1 / 29
「第一話」落ちこぼれ巫女とタタリガミ
しおりを挟む
武家屋敷に備え付けられた縁側。見据えるのは真正面の木桶。
背筋を伸ばした正座のまま、私は手を合わせて掌印を組み上げる。
発動する術を思い浮かべながら、体の内側に眠る力を呼び覚ます。呼吸を一定に保ちながら、ゆっくりと慎重に手順を踏んでいく。体の中心から掌印に集まっていく力……溜まり、整った。──今なら、いける。
「──はぁっ!」
……。
狙った木桶はびくともしない。そもそも、組んだ掌印からなにかが放たれることもない。
失敗。もう何度目かわからない事実が、いつもと同じように突きつけられる。
「っ……」
もう一度、もう一度やろう。
印を組み直し、深く息を吸い込もうとして。
「もういい、やめろ。時間の無駄だ」
遮るように、真横から重い声が聞こえてくる。
見るとそこには、苦虫を噛み潰したような表情の父がいた。
「お前は一体、あとどれほどの時間を無駄にすれば気が済むんだ」
「う、うるさぁい! うるさいうるさいっ! いきなり話しかけてこないでよ集中が切れちゃったじゃん!!!」
感情むき出し。それに対して、親父は冷ややかだった。
「……弓さえ使えれば、目隠ししても当てられるわよ。わざわざ霊力使って印組んで? 回りくどいわよ、こんなの……」
そっぽを向き、私はそう言い切った。
父親はいつものように大きなため息をつき、声を少し低くしてから御高説を垂れ始めた。
「祟神は腐っても神だ。霊力を扱える者でなければあちらに攻撃は一切通らず、戦うことはまずできない。……それは即ち、巫女としての”祟神を鎮める”という使命を果たせないということだ」
悔しいけど何も言い返せなかった。だって、全部事実だから。
私、天道ヒナタが生まれた天道家は、数ある巫女名家の中でも最上位である天道家。
巫女としての素質や実力は勿論、契約するのは名のある神々ばかり。
次女のライカは雷の神、末っ子のフウカは風の神と契約している。
……なのだが。
長女である私だけが巫女の才能、即ち霊力を操る才能がない。
霊力自体が無いわけではない。だが、何故か身に宿る霊力を練り上げることが極端に苦手、というか今まで一度もできたことがないのである。
故に祟神の怒りを鎮めることなどできず、そんな私と契約してくれる神がいるわけもなく。……要するに、私はこの家唯一の落ちこぼれなのだ。
「まぁ聞いてくれ、ヒナタ。別に私はお前に巫女であることを求めているわけではないんだ。お前でなくとも、もう十分ライカやフウカが……」
「うるさいっ!」
伸ばしてきた父の手を引っ叩き、私は後ろに下がる。
「私だって頑張ってるの! でも全然上手く行かないの!」
「ヒナタ……」
「霊力が使えない、印も結界も使えない! ああそうよ、私なんてあんたら才覚に溢れる素敵な人間にとっては、邪魔だしお目汚しにしかならないわよね!」
言いたいことを、口に出すべきではないことを、分かっていながらも吐き出さずにはいられなかった。
「……そうだな」
「──っ」
「お前に巫女は無理だ。私も腹を括るとしよう、天道家を継ぐのはお前ではなくライカだ」
「はぁっ!? なんで!? だって、私はこの家の……」
「この家の、なんだ? この家の長女だからか?」
感情を表に出さない父だったが、抑えきれない片鱗がそこには漂っていた。
「誰も巫女としてのお前を求めてはいない。……話は終わりだ、お前は花嫁修業でもしていればいい」
背を向けたまま上下する肩の動きが生々しくて、恐ろしくて……気づけば私は、震えながら拳を握りしめていた。
「……クソ親父」
向けられた背中に背を向け、私は走り出す。
庭を駆け抜けた門の手前には、掃き掃除をしているフウカがいた。
「あれ、姉さま……きゃあっ!?」
「どいて!」
末の妹であるフウカを突き飛ばし、そのまま門から外に出て……一瞬、どこに行けばいいのか分からなかった。
それでも私は走ることしかできなくて、ひたすらに走った。
「はぁ、はぁ……ああ、あああ!」
胸の中で、チリチリと熱いモノが燻っている。
何もできない不甲斐なさと、とうとう見放されたことへの受け入れがたい無力感を薪にして。
(悔しい、悔しい……!)
