嫌われ者は異世界で王弟殿下に愛される

希咲さき

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番外編

彼と騎士と侍従長②

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スピンオフ二話目。ユリウスとロイド、そしてリオンとの関係は……?

          ♢♦︎♢

 ーーウィリアムとミレイアの結婚式の日取りが決まった。
 水の月に入ってすぐに行われるとのことで、城内は大忙しである。

「リオン、ちょっといいか?」
「はい」

 それは侍従たちも例外ではない。ロイドは己の主人の式であるため当たり前だが、リオンや他の侍従たちも参列する者たちの準備などに駆けずり回っている。侍従たち同士で話し合うこともままあるようで、ロイドは頻繁にリオンを呼びつけては、二人で話し込む姿が目撃されていた。

「…………」
「あれ? ユリウスさん?」
「っ、カナメ様!」
「何見てるんですか? リオンさんと、ロイドさん……?」
「あっ、あの……! これは別にッ」
「あの二人、最近よく一緒にいますよねぇ。なんか婚約発表の前の時もそうでしたけど、仲がいいっていうか」
「ッ……」

 なんとはなしに枢が呟いた一言に、ユリウスは肩を揺らす。

「ユリウスさん……?」
「あ、っいえ!! すみません! なんでもないんですっ。いけませんね、仕事中にボーっとして!」

 どこか様子のおかしいユリウスを枢が覗き込むと、取り繕ったように笑みを浮かべる。

「本当になんでもないですから心配なさらないでください! さぁ、今日はどうお過ごしになるんですか?」
「えっ、あの……!?」

 グイグイと枢の肩を押しながら、そこから遠ざかるユリウス。
 その背をじっと見つめる視線には気づいていないようだった。

「……お前、ユリウス殿とどうなってるんだ?」
「ん~? 警戒されてるし、多分誤解されてるな」
「俺を巻き込むなよな……」
「まぁいいじゃないの。ちょっとくらい協力してくれても! お前の愛しいお兄ちゃんだぞ~?!」
「やめろ気持ち悪い!! そのチャラチャラしてる所が気に食わないんだよ! わざとらしくユリウス殿が見てる前で俺に声を掛けるな!!」
「ケチだなーリオンは。俺はお前の方も進展するかと思ってやってるのに」
「っな……!?」

 ロイドの一言に、それまで顰めていた顔を赤く染めて、リオンは押し黙る。

「お前たちこそどうなってるんだ? 子供の頃の初恋だったか?」
「ばっ! 何言ってるんだ、そんなの関係ないだろ……!?」
「可愛い弟の恋路だからな~、応援したいんだよお兄ちゃんは!」
「っ首突っ込んだら殺す!! もう要件は済んだだろ? 俺は戻るっ!」
「はいはい。ユリウスによろしく~」

 サッと踵を返して帰っていくリオンを見送り、ひらひらと手を振る。
 彼の姿が見えなくなると、人好きのする笑みを消し、ロイドはひとつため息をついた。

「ほんと、いつになったら俺のもになるんだろうねぇユーリは。俺とリオンの仲を気にしてヤキモチ妬くくせに、素直になっちゃくれない。……そろそろ本気で口説きにいくかなぁ」

 廊下の窓から下を見ると、馬車の隣で馬にまたがるユリウスの姿が。どうやら今から精霊塔へ向かうらしい。

「いっそカナメ様抱き込んだ方が早いか……?」

 仲がいいようで、ユリウスと枢がよく笑顔で話しているのを見かける。

「俺には笑ってくれなくなったのにねぇ」

 敬愛する主の結婚式が終わったら。そうしたら……

「ーー逃げられると思わないことだな、ユリウス」

 ニンマリと笑ったロイドは、窓に背を向け歩き出す。
 まずはウィリアムとミレイアの結婚式を、盛大に行うことが最重要事項だ。
 この後すべきことを頭の中で考えながら、ロイドはゆるりと仕事に戻っていくのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

はい。ロイドさんとリオンは兄弟です。
髪の色とかくせ毛な感じで気づいていた方も
いらっしゃるかもしれません。

リオンのフルネームは「リオン・ファルバロン」
ファルバロン伯爵家の四男になります。
ロイドは三男。上にあと二人お兄ちゃんがいます。
出てくることは多分ない……かな?

ユリウスはロイドとリオンが兄弟だとは知りません。ちゃんとリオンの名前聞いたことないんですねー。
そしてここに来て、リオンの想い人のお話まで出ました。
この先どうなるやら……。
(広げた風呂敷を畳めるか不安な希咲でした)
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