ツイノベまとめ

希咲さき

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オリジナル

㉟一匹狼×腐男子(美形×平凡)

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 全寮制男子校に入学した腐男子平凡(かなで)。毎日色んなところでカップルを見られるので、楽しくてしょうがない。
 今日も今日とてBLウォッチングをしてたら、校舎裏でチュッチュする美形CPを発見。見つからないように近くの茂みに隠れると、何かが足に当たる。

「ん……?」

 なんだと思って見てみるとそれは人の足で。

「っっっ!?」

 ビックリしすぎて叫びそうになる。が、筋金入りの腐男子。イチャつくカップルの邪魔は出来ないと、どうにか我慢することに成功。おそるおそるその足を辿っていくと、目を閉じて横たわっているイケメンがそこに。

 (こ、この人は一匹狼と名高い、同級生のイケメンくん!)

 目を閉じてても分かる造形の良さ、長い足。
 こんなところでこんな最高の攻め要員に会えるとは!とウハウハするかなで。だけど一匹狼くん(嶺幸)にばかり構ってはいられない。視線をカップルに戻すと、まだチュッチュやってるし、なんなら服の裾からてが潜り込んでるのが見える。

 (うひょーー!まさかここで!?青姦!?マジで!?)

 ってドキドキハァハァしてたら、

「…………何してんだお前」
「ひにゃーーーーーっ!?」

 背後から急に声を掛けられて、思いっきり叫んでしまった。

 アッ!と思ったが遅く、イチャついてたカップルはパタパタと走り去ってしまった。

「あ……あぁ!これからいいとこだったのにぃ!!」

 ガクッと項垂れるかなで。そうしたら隣にいる人がまた話しかけてくる。

「いやお前うるせぇわ。なんなん」
「うぅ……。安藝くん、急に話しかけないでくださいよ……」

 もちろんかなでに声をかけてきたのなんて1人しかいない。
 茂みで寝ていた嶺幸だ。いつ起きたのか知らないが、かなでのことを変なものを見るような目で見ている。

「あ?お前俺のこと知ってんの?」
「いや知ってるでしょ。有名人ですもん」
 (あと攻め要員だし)

 言いながらかなでは立ち上がる。観察対象が居なくなってしまったので、いつまでもここにいる必要は無いからだ。
 そうしたら嶺幸も一緒に立ち上がった。

「あれ、安藝くんも教室戻るんですか?」
「まーな。だいぶん寝たしな。そんで結局、お前何してたの」
「あー……、人間観察?」
「はぁ……?」
「まぁ、気にしないでください!じゃっ!!」

 素直にBLウォッチングなどと言えるはずもなく、適当に誤魔化してかなでは教室に戻った。

 それから、BLウォッチングをしていると、時々嶺幸に出会うことがあった。

 中庭のベンチが見える空き教室に行った時はそこで寝てたし、食堂で生徒会を眺めてウハウハしてたら、いつの間にか隣に座ってたり。なんで隣にいるのか聞いたら「空いてる席がここしか無かった」との事。
 その度「今日も人間観察してんの?」と聞かれ、苦笑いをしながらそうだと言うようなことが何度かあった。

 そんなある日のこと。

「あ」

 日課のBLウォッチングをしてたら嶺幸が告白されてる現場に遭遇する。
 急いで隠れて、いけないと思いつつじっと見てしまう。

「安藝くん、好きです!付き合ってください!」

 可愛いチワワみたいな男の子。嶺幸と並んでもお似合いな子だった。

「あー悪ぃけど、俺気になってるやついるから」

 そう言って断る嶺幸。その顔はその場しのぎの嘘を言っているようには見えなくて。

 (あの安藝くんに本命が?……気になる!)

 それからBLウォッチングと並行して、嶺幸の観察も始めたかなで。彼の好きな人が誰か知りたい!そして、あわよくば2人がくっつくところを見届けたい!という腐男子心丸出しな理由である。

 けれども。観察を続けて数週間経つが、それっぽい相手が見つからない。し、なんだか最近嶺幸とよく会うし、話しかけられるようになった気がする。

「これじゃ観察どころじゃないよ……」

 しょうがないので、嶺幸の恋の行方は一旦置いておいて、BLウォッチングに勤しむことにした。
 色んなCPが学園には溢れているが、最近のかなでのイチオシは生徒副会長と、補佐の平凡くんの美形×平凡CPである。

「美形同士もいいけど、美形×平凡もいいよね~!」

 ニコニコしながら校内を歩き、温室の辺りに来たところで、副会長と補佐くんを発見。すかさず物陰に隠れて観察することに。

 美人系の副会長は優しいと評判なのだが、対補佐くんには殊更優しく笑いかけているのを見かけたことがある。今もそうだ。

 (はわ~~~!眼福っ!ふたりが幸せそうで、これでご飯が食べれるわ~!)

 にやにやうっとりしながら見てたら、

「水木」
「っっっっ!?」

 またいつぞやのように後ろから声をかけられた。叫ぶのはどうにか抑えられたが、心臓が爆発しそうになりながら振り向くと、そこには嶺幸が。

「びっ……くりしたでしょ安藝くん!!」

 小声で噛み付くと、

「ごめんごめん」

 と適当に返してくる嶺幸。それから、

「また人間観察?誰見てんの?」
「あっ、えと……」

 質問されて言葉につまる。
 近くにいるのは副会長CPだけで、言い訳出来そうなものが何一つないからだ。そうしたら嶺幸も副会長たちに気づいたらしい。

「……なに、副会長みてたの?」
「うー……そのぉ……」
「それとも補佐?」
「ええっと……ぉ」

 二人のイチャイチャを見てました、なんて言えなくて、口をつぐんでしまったかなで。すると。

「ふーん。面白くねぇな」
「へ?……っ、わぷ!?」

 ボソッとなにか聞こえたかと思うと、腕を引かれて体が傾ぐ。そしてそのまま嶺幸に抱きしめられていた。

「なっ、なに!?安藝くんっ!?」
「なに?あの二人のどっちかが好きなわけ?それとも鈴木?斎藤?」
「へぁ……?」

 嶺幸の口から出てきたのは、今までかなでが観察していたCPの攻め要員の名前。

「何言ってるの?」
「人間観察っていってお前、学園の人気者とかばっかり見てただろ?そん中に好きな人がいるってことか?なぁ?」

 ぎゅむぎゅむ抱きしめながら嶺幸は言う。かなでは何が何だか分からない。

「え、なに?なんの事?好きな人とか居ないよ僕……っ」
「……ホントか、それ」
「う、うん……」
「じゃあなんでイケメンばっか見てた」
「そっ……それは……」

 言い淀むけど、逃がさないとばかりに、さらに強く抱きしめられて、仕方なく白状する。腐男子であること、イチャつくカップルを覗き見していたこと。そうしたら嶺幸は深いため息をついて。それからかなでのほっぺたを両手で挟んで上を向かせる。

「んみゅ!?」
「よかった」
「…………ほぇ?」
「てっきりライバルがいるのかと思ったから、安心した」
「らいびゃる……」
「好きな人いないなら、俺のもんにしても問題ないわけだ」
「…………んんぅ!?」

 嶺幸がニヤッと笑ったと思ったら、潰されてアヒルみたいになってた唇をパクッと食べられる。それからいっぱい口の中を舐め回されて。口を離された時には、身体に力が入らなくて嶺幸に凭れかかっていた。

「な、んれ……?」

 息も絶え絶えで、涙目で嶺幸を見上げるかなで。その目元にもキスされて。抱きしめられたまま嶺幸は話し出す。

「なんでって、好きだから?人間観察……BLウォッチング?してるときの水木が、楽しそうで面白くて可愛くて。でも、俺が近くにいても俺じゃなくて違うとこ見てたろ?それがなんかイラついて。お前のこと気になって仕方なくなって。そんでやっと好きって気づいたわけ」
「うそ……」
「嘘じゃねー。最近お前によく絡んでたろ?あれは少しでも俺を見るようにっていう、俺のアプローチよ」

 言いながらまたチュッとキスをする嶺幸。

 (うそうそうそ!こんな、BL漫画の展開なんて、絶対嘘!僕は腐男子受けのキャラなんかじゃないもん!)

 なんて、自分は傍観者だと言い張るものの、抱きしめられてキスされたかなでの顔は真っ赤で、嶺幸の腕から逃げ出さないことからも、嫌じゃないのは丸わかりで。嶺幸の猛プッシュに陥落するのはもうすぐそこである。

 一匹狼系美形×腐男子平凡のお話。




CP名:安藝嶺幸あきみねゆき×水木みずきかなで
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