【完結】恥ずかしさレベル100で世界最強!? 赤面するほど無敵になる俺の学園ライフ

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第5章:初ランキング戦の敗北

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 一週間が過ぎた。

 月例ランキング戦の日が来た。

 学園の巨大なアリーナに、全校生徒が集まる。

 実戦形式の模擬戦で、順位が決まる。

 蓮は控え室で、一人座っていた。

 額の数字は、15。

 落ち着いている。いや、緊張していないわけではない。

 ただ、恥ずかしい状況ではない。

「柊蓮、Eランク68位」

 アナウンスが響く。

「試合開始」

 蓮はアリーナに入る。

 観客席から、視線が降り注ぐ。

 だが、もう慣れた。

 額の数字は、20に上がっただけだ。

 対戦相手は、Dランクの生徒。

 筋肉質の大柄な男子生徒。

 ギフトは「鋼鉄化」

 。身体を硬化させる能力。

「よろしく」

 相手が拳を打ち合わせる。

 その音が、金属質に響く。

 蓮は構える。

 恥メーター20。

 これでは、ほぼ一般人と同じだ。

 試合開始の合図。

 相手が突進してくる。

 速い。そして重い。

 蓮は避けようとする。

 だが、間に合わない。

 拳が、蓮の腹に入る。

 激痛。

 息が止まる。

 身体が吹き飛ぶ。

 地面に叩きつけられる。

 視界が、揺れる。

「立て」

 相手が言う。

 蓮は立ち上がる。

 足が、震える。

 再び突進。

 蓮は避ける。

 だが、反撃できない。

 力が、足りない。

 蹴りが飛んでくる。

 蓮の脇腹に当たる。

 また吹き飛ぶ。

 観客席から、声が聞こえる。

「弱い……」

「Eランク最下位だもんな」

「恥メーター、全然上がってない」

 蓮は歯を食いしばる。

 恥メーター、25。

 まだ足りない。

 相手の攻撃が続く。

 蓮は防戦一方。

 身体が、痛みで悲鳴を上げる。

 そして、最後の一撃。

 蓮の顔面に、拳が当たる。

 意識が、遠のく。

 地面に倒れる。

 立ち上がれない。

「勝者、Dランク45位」

 アナウンスが響く。

 蓮は、完敗だった。

 医務室のベッドで、蓮は目を覚ました。

 身体中が、痛む。

 柳瀬先生が、心配そうに覗き込んでいる。

「大丈夫」

 柳瀬先生が優しく言う。

「骨は折れてないわ」

 蓮は天井を見つめる。

 負けた。

 圧倒的に、負けた。

「恥メーターが、上がらなかった……」

 蓮が呟く。

「そうね」

 柳瀬先生が頷く。

「戦闘中は、恥ずかしさを感じにくい」

「アドレナリンが出て、別の感情が優先される」

 蓮は拳を握る。

 つまり、戦闘前に恥メーターを上げておかないと、戦えない。

 だが、どうやって。

 その時、扉が開いた。

 明日香と雪菜が、入ってくる。

「蓮」

 明日香が駆け寄る。

 その顔は、心配に満ちている。

「大丈夫」

 雪菜も近づく。

 その表情は、いつもより柔らかい。

「ごめん……」

 蓮が謝る。

「弱くて」

「謝らないで」

 明日香が言う。

「蓮は頑張ったよ」

「でも、負けた」

 蓮が俯く。

「恥メーターが上がらなくて」

 雪菜が、ベッドの横に座る。

「私の責任よ」

 雪菜が静かに言う。

「戦闘前に、恥メーターを上げる方法を教えるべきだった」

「いえ、僕が……」

「聞いて」

 雪菜が蓮の手を握る。

 その手は、冷たいけれど、優しい。

「次は、絶対勝つ」

「そのために、もっと恥をかいてもらう」

「もっと強い刺激で、恥メーターを事前に上げる」

 明日香も頷く。

「私も協力するよ」