──どれだけ刀や弓が上手く使えても、霊力が扱えないんじゃ巫女になれるはずがない。
──天道家の長女のくせに、恥晒しを抱えた天道家は気の毒ねぇ。
落ちこぼれ。
何度、そう言われたことだろう。
きっとこれからも言われ続ける。私が何もできないままでいる限り。
ふざけんな。
そんなの、受け入れられるわけがないだろ。
「私だって、あんたらが腰抜かすぐらい超強い巫女になって……絶対見返してやるんだから!」
怒りを決意に、無力感を踏み台に。
私は、私のことを笑った奴らへの逆襲を誓った。
◇
パサついた目元に痛みを感じた頃、私はようやく走るのをやめた。
「ぜぇ、ぜぇ……」
荒い息を吐きながら、近くの木に手をつく。
周囲を見渡すと、自分が木々に囲まれていて……多分ここは山の中だということが分かった。
残った涙を拭い取り、ふぅ、と。
肺の奥に溜まった嫌な気持ちを、空気と一緒に吐き出してしまう。
もう泣くのはやめよう、そう自分に言い聞かせるように。
────腹の虫。
思ったよりも大きな音が、鳩尾辺りで鳴り響く。
「あ……」
そういえば、朝餉も食べないまま出てきたんだった。
勢いで飛び出してきてしまったため手持ちが一銭も無い。加えて冷静に考えてみれば寝泊まりする家も無い。
考えれば考えるほど、不安になってきた。
だが、それでも。
(絶対帰ってやるもんか)
たった今、そう誓った。
「……そうだ、飴あるじゃん」
懐に何個か塩飴を紙に包んでいたのを忘れていた。懐に手を突っ込み……あれ? と、覚えのない感触に違和感を覚えた。
「あれ、こんなの入ってたっけ?」
巻物だろうか? 大きくて、でもなんでだろうか空っぽな気もするようなそんな感じの。
取り敢えず”開クベカラズ”と書かれた古ぼけた紙が貼っつけられていたので、開けてみる。すると。
「……なにこれ」
真っ白だった。
なーんにも、書かれてない。
陽の光に透かしてもなにも見えないし、多分炙り出しとかでもないような気がする。
まぁ、なにも書かれていないのならば価値もないだろう。
それよりもいつの間にか懐に入っていたという気味の悪い事実に寒気がして、それをなるべく遠くにぶん投げた。
ふぅ、と。本命の塩飴を口に放り込む。
これからどうしようか? とりあえず山の中を歩きながら、私は色々な考えを巡らせていた。
──五感を突き刺す、痺れるほど濃い寒気。
(え?)
気付いた時には、既に遅かった。
身の丈の数十倍はあるであろう怪物が、私に向かってその巨大な手を伸ばしていたのだ。
(祟神──っ!?)
どうにもならない、どうすることもできない。
霊力がなければ、人が神々と戦うことはできない。霊力をまともに扱うことができない私が、こんな……こんな恐ろしい祟神に敵うわけがない。
死んだ。
私はこいつに握り潰され、殺される。
突如訪れた不可避の死に、ただただ瞼を閉じて蹲るしか無かった。
「【雷霆】」
閉じかけていた瞼をこじ開けるかのような眩い白光と、鼓膜を殴り飛ばすような轟音が響き渡る。大地が揺れ、火花が散り、焦げ臭い匂いが鼻の奥を刺した。
「……っ!?」
目を開けると、そこには黒焦げになり地に伏している祟神がいた。
充満していた妖気……否、穢れた神性は、圧迫感は全て焼き払われている。
「間一髪、ってとこか」
周囲が帯電する中、背後から声が聞こえてくる。
振り向くとそこには見覚えのある赤髪の少女。その隣には、神々しい有角の異形が佇んでいた。
「間に合ってよかったよ、ホント」
「……ライカ」
思わず奥歯を噛み締めた。
だが何も言えなかった。だってこいつがいなければ、私は今頃食われていたのだから。
ライカは隣に佇んでいた神々しい人型の異形……有角多腕、腰辺りから円を描くように取り付けられた模様付きの太鼓を生やし、左右合わせて四本の腕を持った【雷神】鳴神猛雷神に頭を下げる。ナルカミはそれに頷き、静かに消えていった。
「つーかさ」
ライカは地面にへたり込む私の方を見てきた。
「なんで、姉貴がここにいるんだよ」
「……うっさい」
「おいおい、命の恩人にそりゃねぇだろ」
まあいいか。ライカは心底興味なさげに、私から目を逸らした。
「お父様にはアタシが言っといてやる。だからもう帰れ、危ないから」
「なっ……!? 何もそんな……足手まといみたいに言わなくてもいいじゃない!」
「ついさっきまで殺されそうになってた奴から聞ける台詞とは思えねぇな」
初めに怒りを覚え、すぐに静かに消えていき、やがて納得だけが残る。
私は、どうしようもなく弱い落ちこぼれの巫女。
