エイトゲヘナ~出会って秒で食べられました、けど今は凄く幸せです~

中谷 獏天

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228 シイラとカウンセラー。

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 シイラの問題は、まだまだ続く。
 が、俺としては終わらせたい。

「あの、私のイメージで恐縮なんですが」
《まだ、その時代でもカウンセラーはクソか》

「当たりが、運が悪かったのかも知れないんですが」
《そもそも、国家資格でも無い、職業適性で落とさない資格なんてクソだ。サイコパスに心理操作術を教えるとか、武器を持たせるだけだろ》

「そうバチボコにやり合ってましたよね、ネット記事で」

《俺のファンか》
「いえ、ファンを、ニラヲチしてました」

《あー、擁護風背後撃ち系が多かったからな》
「すっごい撃たれまくってたのに、噛み付くわ開示請求だわ、鋼のメンタル超えて超合金だと思ってましたから」

《そこ見習う必要は無いと思うんだけどな、嫌な事からは逃げれば良い、その方が遥かに賢い。けどまぁ、逃げるには手足が必要だし、金も必要だった》

「はい」

《で、自己肯定感の話だが》
「好きな事が5つも無いですし、所属したいグループも特に無いんですが」

《俺も、好きな事は5つも無い》

「家庭料理、家族、会話」
《おう、けどヒナの為にも2つは増やそうと思う》

「読書、食事、綺麗なモノを眺める。それと、肌触りが良い寝具やリネン類に興味が湧いてます」
《あぁ、あの兎のな、マジでヤバいだろ。アレのオリジナルはもっとヤバい》

「オリジナル」
《兎とチンチラのハイブリッド》

「なんて、とんでもない種が」
《で人型、だから男なのに痴漢されまくって、指摘するとキレられて大変だったらしい》

「あぁ、それは本当に、大変そうで」
《バカや性格ブスは触りた~い、から始まる、つまりお前は優しい》

「いや」
《自己評価=自己肯定感=自尊心。じゃない》

「頭の良さ=賢さ=勉強が出来る。じゃない」
《そう知ってはいるんだよなぁ》

「応用が利かないバカ」
《よし、お前の中のバカを1人ずつ論破してやるよ》

「そこ、それが羨ましいんですよね、その自信」
《それ、物凄く浅く薄い憧れでしか無いだろ》

 固まって、口をモゴモゴさせ始めたな。
 つまりは合ってるワケだ。

 本当に分かり易いな。

 つかサレオス、こんな部分も大好物か。
 ドSが。

「かも、です」
《強そう、折れ負けない、落ち込んで周りに迷惑を掛けない》

「はぃ」
《サレオス、迷惑か?》
『いいや、寧ろ嬉しいとも言えるね』

《頼られる、そうした余白が有る事が嬉しい》
『そうだね』

《迷惑を掛けてるだろう行為に罪悪感が有る》
「はい」

《もう、コレには寧ろご褒美だろう》

 ほれ。

「ちょっと、良く分からないんですが」
《構いたい、求められたい、頼って甘えられたい》

「つまり」
《愚か者が好きでも愚かだから好きでも無い、けど、じゃあ自分の何が好きなのか》

「はい、何か、恋愛相談みたいになってる」
《だな。尋ねたか?》

「いえ」
《言われても受け入れられないかも知れない、だから尋ねない、けれどそれもそれで申し訳無い》

「はい」
《で、受け入れる方法が知りたい》

「そもそも、受け入れる事が、本当に正しいのか」
《受け入れるも葛藤もどっちも正しい、サレオスの言う事は正しい、間違い無い》

『そうだね』

 誰か1人だけの意見は聞けない、けれど指導役、絶対者は必要となる。

 つまり、俺がソレ。
 信憑性の保証人ってワケだ。

「凄い、何だか保証人の、成程」
《なー》

「賢い」
《いや、コレも結局は学習だ、直感で分かった事なんて殆ど無い。結局は学習、天才は1割、じゃあ俺らは普通》

「私を入れますか、と、なるんですが」
《お前は犬に育てられた野生児、そもそも環境に問題が有った、だから直ぐに解決する方法なんて無い。ゆっくり認知の歪みを正して、正しい感覚を上書きする、お前の中の批判者の殆どは間違ってる》

