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獅子の封蝋
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義兄様が、私に話しかけてきた。
朝食後の廊下。
すれ違いざまではない。
わざわざ足を止めて、振り返って。
「あの女に気をつけろ」
低い声だった。
以前のような感情的な怒りではない。
冷静な、警告の響き。
私は足を止めた。
心臓が跳ねる。
義兄様が自分から話しかけてきた。
それだけでも、十分に驚きだ。
「あの、女……?」
誰のことか。聞かなくてもわかる。
でも、確認したかった。
義兄様の顔が、険しくなった。
「メイド長だ」
「都と繋がってる」
都。
王都のことだ。
私の背筋に、冷たいものが走った。
マルタさんが、王都と繋がっている。
ただのメイド長ではない。
やはり、そうだったのか。
「な、なんで……」
私の声が震えた。
演技ではない。本当に怖かった。
義兄様は答えなかった。
ただ、鋭い目で私を見据えた。
金色の瞳。
以前よりも、深い光を宿している。
「俺も、詳しくは知らない」
「だが、あいつの動きは変だ」
「父上に報告してる様子がない」
父上に報告していない。
マルタさんの主人は、お父様ではない。
別の誰か。王都の誰かに仕えている。
私は息を呑んだ。
「あり、がとう、ございます」
義兄様の眉が、ぴくりと動いた。
礼を言われるとは思わなかったのだ。
すぐに顔をそむけた。
「礼はいい」
「お前は、俺の」
義兄様が言葉を切った。
何かを言いかけて、やめた。
「とにかく、気をつけろ」
それだけ言って、義兄様は去った。
長い足が、廊下を遠ざかる。
背筋が伸びている。力強い歩みだ。
顔色も良い。完食が続いているのだろう。
私は小さく息を吐いた。
義兄様が、私を守ろうとしている。
それが伝わってきた。
「俺の」の続きは、何だったのか。
妹、と言おうとしたのか。
それとも、別の言葉か。
でも、今はそれどころではない。
マルタさんは、王都と繋がっている。
私の敵は、屋敷の中だけではない。
昼前。
私は刺繍の部屋に向かっていた。
廊下の角を曲がろうとしたとき。
声が聞こえた。
マルタさんの声だ。
私は足を止めた。
柱の影に身を隠す。
心臓がうるさい。
「こちらが、報告書でございます」
マルタさんの声。
いつもの甘い響きではない。
硬く、事務的な口調だった。
「確かに」
別の声が答えた。
男の声。聞いたことがない。
使者だろうか。伝令か。
私はそっと顔を出した。
廊下の向こう。
マルタさんの手には、白い封筒。
封筒は無地だが、受け取った男の懐からチラリと赤い蝋。刻まれた紋章。
獅子が牙を剥いている。
あの物語で何度も見た紋章。
王家のものだ。
私の息が止まった。
なぜ、侍女頭が王家への報告書を?
屋敷の情報を、王都に送っている。
誰の指示で。何のために。
男が封筒を受け取った。
懐に仕舞う。
二人は短く言葉を交わした。
内容は聞き取れない。
男が去っていく。
マルタさんは、背を見送った。
やがて、振り返った。
私は慌てて身を隠した。
見られた。きっと見られた。
心臓が喉まで跳ね上がる。
足音が近づいてくる。
私は動けなかった。
「あら、お嬢様」
マルタさんの声。
いつもの、甘い響きに戻っていた。
「こんなところで、どうされましたの?」
私は顔を上げた。
笑顔を作る。無邪気な顔を。
「あ、あの……」
「おへやに、いくところでした」
マルタさんが微笑んだ。
目は笑っていない。
いつものことだ。
でも、今日は特に冷たく感じた。
「そうですの」
「では、ご一緒しましょうね」
マルタさんが私の手を取った。
冷たい指。
震えそうになるのを必死で堪えた。
獅子の紋章が、瞼の裏に焼きついた。
あれは王家の封蝋。
マルタさんは、王家に報告している。
義兄様の言葉が蘇る。
「都と繋がってる」
本当だった。
私は笑顔を保ちながら、歩いた。
敵は、もっと大きい。
屋敷を超えた、どこか遠くにいる。
夕方、お父様の書斎。
文字の授業、七日目。
お父様は私を膝の上に乗せた。
温かい腕の中。
今日は、いつもより安心した。
「今日は四つ」
お父様が本を開いた。
新しいページ。
難しそうな文字が並んでいる。
「国」