違いなんて、差なんて、考えなくてもわかるはずだった。なにも特別なことはない、ただ私が目を背け続けていただけの話だ。
「夜になったら、あんなのはいくらでも湧いてくる。だから──」
目の前から、喋っていたはずの妹が消える。左から右へと残像が見えた。
「……らい、か?」
見ると、そこには背中から木々に叩きつけられたライカの姿があった。ずるずる、と。力なく地面に倒れ込む彼女の体は痙攣しており、らしくなかった。
なにが起きた。
答えは、反対側で唸っていた。
剥き出しの四足獣のような骨、それを不格好に覆う腐敗した肉塊。
体中から無数の眼を覗かせるそれは、不気味と云うにはあまりにも生温く、とてもこの世のものとは思えない。
その体躯は先程の祟神やらと比べれば遥かに小さい。犬と馬ほどの体格差がある。──だがその身が放つ穢れた神性は、それらを比べることも馬鹿馬鹿しいと思うほどに練り上げられていた。──祟神だ。
「っ、ぁ……ぁ」
右腕を抑え、壁に寄りかかったライカが起き上がるのが見える。まだ、生きている……それでも私は、喉の奥が締まりすぎて彼女の名前を叫べなかった。
「畜、生……来んなよ……!」
ライカは怯え、後ずさる。
しかし逃げ道はもうどこにもない……それを楽しむように、嘲笑うような咆哮が山中に響く。
ああ、こいつは弱い私なんか眼中に無いんだな。
よかった、私は逃げられるだろう。妹を餌にして、抵抗できない彼女が生きたまま食われる断末魔を背に。
逃げればいい。勝てるわけ無いから。
見捨てればいい。そうしなきゃ、死ぬから。
……あーあ。
違うだろ、それは。
「──っ~あーもうどうにでもっ……なれぇ!!!」
咄嗟に飛び出し、ライカを突き飛ばすように一緒に転がる。獲物を横から掠め取られた祟神は、そのまま木々を薙ぎ倒しながら頭から突っ込んでいった。
「あっ、姉貴……なんで」
「……っ」
ギリギリだった。
「ッ! 何してるの、早く逃げて!」
「は、はぁ!? 馬鹿言うな! アタシより弱いくせに──」
「~っ! じゃあ担ぐ!」
「は、ぁっ!?」
私はライカを担ぎ、そのまま森の方へと走っていく。
背後から祟神の唸り声、森の木々を片っ端から薙ぎ倒していく音が聞こえる。
(諦めてたまるもんですか!)
巨木を薙ぎ倒すほどの膂力を持ってはいるが、獣のような素早さはあまりない。
戦うなら間違いなく殺されるが、逃げるだけならばなんとかなるかもしれない。
「ハッ! 伊達に体鍛えてないのよ私……はぁ?」
そんな私の甘い考えは、森を抜けた先で潰えた。
「……っ!? 嘘でしょ!?」
崖。
逃げ道がない……私は歯を食いしばり、右に走り抜ける。
だが、逃げ道を遮るように、祟神が木々を薙ぎ倒して私の前に飛び出してきた。
「──ッあっ!」
直撃は免れない。右側に鈍い痛みが走り、私は近くの木にふっ飛ばされた。
「っ、あぁ……くぅっ!」
立ち上がろうとして、とんでもない痛みが右腕に走った。
骨が折れたのだろう、熱さと気持ちの悪い冷ややかさが痛みを中心に渦巻いている。
だが幸運なことに、ライカは比較的遠くに吹っ飛んだ。
「……っ、逃げてぇ!」
「──ッ!」
飲み込んで、ライカは走っていく。
遠ざかっていく背中をぼんやりと見つめながら、私は腕の痛みに苛まれていた。
祟神が迫る。
私を喰おうと、涎を垂らして迫ってくる。
間違えたのだろうか。
だとすれば、どこを間違えたのだろう。
カッコつけて妹を助けたこと?
あの家から出てきたこと?
「……」
まぁ、上出来だろう。
私なんかが、何の役にも立たない私が……誰かに期待されてて、誰かに必要とされているライカを助けることができた。
私自身が輝くことはできなかったけど、他の誰かの輝きを守ることは、なんとかできた。
(……死にたくないなぁ)
縋っても、何もない事は分かっている。
だが。
どうせこのまま死ぬなら、と。
悔し紛れに、吐き捨てる。
「助けて、神様……!」
ああ、何やってるんだろうな私。
ありもしない藁に縋るのは、まぁなんとも無様で、私らしいといえばそうなってしまう。
閉じていた瞼を開ける。受け入れるために、潔く諦めるために。
「おう、任せとけ」
────吹き荒れる黒い……炎!!!
(なに……熱い!?)
祟神の攻撃か!? いや、違う、あの神はこんな権能を持っていなかった。
しかし、突如顕れた黒い炎の壁の勢いは凄まじく、結果的に飛び掛かってきていた祟神が、わざわざ後ろへ飛んでいった。
やがて、揺らめく黒炎が静かに消えていく。
そこには、黒ずんだ白髪の青年が立っていた。
(ってか、こいつも祟神!?)
歪んだ、禍々しい神性。それは、神と呼ぶにはあまりにも抵抗感のある存在だった。
「よぉ、会いたかったぜ。いやぁまさかこんな早く呼ばれるとは思ってなかったけど」
黒ずんだ青年が背を向けたまま、やけに気楽な様子で私に話しかけてきた。
目の前の敵に身構えたり警戒する素振りもない。というか、どこから現れた? いやそれよりも、なんだ……この馬鹿げた神性は。先程まで周囲を覆っていた祟神の神性を消し飛ばすどころか、この山のほとんどを埋め尽くしてしまっているじゃないか。
「あなたは、一体」
「そういうのは後にしようぜ? 百年ぶりの顕現なんだ、ちったぁ楽しませてもらわねぇと……な?」
そう言って、得体の知れない神はその場で掌を上に向ける。
闇。
いや、闇を醸し出す炎、怪しげに揺らめく黒炎が、その掌から生み出されたのだ。
「ヒナタ。よく見とけ、これが……これがお前の、お前だけの神様の力だ!」
雄叫びを上げながら迫ってくるボロボロの祟神。
それに対して避ける素振りも何も見せず、私の方を向いたまま神は笑った。
「【天喰】ッ!」
放たれる黒い火種。
次の瞬間、それは弾けて膨らみ、目の前の祟神の体を一気に包み込む。
足掻く暇も、振り解くような隙もない……薄紫色の煙を立ち上らせる黒炎は、そのまま祟神の体を灰燼へと変貌させた。
「つまんねぇな」
ぶすぶすと音を立てる燃えカス、それを踏みにじる黒ずんだ神。
桁違いの強さ、神としての存在感。……違う、なにもかもが違いすぎる。
「……私の、神様?」
「そうだ」
振り返ってきて、私と彼は目と目を合わせた。
「改めて自己紹介だ。──【黒陽神】天翳日蝕神。お前だけの、最強の神様だ」
(黒陽……? 黒い、太陽の神!?)
この国における太陽の神は、ただ一柱を指す。──【太陽神】陽ノ輪空渡命。最強にして、全ての神々の頂点に君臨する【太陽神】。
太陽は一つ、それを司る神も一柱。太陽の神が他にもいるということは、ヒノワ様の唯一神性の否定に他ならない。
「……えっ、と」
駄目だ、流石に。祟神との契約だなんて。
断らなきゃ。開こうとした私の口を、神は指で遮った。
「言っとくけど契約の解除はもうできねぇぞ?」
「──え」
「だから、な?」
ずいっ、と。
ゆっくりと屈んで近づいてくるカゲルの顔、なんとも言えない満面の笑み。
「これからよろしくな、相棒」
「……は、はい」
差し出された手を、苦笑いで掴む。
ゆっくりと交わされる握手の中、私は心底思った……なんでこんなイカれてるんだコイツは。これじゃあクソ親父や妹たち、他の巫女共をギャフンと言わせることなんかできっこないじゃないか。
いや、ちょっと待て。
唯一の太陽神であるヒノワ様の唯一神性を否定する、できるであろう祟神と、私は契約したわけだ。それはつまり、間接的ではあるが……あれ、もしかして私、もしかしなくても……?
(……この国、敵に回しちゃった?)
気づいても、もう遅い。
最強の祟神と契約した私は、これから歩むであろう最悪の人生を覚悟するよりほかなかった。
「お願い」
安西先生……俺、感想が……欲しいです。
背筋を伸ばした正座のまま、私は手を合わせて掌印を組み上げる。
発動する術を思い浮かべながら、体の内側に眠る力を呼び覚ます。呼吸を一定に保ちながら、ゆっくりと慎重に手順を踏んでいく。体の中心から掌印に集まっていく力……溜まり、整った。──今なら、いける。
「──はぁっ!」
……。
狙った木桶はびくともしない。そもそも、組んだ掌印からなにかが放たれることもない。
失敗。もう何度目かわからない事実が、いつもと同じように突きつけられる。
「っ……」
もう一度、もう一度やろう。
印を組み直し、深く息を吸い込もうとして。
「もういい、やめろ。時間の無駄だ」
遮るように、真横から重い声が聞こえてくる。
見るとそこには、苦虫を噛み潰したような表情の父がいた。
「お前は一体、あとどれほどの時間を無駄にすれば気が済むんだ」
「う、うるさぁい! うるさいうるさいっ! いきなり話しかけてこないでよ集中が切れちゃったじゃん!!!」
感情むき出し。それに対して、親父は冷ややかだった。
「……弓さえ使えれば、目隠ししても当てられるわよ。わざわざ霊力使って印組んで? 回りくどいわよ、こんなの……」
そっぽを向き、私はそう言い切った。
父親はいつものように大きなため息をつき、声を少し低くしてから御高説を垂れ始めた。
「祟神は腐っても神だ。霊力を扱える者でなければあちらに攻撃は一切通らず、戦うことはまずできない。……それは即ち、巫女としての”祟神を鎮める”という使命を果たせないということだ」
悔しいけど何も言い返せなかった。だって、全部事実だから。
私、天道ヒナタが生まれた天道家は、数ある巫女名家の中でも最上位である天道家。
巫女としての素質や実力は勿論、契約するのは名のある神々ばかり。
