59 / 96
オリジナル
59.オオカミ獣人×ウサギ獣人(美形×平凡)
しおりを挟む地味で大人しそうな見た目のウサギ獣人の平凡(智里)。友達はいるけど、そんなに深い付き合いはしておらず、大学が終わるとすぐにバイトに行き、それも終われば即帰宅。ほとんどぼっちな日々を過ごしていた。
というのも、智里には大っぴらに言えない事情があるのだ。
ーーそれは、性欲が強いこと。
ウサギ獣人にとっては種族の特性でもあるのでどうしようも無いのだが、それでも家に帰っては自慰ばかりしている、などとは誰にも言えない。
今日も今日とてバイトが終わると即帰宅し、ひとり遊びに興じるのだった。
……翌日。
大学に行こうと家を出ると、バッタリと人と会う。それは今まで空室だった隣室に入ってきた、入居者らしかった。
「あ……」
「お。どうも。隣に越してきた大神って言います」
「あ、卯野です……よろしくお願いします」
さわやかに挨拶をしてくれたお隣さん(慎)は、智里より一回りほど上に見える犬系の獣人だった。
(でっか……)
自分より頭一つ以上背が高く、ガッシリした体つきにモデル顔負けの整った顔、なによりオーラというか雰囲気に智里は萎縮してしまう。
「あー、君はウサギ獣人、だよね?悪い。俺はオオカミ獣人なんだ。怖がらせたかな」
「あ、えと……そんなことは」
「気にしなくていいよ。よく怖いって言われるし。でも、君を傷つけようなんて思ってないから安心して」
笑った顔は優しくて、智里はホッとする。それから一言二言話をして、それから2人は別れた。
「案外いい人そうで良かった。……あ」
お隣さんを思い出しながら歩いていれば、あることに気づいて立ち止まってしまう。
「隣ができたってことは、“アレ”の時ヤバくない……?」
そう。それは夜のひとり遊びである。
今までは隣室が空いていたので、そこまで声を気にすることなく耽ることが出来ていた。
でも、今後はそうもいかないだろう。
「かといって辞めれるわけないし……うぅ」
重たいため息を着きながら、再び足を動かす智里であった。
はてさてそれから。
智里は相も変わらず夜に自慰をする日々。翌朝隣を気にしながら家を出るが、なかなか会うことはなく、ホッと胸を撫で下ろす毎日が繰り返される。
特に苦情を言われることもないから、聞こえてはいないのだろうと智里は踏んでいた。
ーーそんなある日の事。
バイトを終え帰宅すると、隣の部屋の前でしゃがみこむ人を発見する。
見ればそれはお隣さんその人で。
「え、あの?大神さん?どうしたんですか?」
「ん?あぁ、卯野くんか」
声掛けに顔を上げた慎は、赤ら顔でぼんやりしている様子。どうやら、酔っているらしい。
「酔っ払ってるんですか?」
「あー、うん。そう。ちょっと付き合いでね。そんで、帰ってきたはいいけど、鍵が見つからなくてさ~」
ヘラりと笑う慎。それになぜだかキュンとしてしまって。
(大きくてちょっと怖い見た目なのに、なんでかな?可愛く見える……)
よく分からない気持ちを感じて、それからそれどころでは無いとハッとする。
「鍵がないって、大丈夫なんですか?!探さなきゃじゃ……」
「あー大丈夫大丈夫。多分カバンのどっかにあると思うから。酔ってて今はちょっと探せないだけだから~」
「それじゃ、僕が探しましょうか……?」
「んあー、うん。それもいいけど、ちょっとトイレ行きたくて……ね?」
「えっ、えぇ……!あわ、ちょっと待ってください!?僕ん家開けますから!!」
「ごめんね~」
慌てて自室の鍵を開けて、それからフラフラの巨体に肩を貸して、室内に上げた。トイレの場所は隣室と変わらないようで、お隣さんが用を足しに行くのを見送ってから、上着を脱いだりと自分のことに手をつける。
少しして扉の開く音がする。具合はどうかと訊ねるため、彼のもとに駆け寄ったのだがーー。
「っえ……!?」
突然、慎に抱きしめられた。
「あのっ、ちょ……大神さん!?」
「君さぁ、毎晩オナニーしてんの?」
「…………は?」
「いつもいつも、エロい声聞こえてきてて、正直限界なんだよね」
「なに、言って……」
「オオカミには気をつけろってことだよ」
そう言って智里を覗き込む慎の顔は、正しく肉食獣のそれで。
このまま食べられるんだと一瞬で悟った智里は、抵抗も出来ずに捕まってしまったのだった。
ーー翌日、脱ぎ散らかした衣類を痛む腰を擦りながら回収すれば、自分のものではないズボンのポケットから、銀色に光る物が転がり落ちてきたのは、ここだけの話である。
CP名:大神慎×卯野智里
23
あなたにおすすめの小説
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる