エイトゲヘナ~出会って秒で食べられました、けど今は凄く幸せです~

中谷 獏天

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207 夏休みの計画。

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『はいはい、成程、夏休みの計画ですね』
『定番は何ですか』

『釣り堀、プール、海』

『川は行きませんか』
『北の山って寒いから、川も冷たいんだよねぇ』
「あぁ、山からの水って冷たいですからね」

『本当、しかもお盆を過ぎたら本当に海もダメ、寒いわクラゲだわで本当に危ない。だから夏休み最初の頃に海に行って、あ、キャンプもしたなぁ』

「『キャンプ』」

『あぁ、シイラさんもした事無い?』
「はい、全く」

『海辺でキャンプするんだよねぇ、それで夜はバーベキュー。あ、花火もしたし、スイカ割りもしたなぁ』

『スイカ割り』
「一大イベントでは」
『いやいや、程々の大きさで安いのだからね、大きくて不味いと処理に困るでしょ?』

「成程、確かに」
『釣り堀は最後の方ですか』
『あー、いつでも、だねぇ。けど晴れた日、お魚釣ったら揚げたり焼いて貰って、流し素麺と一緒に食べる』

「凄い充実してらっしゃる」
『短いし、娯楽が少ないからねぇ』

「混んだりしませんか」
『中には親戚の家に行ったり、それこそ旅行する家も有ったから、そこまで混まないんだよね』
『釣り放題ですか』

『まぁ、釣れなかった事は無いね』

「餌って」
『あぁ、練り餌だよ』

「良かっ、でも、ココが同じとは限らないんですよね」
『シイラは虫がダメですか』

「はい無理です、蝶々は綺麗な羽根だけ派です」
『蜘蛛とか蜂って顔可愛いのに』
『はい、しかも益虫です』

「モサモサとかウジャウジャがダメなんですよ」
『あぁ、じゃあシャコとか』

「無理です、調理済みも無理ですが、海老は好きです」

『ダイオウグソクムシ』
『おぉ、凄いの知ってるねぇ』
「マジで凄く無理です」

 シイラさん、口元だけでも表情が分かって。
 何て言うか、面白い。

『凄く嫌いが分かります』
「はい、凄く嫌いです」

『残念だねぇ』
《ううん、タエが居るから大丈夫》
「その、違うんですよ。嫌いじゃないですからね、アナタの場合は苦手でも何でも無いですから」

《本当に大丈夫?》
「はい、影も形も無いですから、全然違いますから」

 シイラさん、真面目で優しいなぁ。

《そっか、良かった》
「すみません無神経で」
『いえいえ、冗談冗談、だって苦手そうじゃ無かったし。ね?』

《うん、だからちょっとビックリした》
『妙さんでも悪戯をしますか』
『だねぇ、ごめんね、ふふふ』
「あ、いえいえ」

『あ、お祭り、コッチに何か有るのかな?』
「あぁ、凄い有名なお祭りが有りますもんね」

『だからもう、楽器の練習が有るんだよねぇ、すっかり忘れてた』
「じゃあ演奏出来るんですね」

『笛ね、けどアレ太鼓が主役だから』
『何のお祭りですか』

「凄みのある、煌びやかな、パレード」
『あー、ココに電飾無いからねぇ、やっぱり灯籠かなぁ』

「あぁ、確かに。いっそ、数人で東の国に行くのもアリですよね」
『良いねぇ、お祭りだけでも。いや、折角だし屋台も食べたいなぁ』

「お好みの屋台は」
『トウモロコシの天ぷらに、ヒメマスの塩焼きかなぁ、本当に凄い美味しいんだよねぇ』

「トウモロコシの天ぷらですか」
『あぁ、名産品が有ったから』
『お祭りの事が良く分かりません』

「有ったら見に行きませんか?」
『だねぇ、そしたら答えが分かるしね』
『妙さんも、妖精も行きますか』
《うん、タエの好きな事もっと知りたいしね》

『じゃあ有ったら行きます』
『よし、コレでかなり埋まりそうだね』

『はい、次はネネさんの所に行きます』
『おぉ、私も良いかな?』

『はい、大丈夫だと思いますが、お城に居るので先触れを出します』
『成程、お城にはそうするんだね、お任せします』

『はい、お任せ下さい』



 成程。

「すみません急に」
「いえいえ、休憩に丁度良い時間でしたし、特に予定も無いので大丈夫ですよ」
『もしかして、まだお勉強を?』

「あぁ、はい、今は悲嘆国についてですね」
『凄い、私、もう勉強したくない』
「私もです、そのヤル気は一体、何処から」

「もう、ココまで来たら、正直ムキになってる感じですね。知らなかった事で、ちょっとハメられた感じになったので、そのままって感じです」

『結構、ネネさん、負けん気が強い?』
「前はそうでも無いと思ってたんですけど、火事場の馬鹿力と言うか、覚醒したみたいです」
「まさに主人公」

「いえ主人公はヒナちゃんですよ。先ずは、私の定番、ですかね」
『はい、宜しくお願いします』

「魚の掴み取り」

「ココに、有りますか」
「はい、確認しました、けどやっぱり東の国が主流ですね。コッチだと、魚がデカい」

「あぁ」
「虫がダメでも大丈夫な点が大きいですよね、ココって練り餌より虫が主流なんですよ」
『ドンマイ』
『私が付けるよ』

「ありがとうございます」
『いえいえ、持ちつ持たれつですから』
「ですね、それとやっぱり、旅行。花火大会を見に行ったり、それこそ魚の掴み取りや、雲海を見に行った事も有りますね」