お父様の指が、文字をなぞった。
「くに」
私は繰り返した。
国。領土。民を治める者が支配する。
北部大公領は、王国の一部。
でも、王家とは別の力を持っている。
「民」
「たみ」
民。国に住む人々。
お父様が守っている人たち。
私も、その一人なのだろうか。
「法」
「ほう」
法。守るべき掟。
守らなければ、罰される。
あの物語の私は、冤罪で処刑された。
この世界でも、きっと同じだ。
「鎖」
お父様の指が、四つ目で止まった。
「くさり」
私は静かに繰り返した。
鎖。縛るもの。逃げられないもの。
見えない鎖もある。
立場という鎖。血筋という鎖。
お父様が、しばらく黙っていた。
灰色の瞳が、本を見つめている。
「重いか」
お父様が、問いかけた。
私を見下ろして。
重いか。
何が重いのか。
鎖のことか。別の何かか。
私は考えた。
この人は、何を聞いているのだろう。
国を治める重さか。
血筋に縛られる重さか。
それとも、見えない敵と戦う重さか。
「見えない鎖なら」
私は小さく答えた。
「重くないふりが、できます」
お父様の目が、わずかに見開かれた。
すぐに元に戻った。
「そうか」
お父様は短く答えた。
それだけだった。
でも、お父様の手が、私の頭を撫でた。
いつもより、少し長く。
いつもより、少し優しく。
「それでいい」
お父様が言った。
その言葉の意味を、私は考えた。
縛られていることを、悟らせるな。
監視に気づいても、知らないふりを。
それが、お父様の教えだ。
お父様は知っているのだ。
マルタさんが王家へ報告している。
でも、泳がせている。
私にも、泳がせろと言っている。
見えない敵との戦い。
お父様も、同じ戦場にいる。
「復習しろ」
お父様が言った。
「は、はい」
私は机に向かった。
紙に文字を書く。
国。民。法。鎖。
四つの言葉。
国を治める者の言葉だ。
民を守り、法で裁き、鎖で縛る。
支配者の言葉。
王家が、お父様を監視している。
お父様は、王家の下にいる。
見えない鎖で縛られている。
私は震えそうになった。
敵は、大きすぎる。
王家という、巨大な化け物。
マルタさんは、その手先に過ぎない。
本当の敵は、もっと遠くにいる。
王都の、どこかに。
「終わったか」
「は、はい」
私は紙を差し出した。
お父様は無言でそれを見た。
「いい」
短い言葉。いつもの褒め言葉。
お父様が私を見下ろした。
「見えない鎖は」
お父様が、低く呟いた。
「いつか、断ち切れる」
「そのときまで、耐えろ」
私は頷いた。
言葉が出なかった。
お父様も、戦っている。
見えない敵と。
王家という、巨大な鎖と。
「また明日」
お父様が言った。
「は、はい」
「ありがとう、ございました」
私は書斎を出た。
部屋に戻ると、窓の外を見た。
夕日が沈んでいく。
赤い光が、空を染めている。
獅子の紋章を思い出す。
王家の封蝋。
報告書には、何が書いてあったのか。
「お嬢様は順調に成長しています」
そんな内容だろうか。
それとも、もっと別のことか。
私の行動が、逐一報告されている。
本を隠していること。
義兄様と合図を交わしていること。
お父様に文字を教わっていること。
すべてが王都に筒抜けかもしれない。
私は引き出しを開けた。
革張りの本が、そこにある。
まだ大丈夫。まだ見つかっていない。
でも、どこまで泳がされているのか。
マルタさんは、気づいていないのか。
それとも、知って報告しているのか。
わからない。
見えない敵は、どこまでも見えない。
ベッドに潜り込んだ。
毛布が温かい。
でも、心は冷えていた。
王家が、この屋敷を監視している。
私を、監視している。
お父様を、監視している。
見えない鎖が、私たちを縛る。
でも、お父様は言った。
「いつか断ち切れる」と。
「そのときまで、耐えろ」と。
私は目を閉じた。
今日学んだ文字が、瞼の裏に浮かぶ。
国。民。法。鎖。
この国には、法がある。
法を破れば、裁かれる。
あの物語の私は、冤罪で処刑された。
誰かに陥れられて。
その「誰か」は、王家なのだろうか。
北部大公家を潰すために。
私を利用したのだろうか。
考えれば考えるほど、怖くなった。
敵が見えない。
大きすぎて、見えない。
でも、一人ではない。
お父様がいる。
義兄様がいる。
執事さんも、バルバロスさんも。
私だけじゃない。
