立っている」
陛下は、そう尋ねましたわ。
「踊らないのか」
「誰も、私と踊りたがりませんので」
「なぜだ」
「私は、悪女ですから」
私は、また笑いました。
自分でも、何を言っているのか分からなかった。
でも、なぜか、この方には正直に話せた。
「婚約者に捨てられた、哀れな悪女ですの。誰も近づきたがりませんわ」
「そうか」
陛下は、私の顔をじっと見ました。
「余には、悪女には見えんが」
「お世辞は結構ですわ」
「世辞ではない」
陛下の声が、少し強くなりました。
「余は、世辞など言わん」
「では、何に見えますの」
「疲れている女に見える」
私は、言葉を失いました。
「誰にも理解されず、誰にも味方されず。一人で戦い続けて、疲れ果てている」
陛下の目が、私を見つめていました。
「違うか」
「……どうして」
声が、震えていましたわ。
「どうして、そんなことが分かるのですか」
「分かる」
陛下は、落ち着いた声で言いました。
「余も、同じだからだ」
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(以下、皇帝陛下の証言に基づく)
「余は、孤独だった」
陛下は、ゆっくりと語った。
「皇帝という立場は、余を孤独にした。誰もが余を恐れ、誰もが余に媚びる。余の本当の姿を見ようとする者は、誰もいなかった」
「陛下」
「だから、あの女性が分かった」
陛下の目が、どこか懐かしげに細められた。
「あの女性も、同じだった。周囲から孤立し、誰にも理解されず。一人で全てを抱え込んでいた」
「なるほど」
「余は、あの瞬間に思った」
陛下が、私を見た。
「この女性を、余の元に連れていきたい、と」
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(以下、皇后殿下の証言に基づく)
陛下は、私に手を差し出しましたわ。
「踊れ」
「え」
「余と踊れ。退屈しのぎだ」
私は、驚きました。
「でも、私と踊れば、陛下の評判が」
「余の評判は、余が決める」
陛下の声は、揺るぎなかった。
「他人の噂など、どうでもいい。余がお前と踊りたいと思った。それだけだ」
私は、しばらく黙っていました。
そして、ゆっくりと、陛下の手を取りましたわ。
「変な方」
「何」
「変な方ですわ。私を『悪女』と呼ばないなんて」
「悪女かどうかは、余が判断する」
陛下は、私の手を握りました。
冷たい手。
でも、どこか温かかった。
「そして、余の目には、お前は美しい女性にしか見えん」
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舞踏会場に戻った時、周囲が凍りつきましたわ。
比喩ではなく、本当に。
陛下の足元から、霜が広がっていましたもの。
「あ、あれは」
「氷の皇帝」
「なぜ、あの女と」
ざわめきが、広がっていました。
でも、陛下は気にしませんでした。
私の手を取り、舞踏会場の中央へ。
音楽が、止まりました。
誰もが、私たちを見ていました。
アルベルト様も。
マリア様も。
そして、陛下は、音楽もないのに踊り始めました。
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「陛下」
「何だ」
「音楽が、止まっていますわ」
「そうか」
陛下は、私を見ました。
「では、余が歌おう」
「え」
「嘘だ。歌は苦手だ」
私は、思わず笑いましたわ。
本当に、笑ってしまった。
「ふふ。陛下、冗談を言うのですね」
「珍しいか」
「ええ。とても」
「お前だけだ」
陛下の声が、少し低くなりました。
「お前の前では、なぜか、口が軽くなる」
私は、何も言えませんでした。
ただ、陛下と踊っていました。
音楽もない、静寂の中で。
でも、あの瞬間、私には音楽が聞こえていましたわ。
心臓の鼓動が、二人分。
それが、私たちの音楽でしたわ。
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(以下、皇帝陛下の証言に基づく)
「あの瞬間、余は確信した」
陛下は、穏やかに言った。
「この女性を、余の元に連れていく。何があっても」
「しかし、殿下はフローレンスの令嬢でした」
「ああ。だから、待った」
「待った」
「うむ」
陛下の目が、鋭くなった。
「フローレンスが、あの女性を追い出すのを待った。余が奪うのではなく、あの女性が自由になるのを待った」
「それは」
「余は、あの女性の意思を尊重したかった。無理やり連れ去るのは、余の流儀ではない」
陛下は、深く息を吸った。
「だから、あの夜、余はこう言った」
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(以下、皇后殿下の証言に基づく)
ダンスが終わった時、陛下は私の耳元で囁きましたわ。
「また会おう」
「え」
「帝国で待っている」
私は、驚きました。
「陛下、それはどういう」
「いつか、お前がフローレンスを出る日が来る」
陛下の目が、私を見ていました。
「その時は、帝国に来い。余が迎える」
「でも、私は」
「婚約者がいるのだろう。分かっている」
陛下は、私の手を離しました。
「だが、あの男は、お前を幸せにしないだろう。余には分かる」
「陛下」
「その時が来たら、余のことを思い出せ」
陛下は、踵を返しました。
そして、振り返らずに言いました。
「余は、待っている」
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陛下が去った後、私は立ち尽くしていましたわ。
何が起きたのか、分からなかった。
でも、一つだけ分かったことがありました。
死にたくない。
生きたい。
もう一度、あの方に会いたい。
そう、思いましたわ。
あの夜、私は死ぬつもりでした。
でも、陛下に会って、変わりました。
生きる理由が、できたのですわ。
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【回想記録 終了】
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【極秘ログ──送信者不明】
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記録日時:帝国歴四〇三年 冬 第二の月 13日 深夜11:59
ファイル名:[解析不能]
送信元:[解析不能]
送信先:[解析不能]
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(音声のみ)
