【完結】恥ずかしさレベル100で世界最強！？ 赤面するほど無敵になる俺の学園ライフ

第19章：颯の観察と恥メーター95の壁

　委員会幹部を倒してから三日が過ぎた。

　蓮は、以前の自分に戻っていた。

　いや、それ以上に強くなっていた。

　訓練場で、四人と特訓する日々。

　恥メーターを上げる練習。

　戦闘技術の向上。

　そして、気づいたことがある。

　恥メーター90台に、安定して到達できる。

　雪菜がキスをする。

　明日香が抱きつく。

　美鈴が囁く。

　莉音が挑発する。

　その度に、額の数字が90前後まで上がる。

「すごいです」

　美鈴が微笑む。

「柊君、本当に強くなった」

「でも」

　雪菜が続ける。

「まだ、95を超えられない」

　その通りだ。

　90から95への壁。

　それが、どうしても越えられない。

「何が足りないんだろう」

　蓮が呟く。

　その時、訓練場の入口に人影が現れた。

　黒崎颯だ。

　四人が緊張する。

　蓮も、身構える。

　だが、颯は戦う気配がない。

「お前……」

　颯が言う。

「変わったな」

　その声に、驚きがある。

　蓮は、颯を見る。

　以前の冷たい目とは違う。

　興味。

　それが、颯の目にある。

「あの戦い、見てた」

　颯が続ける。

「委員会幹部との」

　蓮の心臓が跳ねる。

　あの時、屋上にいたのは。

「お前、恥メーター85まで上げた」

　颯が言う。

「俺との戦いの時は、0だったのに」

　その言葉に、蓮は答える。

「みんなのおかげです」

　颯が、四人を見る。

「仲間、か」

　颯の目が、わずかに揺れる。

　何かを考えている。

「お前、面白くなってきた」

　颯が言う。

「もっと強くなれ」

「次に戦う時は、もっと楽しませろ」

　颯は去っていく。

　蓮は、その背中を見た。

　颯が、認めてくれた。

　わずかだが、成長を。

　胸が熱くなる。

　四人が、蓮を囲む。

「颯さん、柊君を認めたみたい」

　雪菜が言う。

「すごいじゃん」

　明日香が笑う。

「でも」

　美鈴が言う。

「まだ、95の壁があります」

　その通りだ。

　颯に勝つには、100が必要だ。

　だが、95すら超えられない。

　その日の夕方。

　蓮は図書館にいた。

　資料を探している。

　恥メーターを上げる方法。

　何か、ヒントがないか。

　書架の間を歩く。

　その時、声が聞こえた。

「柊君？」

　雪菜の声だ。

　蓮は声のする方へ向かう。

　角を曲がる。

　そこで、蓮は固まった。

　雪菜が、着替えていた。

　制服を脱いで、体操着に着替える途中。

　白い下着姿。

　肌が露わになっている。

　蓮の思考が停止する。

　雪菜も、固まる。

　二人の視線が交わる。

　沈黙。

　三秒後。

「きゃっ」

　雪菜が小さく叫ぶ。

　服で身体を隠す。

　顔が真っ赤になる。

「ひ、柊君……」

　雪菜の声が震える。

「な、何してるんですか」

　蓮の顔も、燃えるように熱い。

　心臓が、暴れている。

　額の数字が、60に跳ね上がる。

「ご、ごめん」

　蓮が慌てる。

「見てない、何も見てない」

「嘘です」

　雪菜が言う。

「絶対、見ました」

　その顔が、さらに赤くなる。

　耳まで真っ赤だ。

　蓮は、背を向ける。

　壁に向き直る。

「着替えて」

　蓮が言う。

「は、はい……」

　衣擦れの音が聞こえる。

　雪菜が着替えている音。

　蓮の顔が、まだ熱い。

　心臓が落ち着かない。

　額の数字が、70に上がる。

　そして、蓮は気づく。

　雪菜の恥ずかしさが。

　自分に伝わってくる。

　微かに。

　でも、確かに。

　雪菜の心拍。

　顔の熱さ。

　震える手。

　全てが、感じられる。

　この感覚。

　温泉の時も感じた。

　美鈴の看病の時も。

　他人の恥ずかしさを感じ取る力。

　それが、今、はっきりしている。

「柊君」

　雪菜の声。

「着替え、終わりました」

　蓮は振り返る。

　雪菜が、体操着姿で立っている。

　その顔は、まだ赤い。

「本当に、ごめん」

　蓮が謝る。

「わざとじゃ……」

「わかってます」

　雪菜が遮る。

　でも、その目が泳いでいる。

「でも……恥ずかしかったです」

　雪菜が小さく言う。

　その言葉に、蓮の胸が締め付けられる。

　完璧な生徒会長。

　いつも冷静な雪菜。

　その雪菜が、恥ずかしがっている。

　蓮の顔が、また熱くなる。

　額の数字が、75に上がる。

「あの……」

　雪菜が言う。

「これは、誰にも言わないでください」

「もちろん」

　蓮が答える。

　雪菜が、わずかに微笑む。

「でも」

　雪菜が続ける。

「恥メーター、上がりましたね」

　その言葉に、蓮は額を確認する。

　75。

「本当だ……」

「それなら」

　雪菜が言う。

「この恥ずかしさも、無駄じゃない」

