【完結】財務大臣が『経済の話だけ』と毎日訪ねてきます。婚約破棄後、前世の経営知識で辺境を改革したら、こんな溺愛が始まりました

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第10章「種子購入と拡大計画」

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 市場から戻って3日後。

 私は執務室で、地図を広げていた。

 フェルゼン領の全体図。

 現在耕作している100ヘクタールは、領地の一部に過ぎない。

 まだ、広大な未開拓地が残っている。

 オスカーが資料を持ってきた。

「お嬢様、資金状況を整理しました」

 私は受け取った。

 現在の資金、銀貨1,300枚。

 前回の市場売上と、備蓄を合わせた額だ。

「これで、次の投資ができます」

 私は地図に印をつけた。

「農地を、200ヘクタールに拡大します」

 オスカーが目を見開いた。

「倍ですか?」

「ええ。市場の需要は十分にあります」

 私は計算書を見せた。

「ハインリヒとの契約が月50トン」

「他の商人からも引き合いがあります」

「200ヘクタールなら、その需要に応えられます」

 グレンを呼んだ。

 彼は地図を見て、頷いた。

「この区画なら、開墾できます」

 彼が指した場所は、村の南側だった。

「土壌は悪くありません」

「井戸も近いので、水の供給も問題ないでしょう」

「どのくらいの期間がかかりますか?」

「2ヶ月あれば、開墾できます」

 私は手帳に書き込んだ。

「では、すぐに始めましょう」

「人手は?」

 グレンが尋ねた。

「若者を20名、追加で雇います」

 私は計画書を見せた。

「給与は、月銀貨30枚」

「それと、開墾用の道具を購入します」

 オスカーが計算を始めた。

「給与が月600枚、道具が銀貨150枚」

「種子購入が銀貨400枚」

「合計で、銀貨1,150枚です」

 私は頷いた。

「残りの銀貨150枚は、緊急時の備蓄とします」

 グレンが言った。

「お嬢様、大胆ですね」

「でも、今がチャンスです」

 私は窓の外を見た。

「市場での成功が、それを証明しました」

 翌日、村の広場に住民を集めた。

 500人以上が集まった。

 以前より、明らかに増えている。

 噂を聞いて、近隣から移住してきた人々だ。

「皆さん、発表があります」

 私は台の上に立った。

「農地を、200ヘクタールに拡大します」

 どよめきが起こった。

「倍?」

「本当ですか?」

「ええ。そのために、新しく20名を雇用します」

 若者たちが、顔を見合わせた。

「16歳から30歳までの方、希望者は名乗り出てください」

 すぐに、30人以上が手を挙げた。

 前回の18名より、多い。

 私は彼らを見た。

 希望に満ちた目。

 働きたいという意欲。

 それが、何よりも大切だ。

「面接は、明日から始めます」

 私は微笑んだ。

「一緒に、この村を大きくしましょう」

 面接は、3日間続いた。

 一人ひとりと、丁寧に話す。

 前世の人事評価メソッドを使う。

 能力よりも、人柄と意欲。

 それが、長期的には重要だ。

 最終的に、20名を選んだ。

 若者たち。

 中には、隣村から来た者もいる。

「フェルゼンで、働きたいです」

 一人の青年が言った。

「ここなら、希望があります」

「ありがとう」

 私は彼の手を握った。

「期待に、応えてみせます」

 種子の購入は、再び王都へ向かった。

 オスカーとグレンが同行する。

 前回と同じ、シュミット種子商会を訪ねた。

 店主が、笑顔で迎えてくれた。

「エリナ様、お待ちしておりました」

「ありがとうございます」

 私は注文書を渡した。

「今回は、前回の2倍の量です」

 店主が目を見開いた。

「2倍……? 順調なんですね」

「おかげさまで」

 私は微笑んだ。

「市場でも、好評でした」

 店主が頷いた。

「それは良かった」

 彼は倉庫を案内してくれた。

 前回と同じ、高品質な種子。

 小麦、大麦、豆類。

 すべてを、倍の量で購入する。

「総額で、銀貨400枚です」

 店主が言った。

「前回は銀貨200枚でしたので……」

「構いません」

 私は代金を支払った。

「継続的に取引させてください」

「もちろんです」

 店主が深々と頭を下げた。

「エリナ様のような、誠実なお客様は貴重です」

 帰路の馬車の中で、グレンが言った。

「お嬢様、本当に大丈夫ですか?」

「何が?」

「これだけの投資をして、失敗したら……」