みんな、同じ鎖に縛られている。
私は静かに眠りについた。
獅子の紋章に囲まれた、城の中で。
朝食後の廊下。
すれ違いざまではない。
わざわざ足を止めて、振り返って。
「あの女に気をつけろ」
低い声だった。
以前のような感情的な怒りではない。
冷静な、警告の響き。
私は足を止めた。
心臓が跳ねる。
義兄様が自分から話しかけてきた。
それだけでも、十分に驚きだ。
「あの、女……?」
誰のことか。聞かなくてもわかる。
でも、確認したかった。
義兄様の顔が、険しくなった。
「メイド長だ」
「都と繋がってる」
都。
王都のことだ。
私の背筋に、冷たいものが走った。
マルタさんが、王都と繋がっている。
ただのメイド長ではない。
やはり、そうだったのか。
「な、なんで……」
私の声が震えた。
演技ではない。本当に怖かった。
義兄様は答えなかった。
ただ、鋭い目で私を見据えた。
金色の瞳。
以前よりも、深い光を宿している。
「俺も、詳しくは知らない」
「だが、あいつの動きは変だ」
「父上に報告してる様子がない」
父上に報告していない。
マルタさんの主人は、お父様ではない。
別の誰か。王都の誰かに仕えている。
私は息を呑んだ。
「あり、がとう、ございます」
義兄様の眉が、ぴくりと動いた。
礼を言われるとは思わなかったのだ。
すぐに顔をそむけた。
「礼はいい」
「お前は、俺の」
義兄様が言葉を切った。
何かを言いかけて、やめた。
「とにかく、気をつけろ」
それだけ言って、義兄様は去った。
長い足が、廊下を遠ざかる。
背筋が伸びている。力強い歩みだ。
顔色も良い。完食が続いているのだろう。
私は小さく息を吐いた。
義兄様が、私を守ろうとしている。
それが伝わってきた。
「俺の」の続きは、何だったのか。
妹、と言おうとしたのか。
それとも、別の言葉か。
でも、今はそれどころではない。
マルタさんは、王都と繋がっている。
私の敵は、屋敷の中だけではない。
昼前。
私は刺繍の部屋に向かっていた。
廊下の角を曲がろうとしたとき。
声が聞こえた。
マルタさんの声だ。
私は足を止めた。
柱の影に身を隠す。
心臓がうるさい。
「こちらが、報告書でございます」
マルタさんの声。
いつもの甘い響きではない。
硬く、事務的な口調だった。
「確かに」
別の声が答えた。
男の声。聞いたことがない。
使者だろうか。伝令か。
私はそっと顔を出した。
廊下の向こう。
マルタさんの手には、白い封筒。
封筒は無地だが、受け取った男の懐からチラリと赤い蝋。刻まれた紋章。
獅子が牙を剥いている。
あの物語で何度も見た紋章。
王家のものだ。
私の息が止まった。
なぜ、侍女頭が王家への報告書を?
屋敷の情報を、王都に送っている。
誰の指示で。何のために。
男が封筒を受け取った。
懐に仕舞う。
二人は短く言葉を交わした。
内容は聞き取れない。
男が去っていく。
マルタさんは、背を見送った。
やがて、振り返った。
私は慌てて身を隠した。
見られた。きっと見られた。
心臓が喉まで跳ね上がる。
足音が近づいてくる。
私は動けなかった。
「あら、お嬢様」
マルタさんの声。
いつもの、甘い響きに戻っていた。
「こんなところで、どうされましたの?」
私は顔を上げた。
笑顔を作る。無邪気な顔を。
「あ、あの……」
「おへやに、いくところでした」
マルタさんが微笑んだ。
目は笑っていない。
いつものことだ。
でも、今日は特に冷たく感じた。
「そうですの」
「では、ご一緒しましょうね」
マルタさんが私の手を取った。
冷たい指。
震えそうになるのを必死で堪えた。
獅子の紋章が、瞼の裏に焼きついた。
あれは王家の封蝋。
マルタさんは、王家に報告している。
義兄様の言葉が蘇る。
「都と繋がってる」
本当だった。
私は笑顔を保ちながら、歩いた。
敵は、もっと大きい。
屋敷を超えた、どこか遠くにいる。
夕方、お父様の書斎。
文字の授業、七日目。
お父様は私を膝の上に乗せた。
温かい腕の中。
今日は、いつもより安心した。
「今日は四つ」
お父様が本を開いた。
新しいページ。
難しそうな文字が並んでいる。
「国」
お父様の指が、文字をなぞった。
「くに」
私は繰り返した。
国。領土。民を治める者が支配する。
北部大公領は、王国の一部。
でも、王家とは別の力を持っている。
