ツイノベまとめ

希咲さき

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オリジナル

㊱一途王族α×運命の番Ω(美形×平凡)

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 兄と二人暮しをしてる平凡Ω(秋麗)。αの兄との仲は良く、毎日楽しく暮らしていた。そんなある日友人でもある働き先の食堂の息子から、王都で祭りがあるから行かないかと誘われる。
 けれど秋麗は、小さい頃から兄に

「俺と一緒の時じゃなければ王都に行ってはいけない」

 と常々言われていた。一度帰宅し、兄にお伺いを立てようとするも、丁度祭りが行われる日に兄は、仕事の都合で少し遠い街まで行くことになったと告げられる。

 どうしよう……と思うものの、黙ってればバレないという友人の言葉に流され、兄に内緒で王都に行くことに。

 初めて訪れる王都は、煌びやかで物珍しくて、色んなことに興奮する秋麗。あちこちの店を覗いていたら、いつの間にか友人とはぐれていた。
 途端に不安になって友人を探すのだが、その最中突然腕を掴まれる。

「っ!?」
「……見つけた!」

 強い力で引き寄せられた秋麗は、自分の腕を掴むその相手の顔を見ることに。
 そこには、今まで見た事もないような、凛々しく、どこか神々しさすらある美しい男がいた。

「やっと見つけた、私のーー」
「秋麗~?どこだー!?」
「っ、離して……!」

 美しい男がなにか言おうとした時、友人が秋麗を呼ぶ声が聞こえた。
 男に見蕩れていた秋麗は、その声にハッとして、それから腕を振り払って駆け出した。無事に友人と合流出来たが、男に触れられた腕と、それから何故か項が、いつまで経っても熱を持って冷めることがなかった。

 そうして、なんとも言えない気持ちを抱えたまま家に帰る秋麗だが、ずっと熱に浮かされたような、ふわふわした感覚が消えない。
 夜遅くに帰宅した兄にも心配されながら、ひとまず眠りにつく秋麗。
 しかし、しばらくするとどこからかとても甘く、かぐわしい匂いが漂ってきて目が覚める。
 そうしたら、玄関で兄が誰かと言い争っている声が。

「……兄さん?」
「っ、秋麗!こっちに来るな!!」
「なんで……っ、え?」

 不思議に思って顔を出せば、そこには焦った様子の兄と、昼間に出会ったあの美しい男がいた。
 彼と目があい、「秋麗」と名前を呼ばれた瞬間。

「ーーっ!?」

 体が燃えるように熱くなり、それからゾクゾクと快感が走り抜ける。秘められた場所が濡れる感覚に恐怖し、秋麗はその場に崩れ落ちた。

「秋麗っ!」

 兄の声が聞こえるが、それより先に噎せ返るような甘い匂いが秋麗を包む。

「ぁ、っ」
「秋麗」

 すぐ側で落とされた声は、歓喜と情欲と執着を孕んでいて、秋麗の体を蕩けさせた。力の抜けた秋麗の体を抱き上げ、兄となにか会話する男。
 思考もままならない秋麗には、その内容は理解出来なかったが、兄が家を出ていくのと、自分の部屋の布団に寝かされたことだけ分かった。
 ーーそれからは、ただひたすらに抱かれることになる。今まで感じたことの無い快感と熱、そして何かが満たされたような感覚に、秋麗は涙を流しながら悦んだ。

 そうして発情期が明けた時、秋麗は愕然とするのだった。

「どうしよう、なんで?あの人は誰?どうして兄さん出てったの?こんなの、なにかの……」

 起きた時隣に男はおらず、ただ濃い情交のあとが残るだけ。
 分からないことだらけで混乱する秋麗の部屋に、静かに兄が入ってきた。

「兄さん……!」
「秋麗。お前に話しておかなければいけないことがあるんだ」

 そうして兄が語ったこと。

 ・秋麗が王都に行くのは、実はあの日が二度目だったこと。
 ・一度目は七つの時で、その時にあの美しい男に出会っていること。
 ・まだバース性も分かっていなかったはずなのに、あの男は出会った瞬間、秋麗の項を噛んでしまい、番になったこと。

「……そしてあの男ーー静龍は、この国の王族だ」

 告げられた内容に驚くしかない。なぜなら、秋麗にそんな記憶はないからだ。

「なんで?……僕、そんなの全然知らない……」
「……あの男に会わないよう、向こうに止められていた。そのせいでお前は、少し心を壊してしまって……」

 秋麗は静龍に噛まれたあと高熱を出して寝込んでしまったらしい。それから数日後に熱は下がったが、不安定な体は番を求めたのだそうだ。
 けれど相手は王族。こんな田舎者の男を迎え入れるつもりは無いようで、接触を断つよう要求された。
 そうしてるうちに、秋麗は番に会えない辛さに心を閉ざしたらしく、彼の記憶そのものを無くしてしまったのだとか。