　雪菜が、少し笑う。

　恥ずかしそうに。

　蓮は、その笑顔を見た。

　可愛い。

　額の数字が、80に達する。

　二人は、図書館を出た。

　並んで廊下を歩く。

「でも」

　雪菜が言う。

「95の壁は、まだありますね」

「ああ」

　蓮が頷く。

　雪菜が考え込む。

「美鈴さんに、相談しましょう」

　翌日、放課後。

　五人は、生徒会室に集まった。

　美鈴が、目を閉じている。

　未来を見ている。

　やがて、目を開ける。

「見えました」

　美鈴が言う。

「柊君が、95を超える未来」

　四人が、身を乗り出す。

「どうすればいいの」

　明日香が尋ねる。

「もっと根本的な恥が必要です」

　美鈴が答える。

「根本的な……」

　蓮が呟く。

「今までの恥ずかしさは」

　美鈴が続ける。

「表面的なものでした」

「服装や、接触や、状況」

　美鈴が、蓮を見つめる。

「でも、95を超えるには」

「もっと深い恥ずかしさが必要です」

「深い恥ずかしさ……」

　雪菜が考える。

「蓮が、一番恥ずかしいことって？」

　明日香が尋ねる。

　蓮は、考える。

　一番恥ずかしいこと。

　それは……

「好きな人に」

　蓮が言う。

「本気で告白すること」

　四人の目が見開かれる。

「告白……」

　雪菜が呟く。

「本気の……」

　明日香が続ける。

「それです」

　美鈴が言う。

「それが、95を超える鍵」

　莉音が、ニヤリと笑う。

「じゃあ、蓮くん」

「誰に告白する？」

　その質問に、蓮の顔が真っ赤になる。

　額の数字が、一気に上がる。

　50から、70へ。

「い、いや、その……」

　蓮がしどろもどろになる。

　四人が、蓮を見つめる。

　期待の眼差し。

　蓮の心臓が、激しく鼓動する。

　誰を選ぶのか。

　それを、今決めるのか。

「ま、まだ……」

　蓮が言う。

「決められない……」

　四人が、わずかに落胆する。

　だが、すぐに笑顔を作る。

「いいのよ」

　雪菜が言う。

「焦らなくても」

「そうだよ」

　明日香が続ける。

「蓮のペースで」

　美鈴が頷く。

「いつか、その時が来ます」

　莉音が拳を握る。

「その時、100に届くよ」

　蓮は、四人を見た。

　みんな、優しい。

　自分のことを、待ってくれている。

　だが、同時に。

　それぞれの想いも、感じる。

　四人とも、自分が好きだ。

　告白してくれた。

　でも、答えを出せない。

　誰かを選べない。

　その葛藤が、蓮を苦しめる。

　だが、今は。

　この関係を、大切にしたい。

　四人全員と。

　この絆を、守りたい。

　それが、今の蓮の答えだ。

　夕日が、窓から差し込む。

　五人の影が、重なり合う。

　恥メーター95の壁。

　それは、まだ越えられない。

　だが、いつか。

　その時が来る。

　本気で、誰かに告白する時。

　その時、100に届く。

　蓮は、そう信じている。

　だが、それがいつになるか。

　まだ、わからない。

　窓の外、夕焼けが美しい。

　空が、オレンジ色に染まっている。

　四人と一緒に、空を見る。

「綺麗だね」

　明日香が呟く。

「ええ」

　雪菜が答える。

「ずっと見ていたいです」

　美鈴が言う。

「みんなと一緒に」

　莉音が続ける。

　蓮は、四人を見た。

　この仲間たち。

　大切な人たち。

　いつか、答えを出さなければならない。

　誰かを選ばなければならない。

　だが、今は。

　この時間を、大切にしたい。

　五人で、笑い合う時間。

　それが、今の蓮の願いだ。

　生徒会室を出る。

　五人で、並んで歩く。

　廊下に、夕日が差し込む。

　長い影が伸びる。

　蓮の物語は、続いていく。

　恥メーター95の壁。

　それを越えるために。

　そして、100に到達するために。

　本気の告白が必要だ。

　だが、それは。

　まだ先の話。

　今は、この仲間たちと。

　共に成長する。

　それが、蓮の選んだ道。

　校舎を出る。

　夕焼けが、学園を照らしている。

　颯の言葉が、頭に残る。

「もっと強くなれ」

　その言葉に、応えたい。

　95の壁を越えて。

　100に到達して。

　颯に、再挑戦する。

　その日を目指して。

　蓮は、歩き続ける。

　四人と共に。

　未来へ向かって。

　恥ずかしさを力に変えて。

　大切な人たちを守るために。

　蓮の決意は、揺るがない。

　夕日が沈む。

　夜が訪れる。

　だが、蓮の心は明るい。

　仲間がいる。

　目標がある。

　それだけで、十分だ。

　蓮は、明日を迎える準備をする。

　また、恥をかく日々が続く。

　だが、それでいい。

　その恥ずかしさが。

　自分を強くするから。

　そして、いつか。

　95の壁を越える日が来る。

　本気で、誰かに告白する日が。

　その日を、蓮は待っている。