「俺と一緒に海を見ませんか?」

チャビューヘ

文字の大きさ
4 / 5

第4話「贖罪の夜」

しおりを挟む
 翔太が目を覚ましたのは深夜だった。隣で眠る蓮の寝息が聞こえる。昨夜のことを思い出して、頬が熱くなった。初めて男性と結ばれた夜。痛みも快感も、全てが新鮮だった。

 そっとベッドから起き上がり、キッチンで水を飲む。窓の外は静かな夜だった。台風が去ってから、もう三日が過ぎている。

「眠れませんか」

 背後から蓮の声がした。振り返ると、蓮が薄いTシャツ一枚で立っている。

「起こしてしまいましたか」

「いえ。俺も目が覚めました」

 蓮が隣に立つ。二人で窓の外を見つめた。

「蓮さん」

「はい」

「昨日、佐藤と話して思ったんです」

 翔太は蓮を見た。

「俺、蓮さんのことほとんど知らない」

 蓮の表情が少し曇った。

「知りたいですか」

「はい」

 蓮は深く息を吸った。

「長い話になります」

「時間はあります」

 二人はリビングのソファに座った。蓮は少し間を置いてから話し始めた。

「俺にも、親友がいました」

 翔太は身を乗り出した。

「名前は田中。大学時代の友人でした」

 蓮の声は低く、どこか痛みを帯びていた。

「田中は俺と違って、明るくて人気者でした。でも俺のことを大切にしてくれて」

「佐藤さんみたいな」

「ええ。よく似ています」

 蓮は窓の外を見つめた。

「卒業後、俺たちは同じ運送会社で働きました。田中は営業、俺は運転手」

「今と同じお仕事を」

「その頃は昼間の配送でした」

 蓮の手が僅かに震えた。

「ある日、田中が俺に相談してきました。会社の上司が不正をしていると」

 翔太の胸が締め付けられた。

「田中はそれを告発しようとしていました。しかし」

 蓮は拳を握った。

「俺は止めたんです」

「どうして?」

「怖かったから」

 蓮の声は小さくなった。

「告発すれば、俺たちも巻き込まれる。クビになるかもしれない。だから」

 蓮は顔を覆った。

「俺は田中を裏切ったんです」

 翔太は何も言えなかった。

「田中は一人で告発しました。結果的に不正は暴かれましたが」

 蓮の目に涙が浮かんだ。

「田中は会社を辞めることになった。俺だけが残って」

「蓮さん……」

「それから田中とは疎遠になりました。俺が連絡を取ろうとしても、避けられて」

 翔太は蓮の手を握った。

「最後に会ったのは三年前。田中は別の街に引っ越していました」

「何か言われましたか」

「『お前は何も悪くない』って」

 蓮は苦しそうに笑った。

「でもそれが一番辛かった。怒ってくれた方が楽だった」

 翔太は蓮を抱きしめた。

「それで夜勤の運転手に?」

「人と関わるのが怖くなって。夜なら一人でいられるから」

 翔太の胸が痛んだ。この優しい人が、ずっと一人で苦しんでいたなんて。

「でも翔太さんに出会って」

 蓮は翔太を見つめた。

「初めて思ったんです。もう一度、誰かを大切にしたいって」

 翔太の目に涙があふれた。

「俺も……俺も蓮さんを大切にしたい」

 二人の唇が重なった。今度は翔太から積極的に。舌を絡めて、深く求め合う。

「翔太……」

「蓮さん」

 翔太は蓮を押し倒した。昨夜とは立場が逆だった。

「今度は俺が……」

 翔太は蓮のTシャツを脱がせた。がっしりとした胸板、厚い胸筋。指先で乳首に触れると、蓮が小さく身震いした。

「感じるんですね」

「ああ……」

 翔太は蓮の乳首を舌で舐めた。蓮の体がびくりと反応する。昨夜自分が感じた快感を、今度は蓮に与えている。

「翔太……」

 蓮の声が甘くなっていく。翔太はもう片方の乳首も同じように愛撫した。蓮の下半身に変化が現れる。

 翔太は蓮のスウェットパンツを脱がせた。下着の上からでも分かる膨らみ。手のひらで触れると、蓮は息を呑んだ。

「硬くなってる」

「当たり前です……翔太がそんなことするから」

 翔太は蓮の下着も脱がせた。露わになった蓮の勃起を見つめる。大きく、血管が浮き出ている。

「昨夜はこれが……俺の中に」

 翔太の頬が赤くなる。蓮も恥ずかしそうに目を逸らした。

「見ないでください……」

「きれいですよ」