「もう二度と王都には行かせないつもりだった。アイツのことを忘れてからお前は元気になったし、幸い発情期もなく過ごしていたから。このまま幸せに暮らしていて欲しかったんだ」

 後悔したような顔の兄。こんな顔をさせてしまったのは、勝手な行動をした自分だ。

「ごめん、兄さん……。ごめんねっ」

 泣きながら抱きしめ合う兄弟。

 ……それから秋麗は、自分の番だというあの男のことを忘れることにした。

 きっと自分の他に美しいΩが側に侍っているのだろうし、たまたまあの日出会って秋麗の匂いを嗅ぎ、ラット状態になったのだろう。

 全てが偶然。自分が二度と王都に行かなければなかったことになる関係。
 これから発情期が隔月で訪れるだろうが、それは抑制剤で押さえつけるつもりだった。

 ……だが。

「頼む入開けてくれ」
「帰れ!お前には二度と弟は会わせない!!」

 今、自宅のドアの向こうに、あの男がいる。

 王族だろうが気にしないで、兄は静龍に大声を上げている。

「昔言ったよな?!二度とうちに関わるなと!そもそも接触を禁止したのはお前たちの方だろう!!」
「それは家の者が……っ」
「関係ない!!お前たちのせいで、弟がどれだけ傷ついたか分かってるのか!!」
「っ、本当に申し訳ないことをした」
「そんなことで許されるはずがないだろう!!…………っ、もういい。帰ってくれ。お前には親が決めた婚約者だっているはずだ。その相手と結婚して王族の使命を果たすがいいさ」
「ま、待ってくれ!!」

 兄の言葉に、慌てたように戸を叩く静龍。

「お願いだ!ここを開けてくれ!!秋麗に会わせて、話をさせてくれ!!  ……っ、私は秋麗の事を愛しているんだ!!婚約者などどうでもいい!私の番は秋麗だけなんだ……!!」

 縋るようなその言葉に、秋麗は胸が締め付けられ、同時に言いようのない喜びが沸き起こる。

「……兄さん」
「秋麗っ」
「お願い、話をさせて」
「だが、」
「大丈夫だから」
「……」

 渋々といった様子で下がる兄。そして扉越しに男と話をする。

「……静龍、様」
「っ秋麗!!」
「貴方は本当に、僕の……番、なんですか?」
「そうだ!……幼い頃、私がお前の項を噛んでしまった。その時からずっと、お前が、お前だけが私の番だ!」
「……でも、婚約者がいるんですよね?おうちの方が決められた、それこそ僕なんかより身分も容姿も優れた方が」
「そんなことは関係ない!私が愛しているのはお前だけだし、婚約者のこともキチンと話をつける。いざとなれば私は、王家を捨てても構わないのだ!!」
「静龍様……」
「お願いだ秋麗。ここを開けて、お前を抱きしめさせてくれ」
「…………」

 秋麗はゆっくりと扉を開いた。瞬間静龍が飛び込んできて、強く抱きしめられる。

「秋麗……、この間はすまなかった。勝手に城を抜け出して来ていたから、帰るしか無かったんだ。本当はずっと一緒にいたかった」
「静龍様……」
「秋麗、私と共に来てくれないか。私の妻となり、この先も一生そばにいて、私を支えて欲しい。……そして春恵殿、どうか認めてくれないだろうか」

 静龍は兄に向き合うと、床に膝を着いて頭を下げた。

「っ、オイ!!」
「どうか、どうか許して欲しい。一生秋麗を幸せにすると誓う。だから!!」
「…………秋麗、お前の気持ちはどうなんだ」

 頭を下げ続ける男を見て、兄は秋麗に訊ねる。

「僕は……この人と一緒にいたい。この人にだっ、抱かれている時、何か足りないものが満たされた感じがしたんだ。欠けていたものが見つかったような。……辛いこともいっぱいあると思う。それでも僕は、この人となら幸せになれるって、そう思うんだ」

 小さく笑いながら兄にそういう秋麗。
 兄はそれに、嬉しいような悲しいような、なんとも言えない顔をして、それから小さく「そうか」と言った。

「わかった。お前たちの好きにするといい。……だが嵐静龍。弟を泣かせるような事があれば、俺はお前を許さないからな!」
「っ分かっている!ありがとう、本当にありがとうっ!!」

 ……こうして長い時間を掛けて名実ともに番となった二人。一旦静龍は城に戻り、秋麗の事を話した。もちろん大反対されたそうだが、静龍の母は昔から彼が秋麗のことを一途に思っていたことを理解していたし、家を捨てるとまで言ったので、受け入れることにしたらしい。

 こうして王家に嫁ぐことになった秋麗。
 男は宣言通り、秋麗以外の番を持つことはなかったし、一生秋麗と、その子供たちを愛し続けた。

 一途な王族α×平凡Ω




CP名:嵐 静龍らん せいりゅう×楊 秋麗よう しゅうれい
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