乙女ゲーム転生もの 短編集

ひなクラゲ

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乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました! でもそこはすでに断罪後の世界でした

前世を思い出したら全てが終わっていました

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 突然ですが、私は転生者です

 ここは乙女ゲームの世界…
 
 何故か私はこの乙女ゲームの悪役令嬢として転生したみたいです
 みたい……とは
 突然今、前世を思い出したからです

 突然の事だけど、私の現世での記憶と今の状況をみるとほぼ間違いなさそうね…

「こんな時に思い出したくなかった…」

 出来るならばもっと早く思い出したかったな…
 それか思い出さずに終わりたかった

 今の状況は既に悪役令嬢が断罪された後の世界…

 全てが終わった世界…


「お嬢様、寒くはないですか…」
 
 悪役令嬢の断罪後、皆が私を見捨て、お城の騎士達に捕まる所、単身助けに来てくれて一緒に逃げてくれた私の従者が尋ねてくる…

「大丈夫よ…」

 私は罪人…
 逃げている最中に見つけた、今は誰も使っていないであろうあばら家、そこに従者と身を寄せ合わせ寒さをしのいでいる
 春先とはいえ、まだまだ夜は冷えるわね…

 私は多分、前世の記憶さえ戻らなければ幸せだっただろう…

 何故なら、断罪され皆に見捨てられた中、ただ一人従者だけは私を見捨てなかった…

 捕まれば自分の身も危ないのに私を連れて逃げてくれた

 私は彼に愛されている…!



 そう勘違いしたまま、終わる筈だった…

 前世を思い出した今、それは憐れで愚かな勘違いだとわかる…

 だって私は乙女ゲームをプレイして全てを知っているもの…

 従者は…

 彼は…

 私の父に冤罪を被せられ処刑された一族の生き残り…

 一族の仇を討つためだけに、憎い私の従者になり、そして私を連れて逃げてくれた…

 他の誰にも仇を取られないように…
 自分1人だけで仇をとるために……

 だから私は知っているの…
 彼がこれから何をするか……


「…………お嬢様
 このままでは逃げ切れません」

「そうね…」

 私はその次の台詞も知っているの

「追手は荒くれ者達です
 捕まればきっと、若い女性は死ぬよりも酷い目に合わされた挙げ句に残酷に殺されるでしょう…」

「…………」

 ええ、そうでしょうね
 私の一族はかなり悪どい事をやっていたから捕まればどんな目に合うか位想像がつくわ…

 お父様も暴徒に襲われ酷い有様で亡くなった…

「だから貴方が穢される前に僕が貴方を殺します…」

 従者は隠し持っていたナイフを構えている

 そう、ゲームの悪役令嬢の末路は従者に殺されるの…

 ゲームの中の彼は、憎い筈の悪役令嬢にも苦しまないように優しく、人想いに止めを刺してくれるの…

 そして復讐を終えた彼もそのまま、自らを刺して果てるの…


 何も知らないままの悪役令嬢だったら、きっと幸せなまま死ねたわ…

 荒くれ者達に穢される事なく、愛してくれる従者と共に死ねるなんて…

 ああ…
 前世の記憶なんて戻らなければ良かったのに…

      ~~完~~
 


 
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