次女のライカは雷の神、末っ子のフウカは風の神と契約している。
……なのだが。
長女である私だけが巫女の才能、即ち霊力を操る才能がない。
霊力自体が無いわけではない。だが、何故か身に宿る霊力を練り上げることが極端に苦手、というか今まで一度もできたことがないのである。
故に祟神の怒りを鎮めることなどできず、そんな私と契約してくれる神がいるわけもなく。……要するに、私はこの家唯一の落ちこぼれなのだ。
「まぁ聞いてくれ、ヒナタ。別に私はお前に巫女であることを求めているわけではないんだ。お前でなくとも、もう十分ライカやフウカが……」
「うるさいっ!」
伸ばしてきた父の手を引っ叩き、私は後ろに下がる。
「私だって頑張ってるの! でも全然上手く行かないの!」
「ヒナタ……」
「霊力が使えない、印も結界も使えない! ああそうよ、私なんてあんたら才覚に溢れる素敵な人間にとっては、邪魔だしお目汚しにしかならないわよね!」
言いたいことを、口に出すべきではないことを、分かっていながらも吐き出さずにはいられなかった。
「……そうだな」
「──っ」
「お前に巫女は無理だ。私も腹を括るとしよう、天道家を継ぐのはお前ではなくライカだ」
「はぁっ!? なんで!? だって、私はこの家の……」
「この家の、なんだ? この家の長女だからか?」
感情を表に出さない父だったが、抑えきれない片鱗がそこには漂っていた。
「誰も巫女としてのお前を求めてはいない。……話は終わりだ、お前は花嫁修業でもしていればいい」
背を向けたまま上下する肩の動きが生々しくて、恐ろしくて……気づけば私は、震えながら拳を握りしめていた。
「……クソ親父」
向けられた背中に背を向け、私は走り出す。
庭を駆け抜けた門の手前には、掃き掃除をしているフウカがいた。
「あれ、姉さま……きゃあっ!?」
「どいて!」
末の妹であるフウカを突き飛ばし、そのまま門から外に出て……一瞬、どこに行けばいいのか分からなかった。
それでも私は走ることしかできなくて、ひたすらに走った。
「はぁ、はぁ……ああ、あああ!」
胸の中で、チリチリと熱いモノが燻っている。
何もできない不甲斐なさと、とうとう見放されたことへの受け入れがたい無力感を薪にして。
(悔しい、悔しい……!)
──どれだけ刀や弓が上手く使えても、霊力が扱えないんじゃ巫女になれるはずがない。
──天道家の長女のくせに、恥晒しを抱えた天道家は気の毒ねぇ。
落ちこぼれ。
何度、そう言われたことだろう。
きっとこれからも言われ続ける。私が何もできないままでいる限り。
ふざけんな。
そんなの、受け入れられるわけがないだろ。
「私だって、あんたらが腰抜かすぐらい超強い巫女になって……絶対見返してやるんだから!」
怒りを決意に、無力感を踏み台に。
私は、私のことを笑った奴らへの逆襲を誓った。
◇
パサついた目元に痛みを感じた頃、私はようやく走るのをやめた。
「ぜぇ、ぜぇ……」
荒い息を吐きながら、近くの木に手をつく。
周囲を見渡すと、自分が木々に囲まれていて……多分ここは山の中だということが分かった。
残った涙を拭い取り、ふぅ、と。
肺の奥に溜まった嫌な気持ちを、空気と一緒に吐き出してしまう。
もう泣くのはやめよう、そう自分に言い聞かせるように。
────腹の虫。
思ったよりも大きな音が、鳩尾辺りで鳴り響く。
「あ……」
そういえば、朝餉も食べないまま出てきたんだった。
勢いで飛び出してきてしまったため手持ちが一銭も無い。加えて冷静に考えてみれば寝泊まりする家も無い。
考えれば考えるほど、不安になってきた。
だが、それでも。
(絶対帰ってやるもんか)
たった今、そう誓った。
「……そうだ、飴あるじゃん」
懐に何個か塩飴を紙に包んでいたのを忘れていた。懐に手を突っ込み……あれ? と、覚えのない感触に違和感を覚えた。
「あれ、こんなの入ってたっけ?」
巻物だろうか? 大きくて、でもなんでだろうか空っぽな気もするようなそんな感じの。
取り敢えず”開クベカラズ”と書かれた古ぼけた紙が貼っつけられていたので、開けてみる。すると。
「……なにこれ」
真っ白だった。
なーんにも、書かれてない。
陽の光に透かしてもなにも見えないし、多分炙り出しとかでもないような気がする。
まぁ、なにも書かれていないのならば価値もないだろう。
それよりもいつの間にか懐に入っていたという気味の悪い事実に寒気がして、それをなるべく遠くにぶん投げた。
ふぅ、と。本命の塩飴を口に放り込む。
これからどうしようか? とりあえず山の中を歩きながら、私は色々な考えを巡らせていた。
──五感を突き刺す、痺れるほど濃い寒気。
(え?)
気付いた時には、既に遅かった。
身の丈の数十倍はあるであろう怪物が、私に向かってその巨大な手を伸ばしていたのだ。
(祟神──っ!?)