雪が窓に当たる音。
かすかな風の気配。
「……あの夜のことを、思い出しますわ」
女の声。
静かな、穏やかな響き。
「雪が降ると、いつも」
「うむ」
低い男の声。
「余も、同じだ」
衣擦れの音。
寄り添う気配。
「あの夜、お前に会わなければ」
男の声が、少し震えていた。
「余の人生は、どれほど空虚だったことか」
「陛下」
「お前は、余を救った」
抱きしめる気配。
「お前が、死のうとしていたことは、分かっていた」
女の息が、詰まる気配。
「だから、声をかけた。何としても、止めなければと思った」
「陛下は、気づいていたのですね」
「ああ」
男の声が、苦しげになった。
「あの時、声をかけなければ、お前は」
「でも、声をかけてくださいましたわ」
女の声が、温かくなった。
「陛下が、私を救ってくださいました」
「救ったのは、余ではない」
男の声が、優しくなった。
「お前が、生きることを選んだのだ。余は、きっかけに過ぎん」
沈黙。
雪が窓に当たる音。
「ティアラ」
「はい」
「あの夜から、余はずっとお前を待っていた」
抱きしめる力が、強くなる気配。
「フローレンスがお前を追い出すのを、密かに待っていた。余の元に来てくれる日を、待っていた」
「陛下」
「酷い男だろう。お前が苦しんでいるのを知りながら、ただ待っていたのだ」
「いいえ」
女の声が、揺れていた。
「陛下は、私の意思を尊重してくださいました。無理やり連れ去るのではなく、私が自由になるのを待ってくださった」
「だが」
「それが、どれほど嬉しかったか」
涙声。
「陛下は、私を一人の人間として見てくださいました。『悪女』でも『可哀想な令嬢』でもなく。ただ、私として」
衣擦れの音。
抱き返す気配。
「だから、私は帝国に来ましたわ。陛下の元へ」
「ティアラ」
「私の選択は、正しかったですわ」
女の声が、はっきりと響いた。
「陛下の元で、私は幸せですもの」
沈黙。
雪が、静かに降り続ける気配。
「ティアラ」
「はい」
「余も、幸せだ」
抱きしめる気配。
「お前がいてくれて、余は幸せだ」
深く息を吸う音。
「もう二度と、お前を手放さん」
「はい」
「何があっても、余の傍にいろ」
「ずっと、おりますわ」
衣擦れの音。
口づけの気配。
しばらくの沈黙。
女が、ふと笑う気配。
「陛下」
「何だ」
「あの夜、私を救ってくださったこと。一生、忘れませんわ」
沈黙。
「……でも」
女の声が、ほんの少しだけ、冷たくなった。
「あの夜、私を追い詰めた者たちのことも、忘れませんの」
男の息が、詰まる気配。
「ティアラ」
「大丈夫ですわ。復讐などいたしません」
女が、くすりと笑う気配。
「もう、する必要がありませんもの。彼らは自滅しましたわ。私は何もしていませんのに」
「……ティアラ」
「ふふ。陛下は、そんな私でも愛してくださいますか」
「愚問だ」
男の声が、揺るぎなかった。
「お前の全てを愛すると言った。それは、お前の闘い方も含めてだ」
「陛下」
「余の妻は、余が守る。だが、余の妻が自ら牙を剥くことを、余は止めん」
女の息が、震える気配。
「……ありがとうございます」
「礼など要らん」
抱きしめる気配。
「おやすみなさいませ、私の陛下」
「ああ。おやすみ、余の妻」
(ログ終了)
(このファイルは自動消去されました)
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【帝国記録官 ハインリヒの私的メモ 翌日 午前8:00】
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昨日、陛下から直接お話を伺った。
舞踏会の夜のことを。
そして、皇后殿下からも、後に補足をいただいた。
二人の証言を突き合わせて、私は一つの記録を作成した。
【回想記録 帝国歴三九九年 秋 フローレンス王国 王宮舞踏会】
この記録は、公式文書には含まれない。
極秘扱いとする。
だが、この記録が存在することに、意味がある。
二人の出会いは、どこにも記録されていなかった。
フローレンスの公式記録には、「氷の皇帝は早々に退席した」としか残っていない。
しかし、真実は違う。
あの夜、二人は出会った。
そして、二人の運命は、交わった。
私は、その真実を記録する。
記録官として。
そして、二人の側近として。
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一つ、気になることがある。
皇后殿下は、あの夜、「死のうとしていた」と仰った。
陛下も、それを知っていたと仰った。
あの華やかな舞踏会の裏で、そのようなことがあったとは。
殿下が、どれほど追い詰められていたか。
想像するだけで、胸が痛む。
しかし、殿下は生きることを選んだ。
陛下と出会い、生きる理由を見つけた。
そして今、殿下は帝国皇后として、幸せに暮らしている。
陛下の愛情を一身に受け、国政を支えている。
これは、奇跡だ。
二人が出会ったこと。
二人が結ばれたこと。
全てが、奇跡だ。
私は、その奇跡の証人だ。
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【ヴァルトシュタイン帝国 城下町 掲示板】
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【考察】陛下と皇后様の出会いが気になりすぎる件
21:名無しの帝国民
続き
昨日の話題引っ張ってすまん
22:名無しの帝国民
いや分かる
気になるよな
23:名無しの帝国民
フローレンスの舞踏会で出会ったんだっけ
24:名無しの帝国民
そう
「退屈そうだな」って声かけたらしい
25:名無しの帝国民
陛下のナンパ術
26:名無しの帝国民
>>25
ナンパって言うな
27:名無しの帝国民
でも実質ナンパだろ
28:名無しの帝国民
一目惚れだったらしいぞ
29:名無しの帝国民
>>28
マジ?
30:名無しの帝国民
ソースは
31:名無しの帝国民
宮廷筋の噂
32:名無しの帝国民
信憑性あるのか
33:名無しの帝国民
でも陛下の溺愛っぷり見てると納得する
34:名無しの帝国民
それな
あれは一目惚れの男の行動だわ
35:名無しの帝国民
皇后様も陛下に救われたって言ってたしな
36:名無しの帝国民
運命の出会いってやつか
37:名無しの帝国民
尊い
38:名無しの帝国民
でも皇后様、当時は婚約者いたんだろ
39:名無しの帝国民
>>38
アルベルトな
40:名無しの帝国民
その婚約者に捨てられて帝国に来たんだっけ
41:名無しの帝国民
陛下が待ってたわけだ
42:名無しの帝国民
>>41
待ってた?