「民」
「たみ」
民。国に住む人々。
お父様が守っている人たち。
私も、その一人なのだろうか。
「法」
「ほう」
法。守るべき掟。
守らなければ、罰される。
あの物語の私は、冤罪で処刑された。
この世界でも、きっと同じだ。
「鎖」
お父様の指が、四つ目で止まった。
「くさり」
私は静かに繰り返した。
鎖。縛るもの。逃げられないもの。
見えない鎖もある。
立場という鎖。血筋という鎖。
お父様が、しばらく黙っていた。
灰色の瞳が、本を見つめている。
「重いか」
お父様が、問いかけた。
私を見下ろして。
重いか。
何が重いのか。
鎖のことか。別の何かか。
私は考えた。
この人は、何を聞いているのだろう。
国を治める重さか。
血筋に縛られる重さか。
それとも、見えない敵と戦う重さか。
「見えない鎖なら」
私は小さく答えた。
「重くないふりが、できます」
お父様の目が、わずかに見開かれた。
すぐに元に戻った。
「そうか」
お父様は短く答えた。
それだけだった。
でも、お父様の手が、私の頭を撫でた。
いつもより、少し長く。
いつもより、少し優しく。
「それでいい」
お父様が言った。
その言葉の意味を、私は考えた。
縛られていることを、悟らせるな。
監視に気づいても、知らないふりを。
それが、お父様の教えだ。
お父様は知っているのだ。
マルタさんが王家へ報告している。
でも、泳がせている。
私にも、泳がせろと言っている。
見えない敵との戦い。
お父様も、同じ戦場にいる。
「復習しろ」
お父様が言った。
「は、はい」
私は机に向かった。
紙に文字を書く。
国。民。法。鎖。
四つの言葉。
国を治める者の言葉だ。
民を守り、法で裁き、鎖で縛る。
支配者の言葉。
王家が、お父様を監視している。
お父様は、王家の下にいる。
見えない鎖で縛られている。
私は震えそうになった。
敵は、大きすぎる。
王家という、巨大な化け物。
マルタさんは、その手先に過ぎない。
本当の敵は、もっと遠くにいる。
王都の、どこかに。
「終わったか」
「は、はい」
私は紙を差し出した。
お父様は無言でそれを見た。
「いい」
短い言葉。いつもの褒め言葉。
お父様が私を見下ろした。
「見えない鎖は」
お父様が、低く呟いた。
「いつか、断ち切れる」
「そのときまで、耐えろ」
私は頷いた。
言葉が出なかった。
お父様も、戦っている。
見えない敵と。
王家という、巨大な鎖と。
「また明日」
お父様が言った。
「は、はい」
「ありがとう、ございました」
私は書斎を出た。
部屋に戻ると、窓の外を見た。
夕日が沈んでいく。
赤い光が、空を染めている。
獅子の紋章を思い出す。
王家の封蝋。
報告書には、何が書いてあったのか。
「お嬢様は順調に成長しています」
そんな内容だろうか。
それとも、もっと別のことか。
私の行動が、逐一報告されている。
本を隠していること。
義兄様と合図を交わしていること。
お父様に文字を教わっていること。
すべてが王都に筒抜けかもしれない。
私は引き出しを開けた。
革張りの本が、そこにある。
まだ大丈夫。まだ見つかっていない。
でも、どこまで泳がされているのか。
マルタさんは、気づいていないのか。
それとも、知って報告しているのか。
わからない。
見えない敵は、どこまでも見えない。
ベッドに潜り込んだ。
毛布が温かい。
でも、心は冷えていた。
王家が、この屋敷を監視している。
私を、監視している。
お父様を、監視している。
見えない鎖が、私たちを縛る。
でも、お父様は言った。
「いつか断ち切れる」と。
「そのときまで、耐えろ」と。
私は目を閉じた。
今日学んだ文字が、瞼の裏に浮かぶ。
国。民。法。鎖。
この国には、法がある。
法を破れば、裁かれる。
あの物語の私は、冤罪で処刑された。
誰かに陥れられて。
その「誰か」は、王家なのだろうか。
北部大公家を潰すために。
私を利用したのだろうか。
考えれば考えるほど、怖くなった。
敵が見えない。
大きすぎて、見えない。
でも、一人ではない。
お父様がいる。
義兄様がいる。
執事さんも、バルバロスさんも。
私だけじゃない。
みんな、同じ鎖に縛られている。
私は静かに眠りについた。
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