「失敗しません」

 私は断言した。

「前回の成功が、基盤を作りました」

「市場での評判も、確立しました」

「今は、拡大する時です」

 オスカーが頷いた。

「お嬢様の判断は、いつも正確です」

「信じています」

 私は二人を見た。

 信頼してくれる仲間がいる。

 それが、何よりも心強かった。

 村に戻ると、開墾作業が始まっていた。

 新しく雇った若者たちが、鍬を振るっている。

 古参の若者たちが、彼らを指導していた。

 ハンスが新人に声をかけている。

「こうやって、根を掘り起こすんだ」

「ありがとうございます」

 新人が、真剣な表情で学んでいる。

 私は、その光景を見て満足した。

 組織が、自然に成長している。

 これが、理想的な形だ。

 2週間後、南側の区画の開墾が半分終わった。

 新しい畑が、広がっている。

 グレンが報告に来た。

「順調です。予定通り進んでいます」

「素晴らしい」

 私は畑を見渡した。

 まだ土の色だが、やがて緑に変わる。

 そして、黄金色になる。

「次の播種は、いつですか?」

「1ヶ月後です」

 グレンが手帳を見た。

「種子も届いています」

「準備は、万全ですね」

「ええ。あとは、天候次第です」

 私は空を見上げた。

 青い空。

 穏やかな風。

 良い兆しだ。

 夜、執務室で会議を開いた。

 オスカー、マリア、グレンが同席する。

「現在の状況を確認しましょう」

 私は資料を広げた。

「農地、200ヘクタールに拡大中」

「雇用、40名に増加」

「種子、2倍量を購入」

「資金残高、銀貨150枚」

 オスカーが確認する。

「緊急時の備蓄としては、十分です」

 グレンが尋ねた。

「次の収穫は、いつ頃ですか?」

「3ヶ月後です」

 私は計算した。

「200ヘクタールなら、収量は2倍」

「銀貨2,400枚相当の収穫が見込めます」

 マリアが驚いた表情を浮かべた。

「そんなに?」

「ええ。そして、ハインリヒとの契約もあります」

 私は契約書を見せた。

「安定した販路が確保されています」

 グレンが立ち上がった。

「お嬢様、これは革命です」

 彼の声は、興奮していた。

「たった半年で、ここまで変わるなんて」

「みんなの努力の結果です」

 私は三人を見た。

「あなたたちがいなければ、できませんでした」

 オスカーが頷いた。

「お嬢様の計画があったからです」

「チームの力です」

 私は微笑んだ。

 一人では、何もできない。

 でも、みんなと一緒なら、奇跡を起こせる。

 それを、この半年で学んだ。

 窓の外で、月が昇っていた。

 開墾中の畑が、月明かりに照らされている。

 まだ、土の色だ。

 でも、やがて緑になる。

 そして、黄金色に輝く。

 私は手帳を開いた。

 次の目標を書き始める。

 200ヘクタールの収穫。

 市場での販売拡大。

 新しい取引先の開拓。

 そして……。

 私はペンを止めた。

 王都から、視察が来るかもしれない。

 これだけの成長を見せれば、財務省が動くだろう。

 前世の経験が、そう教えていた。

 急成長する組織は、必ず注目される。

 私は、その準備も始めなければならない。

「次は、もっと大きく」

 私は呟いた。

 オスカーが尋ねた。

「お嬢様?」

「いえ、何でもありません」

 私は微笑んだ。

「ただ、次の目標を考えていただけです」

 マリアが言った。

「お嬢様は、いつも先を見ていますね」

「それが、経営者の仕事ですから」

 私は手帳を閉じた。

 次の章が、始まろうとしている。

 それを、私は感じていた。

 王都からの視察。

 財務省の調査。

 そして……。

 冷徹な財務大臣との出会い。

 私は深く息を吸った。

 準備を、始めなければならない。

 完璧な資料。

 明確な説明。

 すべてを、整える必要がある。

 前世の知識を、総動員する時が来た。

 私はペンを取り、新しいページを開いた。

「財務省視察対応計画」

 そう書いて、項目を列挙し始めた。



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【作者コメント】

この作品をお読みいただき、ありがとうございました。

本日は15章までは公開してその後定期的な更新としていく予定です!是非応援してください!

感想やご意見などございましたら、お気軽にお寄せください。
今後ともよろしくお願いいたします。

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