 翔太は蓮のペニスに手を伸ばした。熱く、硬い。握ってみると、蓮は声を上げた。

「んっ……」

 翔太の手が上下に動く。蓮の先端から透明な液体が滲み出てきた。

「蓮さんも……感じてくれてる」

 翔太は蓮の体の上に跨った。騎乗位の格好になる。

「翔太……その格好は」

「だめですか?」

「いえ……でも……」

 蓮の言葉を遮るように、翔太は腰を下ろした。蓮の勃起が翔太のお尻の割れ目に挟まれる。

「あ……」

 二人同時に声を上げた。蓮の熱いペニスが翔太の敏感な部分に触れている。

 翔太は腰を前後に動かした。蓮のペニスが翔太の割れ目を擦る。素股の状態だった。

「気持ちいい……」

 翔太の動きに合わせて、蓮も腰を動かす。お互いの性器が擦れ合う快感に、二人は夢中になった。

「翔太……そろそろ……」

 蓮が潤滑剤を取り出した。翔太は少し腰を浮かせて、蓮が自分のペニスに塗るのを待った。

「入れますよ」

 翔太は蓮の先端を自分の入り口に当てた。昨夜の記憶が蘇る。あの痛みと快感。

 ゆっくりと腰を下ろしていく。蓮のペニスが少しずつ入ってくる。

「ああ……」

 翔太の顔が歪んだ。まだ慣れない感覚。しかし昨夜より楽だった。

「大丈夫?」

「はい……続けます」

 翔太は最後まで降りた。蓮のペニスが完全に翔太の中に入った状態。

「全部……入りました」

 蓮の目が見開かれていた。下から見上げる翔太の姿に、強い興奮を覚えているようだった。

「きれい……」

 蓮が呟く。翔太は恥ずかしそうに体を揺らした。その動きだけで、蓮のペニスが翔太の中で動く。

「んっ……」

 翔太は本格的に腰を動かし始めた。上下に、前後に。自分の気持ち良い角度を探しながら。

「そこ……そこがいい……」

 蓮のペニスが翔太の前立腺を擦った。電気のような快感が走る。

 蓮も下から翔太の腰を支えながら、一緒に動いた。翔太の中で蓮のペニスが踊るように動く。

「蓮さん……気持ちいい……」

「俺も……翔太の中、最高です……」

 翔太の勃起したペニスが、蓮の腹部に当たって擦れている。両方からの刺激に、翔太は理性を失いそうになった。

「もう……だめかも……」

 翔太の動きが激しくなる。蓮も合わせて腰を突き上げた。

「翔太……」

「蓮さん……一緒に……」

 しかし今度も同じタイミングにはならなかった。翔太が先に限界に達した。

「イク……イクっ……」

 翔太の精液が蓮の胸に飛び散った。翔太の絶頂に合わせて、翔太の中がきつく締まる。

「翔太……」

 蓮も続いて達した。翔太の中に熱いものが注がれる。

 翔太は蓮の上に崩れ落ちた。二人とも荒い息をついている。

「すごかった……」

 翔太が蓮の胸に顔を埋める。

「翔太が動いてくれて……新鮮でした」

「俺も……自分から動くなんて初めて」

 蓮は翔太の髪を撫でた。

「成長しましたね」

「蓮さんのおかげです」

 翔太は蓮の顔を見上げた。

「俺たち、似てるんですね」

「ええ」

「でも」

 翔太は蓮にキスをした。

「もう一人じゃない」

「ええ。もう一人じゃありません」

 二人はシャワーを浴びて、再びベッドに戻った。抱き合いながら眠りにつく前に、翔太は蓬莱に囁いた。

「明日、田中さんに連絡してみませんか」

 蓮は少し驚いた。

「しかし……」

「俺が一緒にいます。俺も佐藤に謝れました。きっと大丈夫」

 蓮は翔太を抱きしめた。

「ありがとう」

「こちらこそ」

 窓の外では、雲の切れ間から月が顔を出していた。台風が運んできた雲も、だんだん晴れ始めている。

 二人の心も、長い間覆っていた雲が晴れつつあった。明日は新しい一日になるだろう。そして多分、もっと明るい未来が待っているはずだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

チョコのように蕩ける露出狂と5歳児

ミクリ21
BL
露出狂と5歳児の話。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

水泳部物語

佐城竜信
BL
タイトルに偽りありであまり水泳部要素の出てこないBLです。

処理中です...