43:名無しの帝国民
「帝国で待っている」って言ったらしい
44:名無しの帝国民
>>43
かっこよすぎないか
45:名無しの帝国民
イケメン無罪
46:名無しの帝国民
>>45
それ
47:名無しの帝国民
でも待ってる間、皇后様は辛かったんだよな
48:名無しの帝国民
>>47
それを思うと複雑
49:名無しの帝国民
でも結果的には幸せになった
50:名無しの帝国民
結果オーライ
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【陛下、実は待っていた説】
51:名無しの帝国民
整理するぞ
52:名無しの帝国民
頼む
53:名無しの帝国民
1. 舞踏会で出会う
2. 陛下「帝国で待ってる」
3. 皇后様、フローレンスで苦労
4. 追放される
5. 陛下が迎える
6. 溺愛生活スタート
54:名無しの帝国民
分かりやすい
55:名無しの帝国民
つまり陛下は最初から狙ってた
56:名無しの帝国民
>>55
待ってただけだろ
57:名無しの帝国民
待つのも狙いのうち
58:名無しの帝国民
陛下の忍耐力すごいな
59:名無しの帝国民
4年くらい待ったのか?
60:名無しの帝国民
>>59
舞踏会から追放まで考えるとそのくらいか
61:名無しの帝国民
4年間ずっと待ってたとか
62:名無しの帝国民
一途すぎる
63:名無しの帝国民
これが氷の皇帝の本性か
64:名無しの帝国民
表は氷、中は炎
65:名無しの帝国民
詩人気取りかよ
66:名無しの帝国民
でも合ってる
67:名無しの帝国民
皇后様限定で氷が溶けるんだな
68:名無しの帝国民
なるほど
69:名無しの帝国民
運命の相手ってやつだ
70:名無しの帝国民
尊すぎて無理
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【映像ログ017-A 帝国宮殿 皇后のサロン 同日 午後2:00】
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送信元:帝国記録局 第一班
映像品質:良好
配信範囲:帝国内限定
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(映像開始)
皇后のサロン。
午後の光が、窓から差し込んでいる。
ティアラは、ソファに腰掛け、書類に目を通していた。
その向かいには、リリィが座っている。
「殿下、ご報告がございます」
リリィが、姿勢を正して言った。
「何でしょう」
「救済事業の調査が進みました。帝都に流れ着いた方々の身元確認です」
「そうですか」
ティアラは、書類を受け取った。
「現在、47名の身元が判明しております」
「47名」
ティアラの指が、書類の上を滑った。
「フローレンスからの難民が、これほど多いとは」
「はい。皆、アルベルト様か、マリア様か、あるいは王国そのものに居場所を奪われた方々です」
リリィの声が、少し震えた。
「私と、同じように」
「……そうですか」
ティアラは、書類を閉じた。
「リリィさん」
「はい」
「彼らには、新しい居場所を用意してあげてくださいませ」
「はい。必ず」
「そして、彼らの話を、よく聞いてあげてくださいね」
ティアラは、穏やかに微笑んだ。
「辛い経験を共有することで、心が軽くなることもありますから」
「……はい」
リリィは、深く頷いた。
「殿下のお言葉、胸に刻みます」
「よろしくお願いいたしますわ」
ティアラは、立ち上がった。
窓辺に歩み寄り、外を眺める。
「リリィさん」
「はい」
「彼らの証言は、全て記録しておいてくださいませ」
「記録、ですか」
「ええ」
ティアラは、振り返らなかった。
「いつか、役に立つかもしれませんから」
その翠色の瞳が、一瞬だけ、冷たく光った。
しかし、リリィの位置からは見えなかった。
(映像終了)
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【映像ログ017-B 帝国宮殿 執務室 同日 午後4:00】
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送信元:帝国記録局 第一班
映像品質:良好
配信範囲:帝国内限定
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(映像開始)
執務室。
ジークハルトは、今日も膝枕をしていた。
ただし、今日は少し違う。
彼の手には、一冊の古い日記があった。
「ティアラ」
「はい」
「この日記、読んでもいいか」
ティアラは、少し驚いた表情をした。
「陛下がお読みになりたいのですか」
「ああ。お前の過去を、もっと知りたい」
「でも、恥ずかしいことばかり書いてありますわ」
「構わん」
ジークハルトは、日記を胸に抱いた。
「お前の恥ずかしいところも、余は知りたい」
「陛下」
「お前の全てを、余のものにしたいのだ」
ティアラは、しばらく黙っていた。
そして、くすりと笑った。
「陛下は、欲張りですわね」
「ああ。お前に関しては、とても欲張りだ」
「では、どうぞ」
ティアラは、日記を指さした。
「でも、笑わないでくださいませね」
「約束する」
ジークハルトは、日記を開いた。
最初のページ。
幼い文字で、こう書いてあった。
『今日、アルベルト様にお会いしました。とても素敵な方でした。いつか、この方と結婚できたら、どんなに幸せでしょう』
ジークハルトの眉が、ぴくりと動いた。
「陛下」
ティアラが、慌てて言った。
「昔の話ですわ。今は、陛下だけを」
「分かっている」
ジークハルトは、ページをめくった。
「続きを読む」
「でも、陛下」
「お前の過去だ。余が受け止める」
ジークハルトの声は、穏やかだった。
「たとえ、他の男のことが書いてあっても。それも含めて、お前の全てだ」
ティアラは、言葉を失った。
そして、柔らかく微笑んだ。
「陛下は、本当に優しい方ですわ」
「優しくなどない」
「いいえ。とても優しいですわ」
ティアラは、彼の銀髪を撫でた。
「だから、私は陛下を愛しているのですもの」
ジークハルトは、日記から目を上げた。
そして、ティアラを見つめた。
「余も、愛している」
「はい」
「お前の全てを。過去も、現在も、未来も」
ティアラは、深く頷いた。
「私も、陛下の全てを愛しておりますわ」
二人は、黙って見つめ合った。
午後の光が、二人を優しく包んでいた。
(映像終了)
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【帝国記録官 ハインリヒの私的メモ 同日 午後6:00】
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今日、不思議なことがあった。
陛下が、皇后殿下の日記を読み始めたのだ。
殿下がフローレンスにいた頃の日記。
アルベルトとの婚約時代のことも書いてあるはずだ。
普通なら、嫉妬するところだろう。
しかし、陛下は穏やかだった。
「お前の過去だ。余が受け止める」
そう仰った。
陛下の愛情は、本物だ。
殿下の過去も、現在も、全てを受け入れようとしている。
二人の絆は、日に日に深まっている。
私は、その証人だ。
そして、記録する者だ。
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【ヴァルトシュタイン帝国 城下町 掲示板】
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【速報】陛下、皇后様の元婚約者日記を読破中
71:名無しの帝国民
陛下が日記読んでるらしい
72:名無しの帝国民
皇后様の日記?