「蓮を、絶対強くする」

 蓮は、二人を見る。

 その目は、真剣だ。

 自分のために、ここまで考えてくれている。

「ありがとう……」

 蓮の目が、潤む。

 涙が、一粒こぼれる。

「泣かないで」

 明日香が笑う。

「蓮が泣くと、私も泣きそうになる」

「柊君」

 雪菜が言う。

「あなたは、弱くない」

「ただ、まだ方法を知らないだけ」

 その言葉が、蓮の胸に響く。

 翌日、蓮は教室に戻った。

 クラスメイトの視線が、冷たい。

「昨日の試合、見たよ」

「全然ダメだったな」

「恥メーター、使えないんじゃないの」

 蓮は黙って席につく。

 胸が、痛む。

 言葉が、刺さる。

 授業中も、集中できない。

 自分の無力さが、頭から離れない。

 昼休み、蓮は屋上に逃げた。

 一人になりたかった。

 屋上の柵に寄りかかる。

 青い空が、どこまでも広がっている。

 あの空のように、自分も強くなりたい。

「いた」

 明日香の声が聞こえる。

 雪菜も一緒だ。

「探したんだよ」

 明日香が近づく。

「一人でいたかったのに」

 蓮が言う。

「一人にさせないよ」

 明日香が笑う。

「だって、友達でしょ」

 雪菜が、蓮の横に立つ。

「柊君」

 雪菜が空を見上げる。

「私の姉も、失敗を繰り返した」

「でも、諦めなかった」

「だから強くなれた」

 蓮は雪菜を見る。

「でも、姉さんは……」

「ええ、最後は暴走した」

 雪菜が頷く。

「でも、それまでの姉は誰よりも強かった」

「失敗を恐れなかったから」

 明日香も続ける。

「蓮、覚えてる」

「小学校の時、何度も転んだよね」

「でも、また立ち上がった」

「それが蓮の強さだよ」

 蓮の胸が、温かくなる。

 二人の言葉が、心に染みる。

「次は、勝ちたい」

 蓮が言う。

「絶対に」

「その意気よ」

 雪菜が微笑む。

「じゃあ、特訓再開」

 明日香が拳を握る。

「今度は、私たち二人で蓮を鍛える」

 雪菜が頷く。

「協力するわ」

「明日香さんとは初めてだけど」

「よろしく、雪菜さん」

 明日香が手を差し出す。

 雪菜が、その手を握る。

「よろしく」

 二人の握手を見て、蓮は安心する。

 この二人が、自分を支えてくれる。

「じゃあ、放課後に訓練場で」

 明日香が言う。

「ええ」

 雪菜が頷く。

「柊君、覚悟しておいて」

「今度の訓練は、もっと過激よ」

 蓮の背筋に、冷たいものが走る。

「どんな……」

「秘密」

 二人が同時に言う。

 そして、顔を見合わせて笑う。

 蓮は、少し怖くなった。

 二人が協力したら、一体何をされるのか。

 だが、同時に期待もあった。

 二人と一緒なら、きっと強くなれる。

 放課後、訓練場。

 蓮は、二人の前に立っていた。

「じゃあ、始めましょう」

 雪菜が言う。

「まず、蓮の恥ずかしい思い出を共有」

 明日香が笑う。

「それを元に、再現する」

 雪菜が続ける。

 蓮の顔が、青ざめる。

「再現……」

「そう」

 二人が同時に頷く。

 これから、地獄が始まる。

 蓮は、覚悟を決めた。

 でも、その目には、光があった。

 負けたくない。

 次は、絶対に勝つ。

 そのためなら、どんな恥でもかく。

 蓮の決意が、固まった瞬間だった。



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【あとがき】

この作品をお読みいただき、ありがとうございます。

感想やご意見などございましたら、お気軽にお寄せください。
今後ともよろしくお願いいたします。

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