エイトゲヘナ~出会って秒で食べられました、けど今は凄く幸せです~

中谷 獏天

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205 お礼の品。

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「レンズ、お抱えの画家が居るんですか」
《いや、急いで紹介所で紹介して貰った》

「繊細な筆使いと柔らかい色合い、それに何より、素晴らしい構図」

 ヒナちゃんと兎の着ぐるみ姿のアンバー嬢が寄り添う、お昼寝姿。
 写真が無くとも、絵画が有る。

 本当に、素晴らしい世界ですよね、ココ。

《シイラもヒナマニアだから、ソッチには写術的な方を渡した》
「あぁ、私は写術的な絵画に否定的ですから、ありがとうございます。ナイス選定です、と言うか、2人も雇ったんですか」

《2人に渡すなら、複製より描き方を分けた方が良いと思ってな》
「何か、手慣れてますね、やっと馴染みましたか」

《いやー、まだまだだな、悪魔に72柱以外居るのは知ってたんだが。馴染みが無いし、そもそも向こうじゃ調べてもいなかったんだ》

「有名所ですとアバドンや、ダンテの地獄の悪魔、マラコーダとかですかね」
《知らないな、オペラだとかは付き合い程度なんだ》

「ですよね、アバドンは主にゲーム等で有名なそうですから」

《なら、Xezbethゼズベスは分かるか?》

「いえ、何処のご出身なんでしょうか」
《調べたが、出典不明、何処から出たかも分からないらしい》

「由来も何も無いんですか?」
《あぁ》

「何だか、凄い悪魔らしい悪魔の方ですね」
『そう、こう仰る方が多いからこそ、そう縛られているのですよねぇ』

Xezbethゼズベスか」
『はい、どうも、完成品のお届けのついでにご挨拶に参りました』

 男性か女性か。
 何処の出身でらっしゃるのか、本当に分からない。

 ウェーブの掛かった長い金髪に、焼けた肌、緑色の瞳。
 お声も容姿も何もかも、本当に、どちらなのか。

 けど、綺麗で可愛く、凛々しさも有る。

「凄い、ご容姿まで、本当に悪魔らしい方ですね」
『はぁ、褒めて頂いているのは分かるのですが、些か不服なのですよねぇ』
《敢えて嘘を言うのは、性質か》

『いえいえ、嘘なんて申しません、私は悪魔では無いのですから』

「成程」
《ややこしいヤツだな》
『ふふふ、如何ですか、魔石の使い心地は』

《あぁ、おう、その礼でもあるんだ。玉響たまゆらの主人は本来、ネネだろ》
「あ、いえいえ」
『ココは素直にお受け取りを、コチラを自慢せねばなりませんから』

 箱の中には、真っ赤なムーンストーン。

「凄いレッドムーンストーンじゃないですか」
《あぁ、知ってるのか》

「はい、ですけどこんな、綺麗にラインが入ったのは見た事が無いですよ。凄い、やっぱり綺麗ですね、想像した通りですよ」
《想像はしてたのか》

「あ、向こうでですよ。姉に赤いムーンストーンが有るって言われて、いざ見たら、コレじゃない感が凄かった思い出が有るので」
《あぁ、成程な。ヒナにと思ってな、貴族には独自の宝石が有るらしいが、ヒナには無かったんだ》

「あぁ、成程」
《もう有るのか?》

「はい、最終的にはご相談頂いて、合意の上で決めました」
《あー、迷うよな、俺も迷ったんだ》
『コチラ以外にも、白に赤いライン、黒に赤いライン等が御座いましたからねぇ』

「あぁ、確かにそれは悩みますね」
《だろ、けどヒナはコレだろ》

「ですね」

 真っ白に、真っ赤な目。
 まさにヒナちゃん、ですよね。

『では』
《いや、少し良いか》

「あ、私は構いませんが」

『仕方無いですねぇ、私で宜しければ、ですがね』
《あぁ、頼んだ》



 私は嘘と伝説・創話・物語・虚構の悪魔。

『つまり私は出鱈目な悪魔なんですが、敢えて、私なのでしょうかねぇ』
《あぁ、ヒナは一体、何なんだ》

 やっと、お覚悟が決まりましたか。

『悪魔と人の混ざり、つまりはヒト種、ですよ』
《だが悪魔貴族なんだろう》

『あぁ、それは必ずしも72柱のみが爵位を持つ、ワケでは有りませんから』
《先代は何なんだ》

『悪魔ですよ』

 では、本当に単なる人種なのか。

《思考が、上手く纏まらないんだが》
『でしょうねぇ、考えさせない様に、誰かがなさっておりますから』

《何故だ》
『未だ、時期では無いからでは?』

《知らないのか》
『72柱とて思考の共有はしていない、悪魔だからと言っても千差万別、他の悪魔の考えは分かりませんよ』

《だが予測は出来るだろ》
『良いですねぇ、苛立ちに焦燥感、不快感に不愉快さ。ですが私は嘘と伝説の悪魔、創話や物語、虚構の悪魔。残念ですが、アナタから出る感情は対価とはならない、コレ以上は対価無しでは話せません』