73:名無しの帝国民
そう
フローレンスから返却されたやつ
74:名無しの帝国民
元婚約者のこと書いてあるんじゃね
75:名無しの帝国民
>>74
陛下、嫉妬しないのか
76:名無しの帝国民
「お前の全てを受け止める」って言ったらしい
77:名無しの帝国民
>>76
かっこいい
78:名無しの帝国民
器がでかすぎる
79:名無しの帝国民
さすが皇帝
80:名無しの帝国民
でも内心は嫉妬してるだろ
81:名無しの帝国民
>>80
だろうな
82:名無しの帝国民
でもそれを表に出さないのがすごい
83:名無しの帝国民
大人の愛だな
84:名無しの帝国民
俺には無理
85:名無しの帝国民
>>84
お前に彼女いないだろ
86:名無しの帝国民
>>85
やめろ
87:名無しの帝国民
とにかく二人は幸せそう
88:名無しの帝国民
それが一番だ
89:名無しの帝国民
帝国万歳
90:名無しの帝国民
両陛下万歳
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【次回予告】
日記が明かす、ティアラの過去。
「私は、彼を愛していましたわ。本当に」
「だが、今は違う」
「ええ。今は、陛下だけを愛しておりますわ」
アルベルトとの婚約時代。
マリアの登場。
そして、崩壊の始まり。
「あの頃の私は、何も知りませんでした」
「知らなくてよかったのだ」
「でも、知らなければ、今の私はいませんわ」
過去を紐解くことで、未来が見えてくる。
「余は、お前の過去を憎まない」
「陛下」
「お前の過去が、今のお前を作ったのだから」
第18話「日記の中の私は、まだ夢を見ていた」
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【おまけ:帝国宮殿 皇帝の寝室 深夜】
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深夜。
ジークハルトは、まだ日記を読んでいた。
傍らで、ティアラは眠っている。
「……」
ジークハルトは、あるページで手を止めた。
そこには、こう書いてあった。
『今日、舞踏会がありました。氷の皇帝という方にお会いしました。変な方でした。でも、少しだけ、救われた気がします』
ジークハルトの目が、柔らかくなった。
「……変な方、か」
彼は、小さく笑った。
「お前こそ、変な女だ」
そして、日記を閉じた。
ティアラの髪を、そっと撫でる。
「余は、お前に会えてよかった」
囁きは、夜の静寂に溶けていった。
窓の外では、まだ雪が降っていた。
あの夜と、同じように。
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【速報】皇后様の過去が気になりすぎて眠れない
1:名無しの帝国民
昨日の映像ログ見た
2:名無しの帝国民
日記返却のやつな
3:名無しの帝国民
皇后様「最初は信じていた」って言ってたよな
4:名無しの帝国民
>>3
アルベルトのことだろ
5:名無しの帝国民
そりゃそうだ
婚約者だったんだから
6:名無しの帝国民
でも陛下との出会いの方が気になる
7:名無しの帝国民
「あの舞踏会の夜」ってやつ
8:名無しの帝国民
どんな出会いだったんだろうな
9:名無しの帝国民
ロマンチックだったに決まってる
10:名無しの帝国民
>>9
陛下だぞ
11:名無しの帝国民
「退屈そうだな」って声かけたらしい
12:名無しの帝国民
>>11
それナンパか?
13:名無しの帝国民
陛下のナンパ想像できん
14:名無しの帝国民
でも皇后様はそれで救われたって言ってた
15:名無しの帝国民
どういう状況だったんだ
16:名無しの帝国民
記録残ってないのかな
17:名無しの帝国民
フローレンスの舞踏会だろ
帝国の記録には残ってないんじゃね
18:名無しの帝国民
つまり真相は闇の中
19:名無しの帝国民
でも二人は覚えてる
20:名無しの帝国民
それで十分だろ
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【帝国記録官 ハインリヒの私的メモ 帝国歴四〇三年 冬 第二の月 13日 午前10:00】
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新婚生活6日目。
陛下は、今日も膝枕から動かない。
しかし、その表情がいつもと違った。
どこか、真剣だった。
「ハインリヒ」
「はい」
「昨夜、皇后から話を聞いた」
「話、ですか」
「うむ。フローレンスにいた頃の話だ」
私は、姿勢を正した。
「殿下の過去について、でございますか」
「ああ」
陛下は、天井を見上げた。
「あの女性は、余が思っていた以上に、辛い日々を過ごしていた」
「……そうでございましたか」
「余は、あの夜のことを覚えている」
陛下の声が、低くなった。
「フローレンスの舞踏会。余が、あの女性に初めて会った夜のことを」
「舞踏会、ですか」
「ああ」
陛下は、ゆっくりと目を閉じた。
「あの夜のことは、どこにも記録されていない。フローレンスの公式記録には、余が『早々に退席した』としか残っていないだろう」
「そうなのですか」
「だが、真実は違う」
陛下の手が、そっと自分の胸に当てられた。
「あの夜、余はあの女性に出会った。そして、一目で心を奪われた」
私は、息を呑んだ。
「陛下が、一目惚れを」
「そうだ」
陛下は、静かに頷いた。
「余の人生で、最も大切な夜だった。なのに、記録には何も残っていない」
「それは」
「だから、記録しろ」
陛下が、私を見た。
「余が話す。お前が記録しろ。あの夜のことを」
私は、深く頭を下げた。
「畏まりました」
そして、羽ペンを取った。
これから語られるのは、公式記録には残されなかった真実。
二人の出会いの物語だ。
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【回想記録 帝国歴三九九年 秋 フローレンス王国 王宮舞踏会】
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記録者:帝国記録官 ハインリヒ
情報源:皇帝陛下および皇后殿下の証言
注記:本記録は公式文書には含まれない。極秘扱いとする。
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その夜、フローレンス王宮は華やかな光に包まれていた。
秋の収穫祭を祝う舞踏会。
各国から賓客が集い、音楽と笑い声が響いていた。
しかし、その華やかさの中に、一人の令嬢がいた。
蜂蜜色の髪。翠色の瞳。