『そうだね』

 父親や兄の様な身内・教師・救世主として好かれたくは無い。
 けれど、どうにかしたい。

 本当に、手間の掛かる悪魔だな。

 いや、そもそも悪魔だからか。
 ラウムも、自分で探して自分で見付ける事も重要で。

 いや、人と同じか。

 手間無しで、選ぶ苦悩無しに得られる純粋な好意は、それこそ戦前の恵まれた見合いか。
 若しくは子供か。

 選ぶからこそ、選んだなりの悩みが出る。
 もし子供を選べたら、その分の苦悩も更に加算されるだろう。

 だからシイラには選ばせない悩み、そうした幸せが合う。
 だからか。

《はぁ》
「えっ」

《どう考えても、お前にはサレオスだ》
『そうだね』



 悪魔とは、その存在の通り。
 教える事に必ず喜びを感じる。

 だからこそ、教える場を譲る事は、寝取られるも同義。

 けれど、そこは知性と理性で納得させ、抑え込む。
 要するに我慢をしている、と言う事。

『自己評価が低く、自己肯定感も低い、けれど自尊心が低いワケじゃない』

「自尊心」
『自尊心とは、英語から派生し様々な表現方法が現れた。自己肯定感や自尊感情、けれど大まかに2つに分類出来る』

「自尊心と、自愛心」
『プライド、ナルシシズム。品格や品位、万能感。自己受容、自己擁護。そして自己一致、自己評価は比較行為、君は其々の評価は相応だと思っている』

「はい」
『温度なら摂氏なんだろうか、華氏なんだろうか、その液体物は何なのか』

「あー」
『君の場合はマイナスまでいっても、崩壊しない。けれど自尊心や自己肯定感、自己評価の高い者は、沸点が低く直ぐに燃えるか凍って崩壊してしまう。君の母親の様に』

「はい、なので加減が難しい」
『沸点・凝固点・融点・凝縮点、重さ、稀少さ。それらが評価の対象となる、けれど専用の器具が無ければ計れない、それこそが問題や失敗、そうした事が無ければ真価は分からない。それまでの自己評価なんて、所詮は見た目、若しくは単なる印象に過ぎない』

「水か、水銀か」
『自称するなら相応を、君は今、再評価を受ける段階』

「以前の、自己評価、ココでの新たな評価」
『新たな評価をどう受け入れるか、それから。けれど確かに自己肯定感は低い、でも自尊心は低くない。もし低いなら、過去の後ろ暗い行為を後悔しない、そこに居続ける事を問題とは感じない』

「それって、悪い事では無いですか」
『肥溜めに落ちたからと言って、肥料になる必要は無い。身綺麗にするのも自由、そのままで居るのも自由、それこそ迷惑かを考えないのも本当は自由。道徳観念、倫理観、自尊心には様々な要因が有る』

「それと、筋肉」
『そうだね』

「いや、筋トレは流石に」
『良い運動方法が有るよ』

 平均体温は36度。
 夜には眠気を催し、朝には起床する。

 但し、それらが大多数だからこそ、必ず正常だ。
 とは言い切れない。

 個体差、種別、違いには相応の閾値が存在し。
 正常値とは、個々に割り振られた個性。

 子孫繫栄の為の違い、違いとは本来、悪では無い。
 けれど、目立つ者は取り除かれる。

 人類は常に、選択を迫られ続けている。
 遺伝子に、環境に、文化文明に。



「1度固定すれば楽なんですよね、服もそう、行動もそう。一旦納得して固定すると、滅茶苦茶楽なんですよね」
「はい、遅ればせながら、凄く納得しました。そうやって余力を作る、出来るだけ余りを作って、更には考えない事を習慣化する」

