エイトゲヘナ~出会って秒で食べられました、けど今は凄く幸せです~

中谷 獏天

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242 夏休み。

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 先ずは夏休み期間の目標からです。
 私の目標は、楽しく過ごす、です。

 アンバーは、苦手の克服。
 ヴァイオレットは、初めての公式な社交行事を問題無く過ごす、だそうです。

 例年は7月の真ん中からお休みになるのだそうで、今年は15日の金曜日に終業式だけをして帰宅し、そのまま夏休みになります。
 なので46日間の予定を決めました。

《お帰り、結構、荷物が有るな》
『はい、私物も含めて全て、引き上げる様にと言われました』

《それと鉢もか》
『はい、向日葵を育てます』

 植物を育てる大変さ、本当に向日葵が太陽を追い掛け向きを変えるのかの研究が、同学年全員に課せられました。
 毎年の事だそうです、そして来年は菫だそうです。

《菫は、東のじゃないのか?》
『はい、配合種だそうです。向日葵もこの大陸のモノでは無いので、紛失し放置した場合等は退学処分となります』

《おぉ、慎重に扱わないとな》
『はい、ですので種が出来上がる前に刈る様に言われています』

《菫もか?》
『いえ、開花は夏休み後なので、開花するまで家でお世話をし。以降は学園に預ける事になっています、押し花を作るまでが宿題になるそうです』

《おぉ、気の長い宿題になるな》
『はい、根気も育てる為だそうです。預けた後のお世話は学園の者がしますが、特に開花を知らせてくれる事は無いそうです』

《定期的に自分の鉢の様子を伺う必要が有るんだな》
『はい、そして更に先ではパンジーだそうです。ソチラは食用では無いので、更に扱いは慎重にとされています』

《あぁ、じゃあ菫は食えるのか》
『はい、中には押し花だけでは無く、砂糖漬けを作る者も居るそうです』

 そして更に次の年からは部活に入る事になるので、観察日記は無くなりますが、宿題は存在します。

《けど感想文は続くんだよな》
『はい』

 その日までに読んだ本の題名と、印象に残った事を書きます。

《文字数の、上限だけだな》

『下限が有りましたか』
《あぁ、向こうは一律にさせる為、宿題も一律だった》

『どう言う事でしょうか』
《宿題が少ないと、家で教えて貰える子との差が生まれるだろ、だからある程度は量を出して下支えをしてる》

 多分、私が学校へ行けても、特に面倒を見て貰える気がしないので。
 量が有る事は妥当だと思います。

『はい、分かりました』

《後は、自由研究だな》
『はい、ですが問題有りません』

《そうか、じゃあ今日は片付けの日だな》
『はい、その予定でした。コレらはどうすれば良いですか』

《この箱達に、日付順に入れてくれ》
『はい、分かりました』



 転校を幾度か繰り返してるんだが、ヒナの作った品はヒナの大事な思い出。
 だからこそ、全て保存してるんだが。

 つい、感傷に浸る時間が出来るな。

《刺繡は上手いのになぁ》

『刺繡は同じ事の繰り返しです、ですが絵や字は同じ事の繰り返しでは有りません』

 刺繍に見本は有るが、絵の勉強では実物をそのまま模写するだけ、らしい。
 筆遣いや模倣は、個性が育ってから。

 道具の半数は一律で寄付から賄われ、もう半分は自費購入。
 貴族なら問題は出ないが、庶民となると学園によっては購入が難しくなる。

 要は金額で先ずは篩い分けをしてるんだが、アンバー嬢の家は貴族じゃないが、家族が多いので金が有る。
 しかも入学試験に問題無く合格している為、最初は無料になる推薦か自費かを選べる。