壁際に立ち、誰とも踊らない。
ティアラは、孤独だった。
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(以下、皇后殿下の証言に基づく)
あの夜のことは、今でも鮮明に覚えていますわ。
私は、壁際に立っていました。
誰も私に話しかけない。
いいえ、正確には、誰も私と話したがらない。
なぜなら、私は「悪女」だったから。
アルベルト様の心を奪おうとした、醜い女。
マリア様を陥れようとした、卑劣な令嬢。
そう、噂されていましたわ。
私が何をしたわけでもない。
ただ、婚約者がいただけ。
ただ、その婚約者が、別の女性を愛してしまっただけ。
それだけのことで、私は「悪女」になりましたわ。
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舞踏会の中央では、アルベルト様がマリア様と踊っていた。
二人は、本当に美しかった。
金色の髪のアルベルトと、銀色の髪の天使。
まるで、絵画から抜け出したような二人。
周囲は、二人を祝福していましたわ。
「お似合いですわね」
「あの方こそ、アルベルト様の運命の相手ですわ」
「婚約者の令嬢は、どこにいるのかしら」
「ほら、あそこ。壁際で一人で立っていますわよ」
「みじめですわね」
「自業自得ですわ」
声は、私に聞こえていました。
わざと聞こえるように言っている。
それが、分かっていましたわ。
でも、何も言えなかった。
言い返す気力も、残っていなかった。
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私は、バルコニーに出ましたわ。
外は、雪が降っていました。
秋なのに、雪。
おかしな天気でしたわ。
後で聞いた話では、その年は異常気象だったとか。
でも、あの時の私には、どうでもいいことでした。
私は、バルコニーの手すりに手をかけた。
下を見た。
遠い。
でも、飛び降りれば、楽になれる。
そう、思いましたわ。
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(以下、皇帝陛下の証言に基づく)
「余は、外交のためにフローレンスを訪れていた」
陛下は、低い声で語り始めた。
「くだらん夜会だと思っていた。形式的な挨拶を済ませれば、さっさと帰るつもりだった」
「しかし」
「ああ。バルコニーに立つ、一人の女性を見つけた」
陛下の目が、遠くを見た。
「雪の中、薄いドレスで立っていた。凍えるような寒さの中で。周囲には誰もいなかった」
「それが、皇后殿下で」
「ああ」
陛下は、深く息を吸った。
「最初、余は何をしているのか分からなかった。だが、彼女の目を見て、理解した」
「目を」
「死のうとしていた」
私は、息を呑んだ。
「あの女性は、あの夜、死のうとしていたのだ」
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(以下、皇后殿下の証言に基づく)
手すりに手をかけた時、背後から声がしましたわ。
「退屈そうだな」
低い声。
振り返ると、銀髪の男性が立っていました。
切れ長の瞳。冷たい表情。
でも、その目は、私を見ていました。
「退屈、ですか」
私は、笑いましたわ。
自分でも、おかしな笑い方だったと思います。
「ええ、退屈ですわね。とても」
「そうか」
男性は、私の隣に立ちました。
「余も退屈だ。くだらん夜会だ」
「……陛下」
私は、ようやく気づきましたわ。
この方が誰なのか。
氷の皇帝。
ヴァルトシュタイン帝国の若き支配者。
冷酷で、慈悲がなく、笑わない。
そう、噂されている方でしたわ。
-----
「なぜ、一人で立っている」
陛下は、そう尋ねましたわ。
「踊らないのか」
「誰も、私と踊りたがりませんので」
「なぜだ」
「私は、悪女ですから」
私は、また笑いました。
自分でも、何を言っているのか分からなかった。
でも、なぜか、この方には正直に話せた。
「婚約者に捨てられた、哀れな悪女ですの。誰も近づきたがりませんわ」
「そうか」
陛下は、私の顔をじっと見ました。
「余には、悪女には見えんが」
「お世辞は結構ですわ」
「世辞ではない」
陛下の声が、少し強くなりました。
「余は、世辞など言わん」
「では、何に見えますの」
「疲れている女に見える」
私は、言葉を失いました。
「誰にも理解されず、誰にも味方されず。一人で戦い続けて、疲れ果てている」
陛下の目が、私を見つめていました。
「違うか」
「……どうして」
声が、震えていましたわ。
「どうして、そんなことが分かるのですか」
「分かる」
陛下は、落ち着いた声で言いました。
「余も、同じだからだ」
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(以下、皇帝陛下の証言に基づく)
「余は、孤独だった」
陛下は、ゆっくりと語った。
「皇帝という立場は、余を孤独にした。誰もが余を恐れ、誰もが余に媚びる。余の本当の姿を見ようとする者は、誰もいなかった」
「陛下」
「だから、あの女性が分かった」
陛下の目が、どこか懐かしげに細められた。
「あの女性も、同じだった。周囲から孤立し、誰にも理解されず。一人で全てを抱え込んでいた」
「なるほど」
「余は、あの瞬間に思った」
陛下が、私を見た。
「この女性を、余の元に連れていきたい、と」
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(以下、皇后殿下の証言に基づく)
陛下は、私に手を差し出しましたわ。
「踊れ」
「え」
「余と踊れ。退屈しのぎだ」
私は、驚きました。
「でも、私と踊れば、陛下の評判が」
「余の評判は、余が決める」
陛下の声は、揺るぎなかった。
「他人の噂など、どうでもいい。余がお前と踊りたいと思った。それだけだ」
私は、しばらく黙っていました。
そして、ゆっくりと、陛下の手を取りましたわ。
「変な方」
「何」
「変な方ですわ。私を『悪女』と呼ばないなんて」
「悪女かどうかは、余が判断する」
陛下は、私の手を握りました。
冷たい手。
でも、どこか温かかった。
「そして、余の目には、お前は美しい女性にしか見えん」
-----
舞踏会場に戻った時、周囲が凍りつきましたわ。
比喩ではなく、本当に。
陛下の足元から、霜が広がっていましたもの。
「あ、あれは」
「氷の皇帝」
「なぜ、あの女と」
ざわめきが、広がっていました。
でも、陛下は気にしませんでした。
私の手を取り、舞踏会場の中央へ。
音楽が、止まりました。
誰もが、私たちを見ていました。
アルベルト様も。
マリア様も。