『あー、綺麗ですよねぇ、けど寒い』
「あぁ、北の山は夏でも寒いですよね」

『もう冬用の寝袋じゃないと風邪引いちゃう』
「凄い、そこまで」

『うん、けど確かに、山も良いかもねぇ』
「ですよね、それとやっぱり、遊園地やプール」

『お、ネネさんの得意分野』
「はい、ですのでご招待しようかと」

『完成しましたか』
「まだ小規模ですが、はい、プールを先にお願いしました。それに温泉も」
「凄い」

「職人さんが、ですよ、それと図面を仕上げてくれる方のお陰です」
『エルも来ますか』

「ヒナちゃんのご希望に合わせます、だそうです」
『ありがとうございます、考えてみます』

 ヒナちゃん。
 やはり次代の女王同士、少し考える事が有るのでしょうか、それとも何か。

「ヒナちゃん、もしかしてお昼寝ですかね、そろそろ時間だったりしませんかね?」

 シイラさん、何か知っているのでしょうか。

『はい、シイラと少しお休みします』
「はい、行ってらっしゃい」
『おやすみねー』



 不慣れな私としては、どれだ、なんですが。

「どうされましたか」

『テレビの中の事は、全く別の、違う事だと思っていました。でも、違いました、本当にお母さんと遊園地に行っている子は実在しました』

 知っている、と実感する、には大きな隔たりが有る。
 そしてヒナちゃんは、不意に壁を乗り越えてしまった。

「私もです、家族旅行もした事は無いですし、遊園地は大きくなってから1人で行きました」

『プールはどうですか』
「親の同伴が無いので行けませんでした、なので遊園地と同じ、大きくなってから1人で行きました」

『寂しかったですか』

「最初は疑問ばかりでした、何故、どうして。何で私は、いつも独りなんだろう、どうしてお父さんは帰って来ないんだろう」

 それから次に、やっぱり、テレビは作り物だから嘘か大袈裟なんだとなり。
 少ししてやっと、自分も家族もおかしいのだと気付いた。

『どうやって気付きましたか』
「怒られたんです、何でも思った事を口にしないで、バカじゃないんだったら相手がどう思うか考えてから言ってよ。それから、一気に誰も周りから居なくなりました」

『それまでに何をしましたか』

「バカにする気は無いのに、バカにしたり、問題を軽く扱ってました。姉や母の様に、嫌だったけど、それはしつこく言われるからで。私には当たり前で、それしか無くて、許される行為だと思ってました」

『心が痛いですか』
「と言うか、本当に、恥ずかしいですね。こうして顔を隠す位、今でもとても恥ずかしい」

 けれど、転校なんて出来無いまま、中学生になり。
 噂が広まってたのか、誰も話し掛けないし、私からも話し掛けない。

 そうして、そのまま高校へ。
 大学へ行こうとした、でも、もうお金が無かった。

『大学で何がしたかったですか』
「臨床検査技師。最初は獣医も良いなと思ったんですが、寄生虫やノミの対応が必要ですし、何より人と関わるので諦めました」

『臨床検査技師は人に関わりませんか』
「血やウ〇コ、内臓の検査をする人です。人の事には関わりますが、関わる数が限られる、殆どがお医者さんが相手ですから」

『関わるのが嫌になってしまいましたか』
「それもですが、申し訳無い、また怒らせたり不快な思いをさせたくない。恨みを買ったら、刺し殺されるか顔や名前を世界中に晒される世界ですから、静かに暮らしたかった。でも、叶いませんでした、そして逃げる為に」

『私は聞かなくても問題は有りません、シイラは優しいです、私の問題に動揺せず対処してくれています』
「いや結構、動揺してますよ」

『動揺がネネさんとは違います』

「あぁ、私の場合は分かる、も入っているかと」
『多分、その成分かも知れません、ネネさんは悲しみが大きいです』

「それも普通の反応、驚くのも、同調したり同意するのも普通ですよ」
『シイラはあんまり驚きません、妙さんやネネさん、ジュリアの驚きや悲しみは大きいです』

「本当なら、多分、レンズさんは感覚を抑えて欲しいと思うかと。私もそれは感じなくて良い、そう思っていますが、どうでしょうか」

『察する勘が鈍くなる事が、少し怖いです』
「失敗するのは怖いですよね、凄く痛いし、何もかも嫌になる」

『多分、以前の私も、そうだったのかも知れません』
「ご記憶は何処まで?」

『時系列が曖昧です、でも、3才の頃の事を断片的に覚えています』
「あぁ、七五三ですかね」

『その前後と、後は同じ日々だったので、良く分かりません。何も無かったです、ずっと、同じだったと思います』
「このままだと知恵熱が出てしまうかも知れませんし、この態勢のまま、本格的に寝てみましょうか」

『私は大人より軽いですが、重いと思います』
「重い事は悪い事じゃないですから大丈夫、頭の匂いを嗅いでも良いですかね」

『レンズは勝手に嗅ぎます、でも最近、嗅いでくれません』
「じゃあその分まで嗅ぎますね」

『はい、どうぞ』

 赤ちゃんの匂いって、こんな感じなんでしょうか。
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