Ice in love

白銀狼

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新たな危機

氷の決意と赤の優しさ

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 アイスが消えかかっている…
(という事は、私の力が限界に達しているのかもしれない…)
 
 リビングにあるソファーに腰をかけ考える。

「ユリア?おい、お前また何か考えているのか?だったら…」
「グレン…ありがとう。心配してくれるのだな。」
「当たり前だ!!好きな女を心配しない奴が居るか!」
「っ…全く…グレンは。」
 
 そう、グレンは私に愛の告白をしてくれたのだ。だが、未だ私は彼の告白に返事をしてはいないのだ。

「俺は、お前が…」

 私は、グレンの言葉の続きを人差し指をグレンの唇に当て塞いだ。
「今は、言わないで。ごめん…」

「なっ!…はぁ。じゃあせめて、今何にお前が悩んでいるのかを教えてくれ…ダメか?」

 大きなソファーに詰め寄るように聞いてくる。こういう時のグレンはずるい。
 
 好きな人にこんなに近くで聞かれたら…答えない訳にいかないじゃないか。
 
「実は、封印が解かれるのが早すぎたようなんだ。」
「あの時の、儀式の時のか?」
「そう、結晶石が溶けかけているのだ。それにより修復していた箇所が崩れようとしている。」
「このままだとどうなる?」
「そう遠くない未来。またあの時と同じ結果を生むことになる。」
「お前…どうにもならないのか!?」
(ならないことはない。しかし今この状況ではなんとも…)

 ギュッと抱きしめられる。きっと今苦しんでいるのは、私だけでなくグレンもアイスも皆苦しんでいる。
 
 私の魔力が残り少ない為に、共にいるアイスの力を使わなくては…なのに何も出来ない自分が悔しかった。

 策はある。
 それは、きっとここにいる誰もが知っている。
 しかし、誰も望みはしない。

「大丈夫だ、俺が側にいる。まだ、お前から離れてやるつもりなんかねぇからな。」
「グレン。…えっ!?」
 急にグレンは私を膝の上に乗っける形を取りギュッと抱きしめ耳もとで囁いた。

「まだ、お前から答えを聞いてないから襲うに襲えないからな。」

 グレンは言い終わると真っ赤になった私の顔に顔を寄せる。

「ばかっ!!近いぞ…ん」
 その瞬間ユリアの唇を柔らかくついばむようなキスをする。

 ユリアの頬に手を添え見下げて言う。
「キスすんなら近くなきゃダメだろ?」

 グレンは、笑ながら言った。
(心臓が爆発しそうだ…好きになった私が言うのもなんだが、初めてグレンを見た時と今じゃ別人のようだ。)

「んで、お前の事だから何か案があるんじゃないのか?」

 さすがグレンは、鋭い。
 私は、隠さずに話した。私の考えを。

「…そうか。分かった。」
「すまない。また待たせてしまう…っ」

「ほんとお前は、勝手だな。行くなと言ってもどうせ行っちまうんだ。…愛してる者としては、待つに決まってんだろ待ってやるよ。お前が俺の元に帰って来るならいつまでも…ん」

 私は、グレンからその言葉を聞けて嬉しさがこみ上げ気づいたらグレンに抱きつきキスをした。


「すまない。待ってて、戻ったら答えるから。グレンに私の気持ちを それまで辛い思いをさせるが待ってて、ごめん…」

「待っててやる。…その代わり」
「ん?」

 グレンが詰め寄り私との隙間が無いくらいに近づく。

 その距離は数センチまでになり…グレンが何かを言いかけた瞬間
 扉がノックされた。

チッ

「え?グレン??」
「今からが良いとこなのに…全く誰だよ」
「良いとこってな、に…」

 聞こうとした時、グレンが離れた。
 無意識に手が服を掴み行かせまいとした。

「っ、はぁ。お前は、俺が我慢してるってのに…お前が戻ったらな?」

 頭に手を置かれ優しく髪を撫でられる。
 グレンの撫で方が心地よく、全てがどうでも良くなりそうだった。

「グレン…帰ったら何をしようとしたか聞くわよ、絶対教えてよね?」
「あぁ、その時は身をもって教えてやるよ。全てな」

 そう言いグレンは、扉に近づき戸を開ける。

 扉の向こうに居たのは…
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