そして、陛下は、音楽もないのに踊り始めました。
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「陛下」
「何だ」
「音楽が、止まっていますわ」
「そうか」
陛下は、私を見ました。
「では、余が歌おう」
「え」
「嘘だ。歌は苦手だ」
私は、思わず笑いましたわ。
本当に、笑ってしまった。
「ふふ。陛下、冗談を言うのですね」
「珍しいか」
「ええ。とても」
「お前だけだ」
陛下の声が、少し低くなりました。
「お前の前では、なぜか、口が軽くなる」
私は、何も言えませんでした。
ただ、陛下と踊っていました。
音楽もない、静寂の中で。
でも、あの瞬間、私には音楽が聞こえていましたわ。
心臓の鼓動が、二人分。
それが、私たちの音楽でしたわ。
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(以下、皇帝陛下の証言に基づく)
「あの瞬間、余は確信した」
陛下は、穏やかに言った。
「この女性を、余の元に連れていく。何があっても」
「しかし、殿下はフローレンスの令嬢でした」
「ああ。だから、待った」
「待った」
「うむ」
陛下の目が、鋭くなった。
「フローレンスが、あの女性を追い出すのを待った。余が奪うのではなく、あの女性が自由になるのを待った」
「それは」
「余は、あの女性の意思を尊重したかった。無理やり連れ去るのは、余の流儀ではない」
陛下は、深く息を吸った。
「だから、あの夜、余はこう言った」
-----
(以下、皇后殿下の証言に基づく)
ダンスが終わった時、陛下は私の耳元で囁きましたわ。
「また会おう」
「え」
「帝国で待っている」
私は、驚きました。
「陛下、それはどういう」
「いつか、お前がフローレンスを出る日が来る」
陛下の目が、私を見ていました。
「その時は、帝国に来い。余が迎える」
「でも、私は」
「婚約者がいるのだろう。分かっている」
陛下は、私の手を離しました。
「だが、あの男は、お前を幸せにしないだろう。余には分かる」
「陛下」
「その時が来たら、余のことを思い出せ」
陛下は、踵を返しました。
そして、振り返らずに言いました。
「余は、待っている」
-----
陛下が去った後、私は立ち尽くしていましたわ。
何が起きたのか、分からなかった。
でも、一つだけ分かったことがありました。
死にたくない。
生きたい。
もう一度、あの方に会いたい。
そう、思いましたわ。
あの夜、私は死ぬつもりでした。
でも、陛下に会って、変わりました。
生きる理由が、できたのですわ。
-----
【回想記録 終了】
-----
【極秘ログ──送信者不明】
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記録日時:帝国歴四〇三年 冬 第二の月 13日 深夜11:59
ファイル名:[解析不能]
送信元:[解析不能]
送信先:[解析不能]
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(音声のみ)
雪が窓に当たる音。
かすかな風の気配。
「……あの夜のことを、思い出しますわ」
女の声。
静かな、穏やかな響き。
「雪が降ると、いつも」
「うむ」
低い男の声。
「余も、同じだ」
衣擦れの音。
寄り添う気配。
「あの夜、お前に会わなければ」
男の声が、少し震えていた。
「余の人生は、どれほど空虚だったことか」
「陛下」
「お前は、余を救った」
抱きしめる気配。
「お前が、死のうとしていたことは、分かっていた」
女の息が、詰まる気配。
「だから、声をかけた。何としても、止めなければと思った」
「陛下は、気づいていたのですね」
「ああ」
男の声が、苦しげになった。
「あの時、声をかけなければ、お前は」
「でも、声をかけてくださいましたわ」
女の声が、温かくなった。
「陛下が、私を救ってくださいました」
「救ったのは、余ではない」
男の声が、優しくなった。
「お前が、生きることを選んだのだ。余は、きっかけに過ぎん」
沈黙。
雪が窓に当たる音。
「ティアラ」
「はい」
「あの夜から、余はずっとお前を待っていた」
抱きしめる力が、強くなる気配。
「フローレンスがお前を追い出すのを、密かに待っていた。余の元に来てくれる日を、待っていた」
「陛下」
「酷い男だろう。お前が苦しんでいるのを知りながら、ただ待っていたのだ」
「いいえ」
女の声が、揺れていた。
「陛下は、私の意思を尊重してくださいました。無理やり連れ去るのではなく、私が自由になるのを待ってくださった」
「だが」
「それが、どれほど嬉しかったか」
涙声。
「陛下は、私を一人の人間として見てくださいました。『悪女』でも『可哀想な令嬢』でもなく。ただ、私として」
衣擦れの音。
抱き返す気配。
「だから、私は帝国に来ましたわ。陛下の元へ」
「ティアラ」
「私の選択は、正しかったですわ」
女の声が、はっきりと響いた。
「陛下の元で、私は幸せですもの」
沈黙。
雪が、静かに降り続ける気配。
「ティアラ」
「はい」
「余も、幸せだ」
抱きしめる気配。
「お前がいてくれて、余は幸せだ」
深く息を吸う音。
「もう二度と、お前を手放さん」
「はい」
「何があっても、余の傍にいろ」
「ずっと、おりますわ」
衣擦れの音。
口づけの気配。
しばらくの沈黙。
女が、ふと笑う気配。
「陛下」
「何だ」
「あの夜、私を救ってくださったこと。一生、忘れませんわ」
沈黙。
「……でも」
女の声が、ほんの少しだけ、冷たくなった。
「あの夜、私を追い詰めた者たちのことも、忘れませんの」
男の息が、詰まる気配。
「ティアラ」
「大丈夫ですわ。復讐などいたしません」
女が、くすりと笑う気配。
「もう、する必要がありませんもの。彼らは自滅しましたわ。私は何もしていませんのに」
「……ティアラ」
「ふふ。陛下は、そんな私でも愛してくださいますか」
「愚問だ」
男の声が、揺るぎなかった。
「お前の全てを愛すると言った。それは、お前の闘い方も含めてだ」
「陛下」
「余の妻は、余が守る。だが、余の妻が自ら牙を剥くことを、余は止めん」
女の息が、震える気配。
「……ありがとうございます」
「礼など要らん」
抱きしめる気配。
「おやすみなさいませ、私の陛下」
「ああ。おやすみ、余の妻」
(ログ終了)
(このファイルは自動消去されました)
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【帝国記録官 ハインリヒの私的メモ 翌日 午前8:00】
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昨日、陛下から直接お話を伺った。