「はい、です」
「はい、ありがとうございます」

「素直」

 シイラさんは褒められると困る。
 それこそ私の様に捻くれた困惑では無く、本当に無難な生の正解を知らないから。

「どう、返せば」
《コレは運動と同じだな、ボールが来たら打つか蹴るか、一種のパターン学習だな》
「ヒナちゃんなら、はい。レンズなら、だろ。私なら」

《結構使い分けるだろ》

 見せた覚えの無い場面が、既にレンズには想定されている。
 経験の多さ故、頭の良さ故に。

「ですね」
「あぁ、お疲れ様です」
《そこが違うな、意識してるってより、ついその反応になる》

「ですね、で偶に後悔する、同じ返しでつまらなくないか」
「えっ、ネネさんでも考えるんですか、そんな事」
《飽きられたくないのは、どんな人間関係でも同じだ》

「はい、ですね。けどつい、無難な返事、無難な答えに落ち着く」
《新しく調整するのは勇気が要るし、考えるには引き出しの多さが重要になる》
『ですがレンズの返事の大概は、おう、です』

《面白さより実だ実》
「元ホストなのに」
「引き出しの数、凄そう」
『はい、可視化してみたいです』

《いや一部は恥ずかしいからマジで無理だ》
「そこは、モザイク処理でもしましょう」
「あぁ、良いですね、恥ずかしモザイク処理」
『シイラの顔は大丈夫です、処理をする必要は無いです』

「ありがとうございます」
《ほら、それで良いんだよそれで》
「正直、下手に返事するより、寧ろそれで良いと思うんですよね。謙遜しろって言うのは、明らかに嫉妬心が有りそうだとか、ヤバい奴避けをしろって事だと思うんですよ」

《だな》
『コレも良く言います』
「しかも、クッソ自信満々なんですよね、レンズさん」
「本当、ウチの家族でもココまでのって、それこそ父や母位ですよ」

「あぁ、実際に凄いそうで」
「そこです、上も居るし下も有るのは事実ですけど。余所は余所、ウチはウチ」
《だな、所属内での評価が問題無いなら問題無い》

「けど、規模がデカいと、大変では」
「はい優しい」
《確かにネガティブな発言に思えるが、先ずは純粋に心配してるだけ、そう受け取れるよな》

「はい。ですが反面、褒めて欲しいだとか、承認欲求がヤバい人とはソリが合わないかと」
《心配より、羨ましがって貰う方が嬉しい派かどうか、だな》
「あー、5000%、母は羨ましがって欲しい派ですね」

《で心配されると、強気で出るか自慢か、逆ギレか他人の悪口か》
「ですね、はい、全部やってました」
「うん、性格が悪い」

「ですよね」
《ヒナはどっち派になっても良いけど、性格が悪くだけはなるなよ、流石に俺でも許さない》

『許さないとどうしますか』

 最近のヒナちゃんの成長は目覚ましい。
 その事象への質問では無く、個の返答を聞こうとする。

 個を理解し、相手を理解しようとしている。

《試しにヒナが嫌がるだろう事を、片っ端からやりまくる》
「捨て身」
「じゃあ私も、抗議の為に、色々とします」

 コレだけ付き合いが長いのに、まだ分かっていないんですよね。
 ヒナちゃんが本気で嫌がるだろう事。

『性格が悪いは、他にどんな特徴が有りますか』

 話を変えましたね。

《先ずは周囲からの学習、それと度が過ぎてそうなら都度言う》
『分かりました、気を付けてみます』

《おう》

「良く分かんないんですけどレンズさんって、お父さんって言うか、叔父さん」
「そうそう、そうなんですよ、って言うかこんな叔父が居たんですけど」
《居るのか》
『興味が有ります』

「では先ず、叔父の逸話から」
『はい、宜しくどうぞ』
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