Ice in love

氷の妖精

氷った過去

「えぇ、知りたい？」
 アイリは、私の過去を知っている。その事実は、今の私にとってどれだけ救われるか…
 アイリが知っている事を知ったら、その先私は…でも、知らなくては前に進めない。そんな感情を抱きながら、アイリの話を聞いた。
「知っている事、全て教えて…お願い。」
『ユリア様？よろしいのですか？…本当に』
 いつ変幻をしたのか、アイスが顔を覗き込みながらまるでそう言っているように尋ねる。
 大丈夫と言う代わりに私は、アイスを撫でた。
(大丈夫。何があっても受け入れる)
「本当に、本当に良いのね？今のあなたに戻れないかも知れないけど良いのね？」
「どういう事か分からないけど…もう、分からないのは嫌。分かりたい…全てを」
 アイリは一瞬、寂しそうな顔をしたが思い切ったように顔を挙げた。
  アイリやアイスにとって、これから私が聞く事は、出来れば聞いて欲しくないのだろう。
(ごめん…)

 アイリは、話をするにあたり他の人が居ないようにテラスへ向かった。風が心地よく白いテーブルを囲むようにしてアイリと座った。
 
「…じゃあ、アイス。あなたの力を借りるよ。」
 アイリは、見えない筈のアイスが居る場所を見て言った。
「えっ？今なんて？」
 ゆっくりとアイリの側にアイスが行く。その後ろ姿が何故か悲しそうだった…
 アイリは当たり前のような顔をしていたが、私だけが不思議な感じだった。