舞踏会の夜のことを。
そして、皇后殿下からも、後に補足をいただいた。
二人の証言を突き合わせて、私は一つの記録を作成した。
【回想記録 帝国歴三九九年 秋 フローレンス王国 王宮舞踏会】
この記録は、公式文書には含まれない。
極秘扱いとする。
だが、この記録が存在することに、意味がある。
二人の出会いは、どこにも記録されていなかった。
フローレンスの公式記録には、「氷の皇帝は早々に退席した」としか残っていない。
しかし、真実は違う。
あの夜、二人は出会った。
そして、二人の運命は、交わった。
私は、その真実を記録する。
記録官として。
そして、二人の側近として。
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一つ、気になることがある。
皇后殿下は、あの夜、「死のうとしていた」と仰った。
陛下も、それを知っていたと仰った。
あの華やかな舞踏会の裏で、そのようなことがあったとは。
殿下が、どれほど追い詰められていたか。
想像するだけで、胸が痛む。
しかし、殿下は生きることを選んだ。
陛下と出会い、生きる理由を見つけた。
そして今、殿下は帝国皇后として、幸せに暮らしている。
陛下の愛情を一身に受け、国政を支えている。
これは、奇跡だ。
二人が出会ったこと。
二人が結ばれたこと。
全てが、奇跡だ。
私は、その奇跡の証人だ。
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【ヴァルトシュタイン帝国 城下町 掲示板】
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【考察】陛下と皇后様の出会いが気になりすぎる件
21:名無しの帝国民
続き
昨日の話題引っ張ってすまん
22:名無しの帝国民
いや分かる
気になるよな
23:名無しの帝国民
フローレンスの舞踏会で出会ったんだっけ
24:名無しの帝国民
そう
「退屈そうだな」って声かけたらしい
25:名無しの帝国民
陛下のナンパ術
26:名無しの帝国民
>>25
ナンパって言うな
27:名無しの帝国民
でも実質ナンパだろ
28:名無しの帝国民
一目惚れだったらしいぞ
29:名無しの帝国民
>>28
マジ?
30:名無しの帝国民
ソースは
31:名無しの帝国民
宮廷筋の噂
32:名無しの帝国民
信憑性あるのか
33:名無しの帝国民
でも陛下の溺愛っぷり見てると納得する
34:名無しの帝国民
それな
あれは一目惚れの男の行動だわ
35:名無しの帝国民
皇后様も陛下に救われたって言ってたしな
36:名無しの帝国民
運命の出会いってやつか
37:名無しの帝国民
尊い
38:名無しの帝国民
でも皇后様、当時は婚約者いたんだろ
39:名無しの帝国民
>>38
アルベルトな
40:名無しの帝国民
その婚約者に捨てられて帝国に来たんだっけ
41:名無しの帝国民
陛下が待ってたわけだ
42:名無しの帝国民
>>41
待ってた?
43:名無しの帝国民
「帝国で待っている」って言ったらしい
44:名無しの帝国民
>>43
かっこよすぎないか
45:名無しの帝国民
イケメン無罪
46:名無しの帝国民
>>45
それ
47:名無しの帝国民
でも待ってる間、皇后様は辛かったんだよな
48:名無しの帝国民
>>47
それを思うと複雑
49:名無しの帝国民
でも結果的には幸せになった
50:名無しの帝国民
結果オーライ
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【陛下、実は待っていた説】
51:名無しの帝国民
整理するぞ
52:名無しの帝国民
頼む
53:名無しの帝国民
1. 舞踏会で出会う
2. 陛下「帝国で待ってる」
3. 皇后様、フローレンスで苦労
4. 追放される
5. 陛下が迎える
6. 溺愛生活スタート
54:名無しの帝国民
分かりやすい
55:名無しの帝国民
つまり陛下は最初から狙ってた
56:名無しの帝国民
>>55
待ってただけだろ
57:名無しの帝国民
待つのも狙いのうち
58:名無しの帝国民
陛下の忍耐力すごいな
59:名無しの帝国民
4年くらい待ったのか?
60:名無しの帝国民
>>59
舞踏会から追放まで考えるとそのくらいか
61:名無しの帝国民
4年間ずっと待ってたとか
62:名無しの帝国民
一途すぎる
63:名無しの帝国民
これが氷の皇帝の本性か
64:名無しの帝国民
表は氷、中は炎
65:名無しの帝国民
詩人気取りかよ
66:名無しの帝国民
でも合ってる
67:名無しの帝国民
皇后様限定で氷が溶けるんだな
68:名無しの帝国民
なるほど
69:名無しの帝国民
運命の相手ってやつだ
70:名無しの帝国民
尊すぎて無理
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【映像ログ017-A 帝国宮殿 皇后のサロン 同日 午後2:00】
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送信元:帝国記録局 第一班
映像品質:良好
配信範囲:帝国内限定
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(映像開始)
皇后のサロン。
午後の光が、窓から差し込んでいる。
ティアラは、ソファに腰掛け、書類に目を通していた。
その向かいには、リリィが座っている。
「殿下、ご報告がございます」
リリィが、姿勢を正して言った。
「何でしょう」
「救済事業の調査が進みました。帝都に流れ着いた方々の身元確認です」
「そうですか」
ティアラは、書類を受け取った。
「現在、47名の身元が判明しております」
「47名」
ティアラの指が、書類の上を滑った。
「フローレンスからの難民が、これほど多いとは」
「はい。皆、アルベルト様か、マリア様か、あるいは王国そのものに居場所を奪われた方々です」
リリィの声が、少し震えた。
「私と、同じように」
「……そうですか」
ティアラは、書類を閉じた。
「リリィさん」
「はい」
「彼らには、新しい居場所を用意してあげてくださいませ」
「はい。必ず」
「そして、彼らの話を、よく聞いてあげてくださいね」
ティアラは、穏やかに微笑んだ。
「辛い経験を共有することで、心が軽くなることもありますから」
「……はい」
リリィは、深く頷いた。
「殿下のお言葉、胸に刻みます」
「よろしくお願いいたしますわ」
ティアラは、立ち上がった。
窓辺に歩み寄り、外を眺める。
「リリィさん」
「はい」