《はぁ、すまない》
『いえいえ、身内のリスク回避の為、必死になってらっしゃる。ですが、大丈夫、アナタが予想する不幸は起こりませんよ』

《つまり、想定外の何かが起こるって事か》
『さぁ、どうでしょう、そもそも何も起きないかも知れませんよ』

《本当に、優しいなアンタ達は》
『でなければ関わりませんよ、私達を言い訳にも使わせず、全てを消し去るでしょう』

《けど、有るんだよな、向こうに》

『ですが一体、何処の向こう、なのでしょうかねぇ』

 あぁ、コレは大丈夫なんですねぇ。

《そうか、同一世界から来てるとは限らないのか》
『かも、ですねぇ』

《はー、まさに最適な役回りだな》
『ですよねぇ』

 良く似た別の世界、が有るかも知れない。
 ですが、どう、確認するか。

《思い当たる誰かと、詳しく話し合うしか無いのか》
『ですねぇ』

《あ、世界が認めたってのは》
『私は世界ちゃん、と申しておりますねぇ』

《世界ちゃん》

『観測者、ですよ』

《世界の、各世界の観測者》
『だからこそ、其々の世界に一定の法則性が有り、時には独自の文化が形成される』

《居るのか》
『神は居なくとも、少なくとも誰かに見守って頂けている、その方がまだ納得出来ませんか』

《その観測者を観測する事は、叶わないワケか》
『本来、神々は別次元の存在、向こうからは認識出来てもコチラから認識する事は出来無い存在』

《5次元に居る観測者》
『居るかも知れない、となれば、多少の理不尽さも誰かのせいに出来る』

《それはもう、神じゃないのか》
『ですが、既に神と言う存在は存在している、けれど神すらも認識はしていない。少なくとも、他の世界では』

《共通する存在。何故、そう思うに至ったんだ》
『少なくとも私が見て来た世界には、必ず一定の法則性が有り、神も悪魔も居ない世界は無い。ただ、私が語る言葉、ですけれどねぇ』

《それは実際か、それとも概念なのか》
『概念ですねぇ』

 例え人が居なくとも、その世界には神か悪魔に準ずる存在、概念が存在し。
 崇め、恐れられ、畏怖されている。

 まぁ、偶々、かも知れませんがねぇ。

《はぁ》
『あまりご無理をなされては困ります、私達悪魔とて、叱られたいと思うモノは稀有ですから』

《もっと、賢ければな》
『それはどうでしょう、天は二物を与えず、幸福には総量と限りが有る』

《1人が幸福となれば、その量だけ誰かが不幸になる。梅崎 春生だったか》
『良くご存知で』

《文学好きの客用だ》
『そして、ご自分を納得させる為に得た知恵、やはり学ぶ事も趣味となるかも知れませんねぇ』

《まぁ、けど》
『集中し、見落とす事を恐れている。甥御さんがボタンを飲み込んでしまったのは事故、しかも些細な事故、しかもそうした事故はココでは起こらないでしょう』

《アレは、本当に焦った、もしボタン電池なら》
『ココには無いのですし、もう少し、他者に依存しては如何ですか』

《そうすべきだと、分かってるのにな》
『出来れば苦労はしませんでしょう。さ、お渡しに行って下さい、その光景を見に来たのですから』

《あぁ、ありがとう》
『いえいえ』



 真っ赤で、猫の目みたいです。

『ねこのまなぐ』

《あぁ、青森弁な、猫の目》
「成程」
『何故か言いたくなりました、ありがとうございます、大切にします』

《おう、けど遠慮せずガンガン使ってくれ》
『はい、見せびらかしたいですが、貴族だと示してしまう事になります』
「そこが難しいですよね、ですが良い方法が有ります」

『何でしょうか』
「お茶会などの社交界では、見せびらかし放題」

『見せびらかし放題』
《あぁ、夏休みの計画、どうなってるんだ》

『レンズは有りますか』

《そう来たか》
『レンズと見せ合いっこをします、それと、この色違いをレンズの宝石にします』

《そう言うと思って、どうだ》

 黒い石の真ん中に、赤い筋の宝石でした。
 玉響の石も綺麗ですが、コレはレンズっぽいです。

『レンズっぽいです』
《だろ》
「では、レンズのお披露目会でも開きましょうか」

『はい、そうします』
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