どうにもならない、どうすることもできない。
霊力がなければ、人が神々と戦うことはできない。霊力をまともに扱うことができない私が、こんな……こんな恐ろしい祟神に敵うわけがない。
死んだ。
私はこいつに握り潰され、殺される。
突如訪れた不可避の死に、ただただ瞼を閉じて蹲るしか無かった。
「【雷霆】」
閉じかけていた瞼をこじ開けるかのような眩い白光と、鼓膜を殴り飛ばすような轟音が響き渡る。大地が揺れ、火花が散り、焦げ臭い匂いが鼻の奥を刺した。
「……っ!?」
目を開けると、そこには黒焦げになり地に伏している祟神がいた。
充満していた妖気……否、穢れた神性は、圧迫感は全て焼き払われている。
「間一髪、ってとこか」
周囲が帯電する中、背後から声が聞こえてくる。
振り向くとそこには見覚えのある赤髪の少女。その隣には、神々しい有角の異形が佇んでいた。
「間に合ってよかったよ、ホント」
「……ライカ」
思わず奥歯を噛み締めた。
だが何も言えなかった。だってこいつがいなければ、私は今頃食われていたのだから。
ライカは隣に佇んでいた神々しい人型の異形……有角多腕、腰辺りから円を描くように取り付けられた模様付きの太鼓を生やし、左右合わせて四本の腕を持った【雷神】鳴神猛雷神に頭を下げる。ナルカミはそれに頷き、静かに消えていった。
「つーかさ」
ライカは地面にへたり込む私の方を見てきた。
「なんで、姉貴がここにいるんだよ」
「……うっさい」
「おいおい、命の恩人にそりゃねぇだろ」
まあいいか。ライカは心底興味なさげに、私から目を逸らした。
「お父様にはアタシが言っといてやる。だからもう帰れ、危ないから」
「なっ……!? 何もそんな……足手まといみたいに言わなくてもいいじゃない!」
「ついさっきまで殺されそうになってた奴から聞ける台詞とは思えねぇな」
初めに怒りを覚え、すぐに静かに消えていき、やがて納得だけが残る。
私は、どうしようもなく弱い落ちこぼれの巫女。
違いなんて、差なんて、考えなくてもわかるはずだった。なにも特別なことはない、ただ私が目を背け続けていただけの話だ。
「夜になったら、あんなのはいくらでも湧いてくる。だから──」
目の前から、喋っていたはずの妹が消える。左から右へと残像が見えた。
「……らい、か?」
見ると、そこには背中から木々に叩きつけられたライカの姿があった。ずるずる、と。力なく地面に倒れ込む彼女の体は痙攣しており、らしくなかった。
なにが起きた。
答えは、反対側で唸っていた。
剥き出しの四足獣のような骨、それを不格好に覆う腐敗した肉塊。
体中から無数の眼を覗かせるそれは、不気味と云うにはあまりにも生温く、とてもこの世のものとは思えない。
その体躯は先程の祟神やらと比べれば遥かに小さい。犬と馬ほどの体格差がある。──だがその身が放つ穢れた神性は、それらを比べることも馬鹿馬鹿しいと思うほどに練り上げられていた。──祟神だ。
「っ、ぁ……ぁ」
右腕を抑え、壁に寄りかかったライカが起き上がるのが見える。まだ、生きている……それでも私は、喉の奥が締まりすぎて彼女の名前を叫べなかった。
「畜、生……来んなよ……!」
ライカは怯え、後ずさる。
しかし逃げ道はもうどこにもない……それを楽しむように、嘲笑うような咆哮が山中に響く。
ああ、こいつは弱い私なんか眼中に無いんだな。
よかった、私は逃げられるだろう。妹を餌にして、抵抗できない彼女が生きたまま食われる断末魔を背に。
逃げればいい。勝てるわけ無いから。
見捨てればいい。そうしなきゃ、死ぬから。
……あーあ。
違うだろ、それは。
「──っ~あーもうどうにでもっ……なれぇ!!!」
咄嗟に飛び出し、ライカを突き飛ばすように一緒に転がる。獲物を横から掠め取られた祟神は、そのまま木々を薙ぎ倒しながら頭から突っ込んでいった。
「あっ、姉貴……なんで」
「……っ」
ギリギリだった。
「ッ! 何してるの、早く逃げて!」
「は、はぁ!? 馬鹿言うな! アタシより弱いくせに──」
「~っ! じゃあ担ぐ!」
「は、ぁっ!?」
私はライカを担ぎ、そのまま森の方へと走っていく。
背後から祟神の唸り声、森の木々を片っ端から薙ぎ倒していく音が聞こえる。
(諦めてたまるもんですか!)
巨木を薙ぎ倒すほどの膂力を持ってはいるが、獣のような素早さはあまりない。
戦うなら間違いなく殺されるが、逃げるだけならばなんとかなるかもしれない。
「ハッ! 伊達に体鍛えてないのよ私……はぁ?」
そんな私の甘い考えは、森を抜けた先で潰えた。
「……っ!? 嘘でしょ!?」
崖。
逃げ道がない……私は歯を食いしばり、右に走り抜ける。
だが、逃げ道を遮るように、祟神が木々を薙ぎ倒して私の前に飛び出してきた。
「──ッあっ!」
直撃は免れない。右側に鈍い痛みが走り、私は近くの木にふっ飛ばされた。
「っ、あぁ……くぅっ!」
立ち上がろうとして、とんでもない痛みが右腕に走った。
骨が折れたのだろう、熱さと気持ちの悪い冷ややかさが痛みを中心に渦巻いている。
だが幸運なことに、ライカは比較的遠くに吹っ飛んだ。
「……っ、逃げてぇ!」
「──ッ!」
飲み込んで、ライカは走っていく。
遠ざかっていく背中をぼんやりと見つめながら、私は腕の痛みに苛まれていた。
祟神が迫る。
私を喰おうと、涎を垂らして迫ってくる。
間違えたのだろうか。
だとすれば、どこを間違えたのだろう。
カッコつけて妹を助けたこと?