「彼らの証言は、全て記録しておいてくださいませ」
「記録、ですか」
「ええ」
ティアラは、振り返らなかった。
「いつか、役に立つかもしれませんから」
その翠色の瞳が、一瞬だけ、冷たく光った。
しかし、リリィの位置からは見えなかった。
(映像終了)
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【映像ログ017-B 帝国宮殿 執務室 同日 午後4:00】
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送信元:帝国記録局 第一班
映像品質:良好
配信範囲:帝国内限定
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(映像開始)
執務室。
ジークハルトは、今日も膝枕をしていた。
ただし、今日は少し違う。
彼の手には、一冊の古い日記があった。
「ティアラ」
「はい」
「この日記、読んでもいいか」
ティアラは、少し驚いた表情をした。
「陛下がお読みになりたいのですか」
「ああ。お前の過去を、もっと知りたい」
「でも、恥ずかしいことばかり書いてありますわ」
「構わん」
ジークハルトは、日記を胸に抱いた。
「お前の恥ずかしいところも、余は知りたい」
「陛下」
「お前の全てを、余のものにしたいのだ」
ティアラは、しばらく黙っていた。
そして、くすりと笑った。
「陛下は、欲張りですわね」
「ああ。お前に関しては、とても欲張りだ」
「では、どうぞ」
ティアラは、日記を指さした。
「でも、笑わないでくださいませね」
「約束する」
ジークハルトは、日記を開いた。
最初のページ。
幼い文字で、こう書いてあった。
『今日、アルベルト様にお会いしました。とても素敵な方でした。いつか、この方と結婚できたら、どんなに幸せでしょう』
ジークハルトの眉が、ぴくりと動いた。
「陛下」
ティアラが、慌てて言った。
「昔の話ですわ。今は、陛下だけを」
「分かっている」
ジークハルトは、ページをめくった。
「続きを読む」
「でも、陛下」
「お前の過去だ。余が受け止める」
ジークハルトの声は、穏やかだった。
「たとえ、他の男のことが書いてあっても。それも含めて、お前の全てだ」
ティアラは、言葉を失った。
そして、柔らかく微笑んだ。
「陛下は、本当に優しい方ですわ」
「優しくなどない」
「いいえ。とても優しいですわ」
ティアラは、彼の銀髪を撫でた。
「だから、私は陛下を愛しているのですもの」
ジークハルトは、日記から目を上げた。
そして、ティアラを見つめた。
「余も、愛している」
「はい」
「お前の全てを。過去も、現在も、未来も」
ティアラは、深く頷いた。
「私も、陛下の全てを愛しておりますわ」
二人は、黙って見つめ合った。
午後の光が、二人を優しく包んでいた。
(映像終了)
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【帝国記録官 ハインリヒの私的メモ 同日 午後6:00】
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今日、不思議なことがあった。
陛下が、皇后殿下の日記を読み始めたのだ。
殿下がフローレンスにいた頃の日記。
アルベルトとの婚約時代のことも書いてあるはずだ。
普通なら、嫉妬するところだろう。
しかし、陛下は穏やかだった。
「お前の過去だ。余が受け止める」
そう仰った。
陛下の愛情は、本物だ。
殿下の過去も、現在も、全てを受け入れようとしている。
二人の絆は、日に日に深まっている。
私は、その証人だ。
そして、記録する者だ。
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【ヴァルトシュタイン帝国 城下町 掲示板】
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【速報】陛下、皇后様の元婚約者日記を読破中
71:名無しの帝国民
陛下が日記読んでるらしい
72:名無しの帝国民
皇后様の日記?
73:名無しの帝国民
そう
フローレンスから返却されたやつ
74:名無しの帝国民
元婚約者のこと書いてあるんじゃね
75:名無しの帝国民
>>74
陛下、嫉妬しないのか
76:名無しの帝国民
「お前の全てを受け止める」って言ったらしい
77:名無しの帝国民
>>76
かっこいい
78:名無しの帝国民
器がでかすぎる
79:名無しの帝国民
さすが皇帝
80:名無しの帝国民
でも内心は嫉妬してるだろ
81:名無しの帝国民
>>80
だろうな
82:名無しの帝国民
でもそれを表に出さないのがすごい
83:名無しの帝国民
大人の愛だな
84:名無しの帝国民
俺には無理
85:名無しの帝国民
>>84
お前に彼女いないだろ
86:名無しの帝国民
>>85
やめろ
87:名無しの帝国民
とにかく二人は幸せそう
88:名無しの帝国民
それが一番だ
89:名無しの帝国民
帝国万歳
90:名無しの帝国民
両陛下万歳
-----
【次回予告】
日記が明かす、ティアラの過去。
「私は、彼を愛していましたわ。本当に」
「だが、今は違う」
「ええ。今は、陛下だけを愛しておりますわ」
アルベルトとの婚約時代。
マリアの登場。
そして、崩壊の始まり。
「あの頃の私は、何も知りませんでした」
「知らなくてよかったのだ」
「でも、知らなければ、今の私はいませんわ」
過去を紐解くことで、未来が見えてくる。
「余は、お前の過去を憎まない」
「陛下」
「お前の過去が、今のお前を作ったのだから」
第18話「日記の中の私は、まだ夢を見ていた」
-----
【おまけ:帝国宮殿 皇帝の寝室 深夜】
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深夜。
ジークハルトは、まだ日記を読んでいた。
傍らで、ティアラは眠っている。
「……」
ジークハルトは、あるページで手を止めた。
そこには、こう書いてあった。
『今日、舞踏会がありました。氷の皇帝という方にお会いしました。変な方でした。でも、少しだけ、救われた気がします』
ジークハルトの目が、柔らかくなった。
「……変な方、か」
彼は、小さく笑った。
「お前こそ、変な女だ」
そして、日記を閉じた。
ティアラの髪を、そっと撫でる。
「余は、お前に会えてよかった」
囁きは、夜の静寂に溶けていった。
窓の外では、まだ雪が降っていた。
あの夜と、同じように。
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