 但し、次の年も優秀な成績を得られなければ、前年度も含め半額を納める必要が有る。

 更に推薦枠の数に特に上限は無く、基準以上であれば優秀な者は全て、推薦枠を利用する事が出来る。
 そして毎年決算報告が行われ、資金繰りも明瞭。

 何で、向こうはこうしないんだろうな。
 公益団体も同然なら、資金面も公に公表すべきだろうに。

《学園の運営に不満は無いか?》

『今の処は有りませんが、見落としている可能性は十分に有ります』

 保護者と生徒は学園、教師について評価する事が出来る。
 そして教育への評価を鑑み、教師への給料を決める事が出来る。

 半年に1度集計され、中央値が支払われる事になる。
 つまり、最低でも半年分の蓄財が有り、借金の無い者だけが教師になれる。

 それは何故か。

 教師以外の仕事を経験させる為。
 金持ちですら、先ずは半年分の蓄財を自力で貯めさせ、それから教職に就く事になる。

 何故、そこまでさせるか。

 疲労し、低きに流れるかどうか。
 教えられる事に耐性が有るかを、見極められる為。

 就労の経験が無い者は、基本的には落とされる。
 未だ経験が浅いから、と。

 但し、例外が有る。
 宿星や来訪者には、ココでの就労は免除されるが。

 正直、悪しき見本としても許容しているだけ、なんだよな。

《よし、部屋に運んで終わらせるか》
『はい』



 今日から、ヒナちゃんと一緒に夏休みを過ごします。
 ですので、宿題の確認をさせて頂いたんですが。

「量が、少ない様に思えるんですが」
『はい、秋のテストに問題が出るとは思えないので、最低限の宿題に決めました』

「成程」

 宿題は常に自己申告制。

 学年末テスト、中間テスト、それとは別に予備テストが事前に有り。
 合計で年に4回、テストが有る。

 それらに合格しなければ、低学年ですら留年、若しくは転校となる。
 幼い頃から自分で計画し、実行する制度。

『向こうは少し違うとレンズに聞きました』
「あ、はい、そうですね。場所によるとは思いますが、先ずは朝顔でしたね」
《だよな、音読とかはどうしてたんだ?》

「姉でした」

 今思うと、関わらない様にしていただけで、嫌いでは無かったのかも知れない。

 勿論、嫌いだったのかも知れないけれど。
 私に味方をすれば、必ず母は発狂する。

 だから、関わらなかっただけ、かも知れない。

『嫌いですか』

「そうでも、無いですね」

 色々と考えてみましたが、やっぱり1番は父が悪い気がする。
 でも、もしかしたら、何か理由が有るかも知れない。

《判断が付かないが、そう拘ってもいない》
「はい、ですね」

『私は、これを機に見極められればと思っています。モヤモヤしているので知りたいです、まだ拘っています』
「それで良いと思います、ヒナちゃんの人生はまだまだ長い筈ですから」
《だな、白黒付けるだけじゃないからな》

『はい』

 多分、私は平気なんですが。
 きっとヒナちゃんは傷付く。

 それこそ全く害意も悪意も無い事実に、衝撃を受ける事になる。

 私に出来る事は殆ど無いとは思いますが。
 レンズさんも、皆さんも居ますから、色々と教えて頂こうと思います。

《で、先ずはクラム夫人の家からか》
『はい』



《宜しくな、クラム夫人》
「いえいえ、では先ず、家を案内しますね」
『はい、宜しくお願いします』
「宜しくお願いします」

 子供部屋が2つ、それと来賓用の部屋が1つ、なんですが。
 子供部屋の1つをシイラさんとヒナちゃんに、もう1つは執事の男の子に、そしてレンズさんは暫くお留守番との事で。

《じゃ、宜しく》
「はい、では」

 親戚の子が家に来る、なんて事は無かった。
 寧ろ遊びに行く側だったので、上手くおもてなし出来るか不安だったんですが。

「すみませんが、宜しくお願い致します」

 緊張されると、コチラも緊張してしまう。
 だからこそ、親戚はアレだけラフだったのだと、今やっと理解が出来ました。

 コレが人生経験、なんでしょうね。

「注意されるのも子供の仕事、そう気負わず、先ずはお互いに慣れる事から始めましょう」
「はい、宜しくお願いします」

 では慣れて貰うには、どうすれば良いか。
 何かに集中して貰う、レンズさんから、そう教えられた通りに実践してみる事に。

「では、荷解きをしたら、先ずはココに集合して下さい」
『はい』
「はい」

 母方の家は薬剤師の家系、なので家業を手伝う事は殆ど無かったんですが。
 薬包紙の包み方だけは、習った事が有るんですが。

 多分、似た思惑が有ったのだと思います。
 馴染む為、慣れる為、興味を持って貰う為に。

『終わりました』
「ました」
「はい、では先ずはお家のお手伝いから、この紙にハンコを押して貰います」

『はい』
「はい」
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