あの家から出てきたこと?
「……」
まぁ、上出来だろう。
私なんかが、何の役にも立たない私が……誰かに期待されてて、誰かに必要とされているライカを助けることができた。
私自身が輝くことはできなかったけど、他の誰かの輝きを守ることは、なんとかできた。
(……死にたくないなぁ)
縋っても、何もない事は分かっている。
だが。
どうせこのまま死ぬなら、と。
悔し紛れに、吐き捨てる。
「助けて、神様……!」
ああ、何やってるんだろうな私。
ありもしない藁に縋るのは、まぁなんとも無様で、私らしいといえばそうなってしまう。
閉じていた瞼を開ける。受け入れるために、潔く諦めるために。
「おう、任せとけ」
────吹き荒れる黒い……炎!!!
(なに……熱い!?)
祟神の攻撃か!? いや、違う、あの神はこんな権能を持っていなかった。
しかし、突如顕れた黒い炎の壁の勢いは凄まじく、結果的に飛び掛かってきていた祟神が、わざわざ後ろへ飛んでいった。
やがて、揺らめく黒炎が静かに消えていく。
そこには、黒ずんだ白髪の青年が立っていた。
(ってか、こいつも祟神!?)
歪んだ、禍々しい神性。それは、神と呼ぶにはあまりにも抵抗感のある存在だった。
「よぉ、会いたかったぜ。いやぁまさかこんな早く呼ばれるとは思ってなかったけど」
黒ずんだ青年が背を向けたまま、やけに気楽な様子で私に話しかけてきた。
目の前の敵に身構えたり警戒する素振りもない。というか、どこから現れた? いやそれよりも、なんだ……この馬鹿げた神性は。先程まで周囲を覆っていた祟神の神性を消し飛ばすどころか、この山のほとんどを埋め尽くしてしまっているじゃないか。
「あなたは、一体」
「そういうのは後にしようぜ? 百年ぶりの顕現なんだ、ちったぁ楽しませてもらわねぇと……な?」
そう言って、得体の知れない神はその場で掌を上に向ける。
闇。
いや、闇を醸し出す炎、怪しげに揺らめく黒炎が、その掌から生み出されたのだ。
「ヒナタ。よく見とけ、これが……これがお前の、お前だけの神様の力だ!」
雄叫びを上げながら迫ってくるボロボロの祟神。
それに対して避ける素振りも何も見せず、私の方を向いたまま神は笑った。
「【天喰】ッ!」
放たれる黒い火種。
次の瞬間、それは弾けて膨らみ、目の前の祟神の体を一気に包み込む。
足掻く暇も、振り解くような隙もない……薄紫色の煙を立ち上らせる黒炎は、そのまま祟神の体を灰燼へと変貌させた。
「つまんねぇな」
ぶすぶすと音を立てる燃えカス、それを踏みにじる黒ずんだ神。
桁違いの強さ、神としての存在感。……違う、なにもかもが違いすぎる。
「……私の、神様?」
「そうだ」
振り返ってきて、私と彼は目と目を合わせた。
「改めて自己紹介だ。──【黒陽神】天翳日蝕神。お前だけの、最強の神様だ」
(黒陽……? 黒い、太陽の神!?)
この国における太陽の神は、ただ一柱を指す。──【太陽神】陽ノ輪空渡命。最強にして、全ての神々の頂点に君臨する【太陽神】。
太陽は一つ、それを司る神も一柱。太陽の神が他にもいるということは、ヒノワ様の唯一神性の否定に他ならない。
「……えっ、と」
駄目だ、流石に。祟神との契約だなんて。
断らなきゃ。開こうとした私の口を、神は指で遮った。
「言っとくけど契約の解除はもうできねぇぞ?」
「──え」
「だから、な?」
ずいっ、と。
ゆっくりと屈んで近づいてくるカゲルの顔、なんとも言えない満面の笑み。
「これからよろしくな、相棒」
「……は、はい」
差し出された手を、苦笑いで掴む。
ゆっくりと交わされる握手の中、私は心底思った……なんでこんなイカれてるんだコイツは。これじゃあクソ親父や妹たち、他の巫女共をギャフンと言わせることなんかできっこないじゃないか。
いや、ちょっと待て。
唯一の太陽神であるヒノワ様の唯一神性を否定する、できるであろう祟神と、私は契約したわけだ。それはつまり、間接的ではあるが……あれ、もしかして私、もしかしなくても……?
(……この国、敵に回しちゃった?)
気づいても、もう遅い。
最強の祟神と契約した私は、これから歩むであろう最悪の人生を覚悟するよりほかなかった。
「お願い」
安西先生……俺、感想が……欲しいです。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】無能と婚約破棄された令嬢、辺境で最強魔導士として覚醒しました
東野あさひ
ファンタジー
無能の烙印、婚約破棄、そして辺境追放――。でもそれ、全部“勘違い”でした。
王国随一の名門貴族令嬢ノクティア・エルヴァーンは、魔力がないと断定され、婚約を破棄されて辺境へと追放された。
だが、誰も知らなかった――彼女が「古代魔術」の適性を持つ唯一の魔導士であることを。
行き着いた先は魔物の脅威に晒されるグランツ砦。
冷徹な司令官カイラスとの出会いをきっかけに、彼女の眠っていた力が次第に目を覚まし始める。
無能令嬢と嘲笑された少女が、辺境で覚醒し、最強へと駆け上がる――!
王都の者たちよ、見ていなさい。今度は私が、あなたたちを見下ろす番です。
これは、“追放令嬢”が辺境から世界を変える、痛快ざまぁ×覚醒ファンタジー。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました
小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。
しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!?
助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、
「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。
幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。
ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく!
ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー
王女様は聖女様?おてんば姫の大冒険~ペットのドラゴンが迷子なので冒険者になって探しに行きます!~
しましまにゃんこ
ファンタジー
アリシア王国の第3王女ティアラ姫には誰にも言えない秘密があった。
それは自分が全属性の魔力を持ち、最強のチート能力を持っていた「建国の賢者アリシア」の生まれ変わりであること!
8才の誕生日を境に前世の記憶を取り戻したものの、500年後に転生したことを知って慌てる。なぜなら死の直前、パートナーのドラゴンに必ず生まれ変わって会いにいくと約束したから。
どこにいてもきっとわかる!と豪語したものの、肝心のドラゴンの気配を感じることができない。全属性の魔力は受け継いだものの、かつての力に比べて圧倒的に弱くなっていたのだ!
「500年……長い。いや、でも、ドラゴンだし。きっと生きてる、よね?待ってて。約束通りきっと会いにいくから!」
かつての力を取り戻しつつ、チートな魔法で大活躍!愛する家族と優しい婚約者候補、可愛い獣人たちに囲まれた穏やかで平和な日々。
しかし、かつての母国が各国に向けて宣戦布告したことにより、少しずつ世界の平和が脅かされていく。
「今度こそ、私が世界を救って見せる!」
失われたドラゴンと世界の破滅を防ぐため、ティアラ姫の冒険の旅が今、始まる!
剣と魔法が織りなすファンタジーの世界で、アリシア王国第3王女として生まれ変わったかつての賢者が巻き起こす、愛と成長と冒険の物語です。
イケメン王子たちとの甘い恋の行方もお見逃しなく。
小説家になろう、カクヨムさま他サイトでも投稿しています。
【完結】異世界転移した私がドラゴンの魔女と呼ばれるまでの話
yuzuku
ファンタジー
ベランダから落ちて死んだ私は知らない森にいた。
知らない生物、知らない植物、知らない言語。
何もかもを失った私が唯一見つけた希望の光、それはドラゴンだった。
臆病で自信もないどこにでもいるような平凡な私は、そのドラゴンとの出会いで次第に変わっていく。
いや、変わらなければならない。
ほんの少しの勇気を持った女性と青いドラゴンが冒険する異世界ファンタジー。
彼女は後にこう呼ばれることになる。
「ドラゴンの魔女」と。
※この物語はフィクションです。
実在の人物・団体とは一切関係ありません。
【完結】花咲く手には、秘密がある 〜エルバの手と森の記憶〜
ソニエッタ
ファンタジー
森のはずれで花屋を営むオルガ。
草花を咲かせる不思議な力《エルバの手》を使い、今日ものんびり畑をたがやす。
そんな彼女のもとに、ある日突然やってきた帝国騎士団。
「皇子が呪いにかけられた。魔法が効かない」
は? それ、なんでウチに言いに来る?
天然で楽天的、敬語が使えない花屋の娘が、“咲かせる力”で事件を解決していく
―異世界・草花ファンタジー
氷の精霊と忘れられた王国 〜追放された青年、消えた約束を探して〜
fuwamofu
ファンタジー
かつて「英雄」と讃えられた青年アレンは、仲間の裏切りによって王国を追放された。
雪原の果てで出会ったのは、心を閉ざした氷の精霊・リィナ。
絶望の底で交わした契約が、やがて滅びかけた王国の運命を変えていく――。
氷と炎、愛と憎しみ、真実と嘘が交錯する異世界再生ファンタジー。
彼はなぜ忘れられ、なぜ再び立ち上がるのか。
世界の記憶が凍りつく時、ひとつの約束だけが、彼らを導く。
追放令嬢、辺境王国で無双して王宮を揺るがす
yukataka
ファンタジー
王国随一の名門ハーランド公爵家の令嬢エリシアは、第一王子の婚約者でありながら、王宮の陰謀により突然追放される。濡れ衣を着せられ、全てを奪われた彼女は極寒の辺境国家ノルディアへと流される。しかしエリシアには秘密があった――前世の記憶と現代日本の経営知識を持つ転生者だったのだ。荒廃した辺境で、彼女は持ち前の戦略眼と人心掌握術で奇跡の復興を成し遂げる。やがて彼女の手腕は王国全土を震撼させ、自らを追放した者たちに復讐の刃を向ける。だが辺境王ルシアンとの運命的な出会いが、彼女の心に新たな感情を芽生えさせていく。これは、理不尽に奪われた女性が、知略と情熱で世界を変える物語――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる