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聞いたことのある名前 3
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私と佐々木は一組だった。私達の通っていた中学校は田舎だったので一学年3クラスしかなかった。
一学年百人弱の生徒しかいない中学校で、名前の知らない生徒がいるだろうか?
「違う学年か?佐々木と同じ部活の後輩とか」
「学年も一緒だった」
私は単純な質問を投げかける。
「卒業アルバムに『敷島伊織』なんて名前なかったぞ」
「そうだったか?あ、いや、そうか……」
「何だよ?」
はっきりしない態度に苛立つ。
「うちの中学校は卒業してないはずだ」
「転校したのか?」
「正直よく覚えてないんだけどな。
俺達が中学校に入ったばっかの時、三組で一日も学校に来てない女生徒がいるって噂になった じゃん?ほら、三組の田中が偶然職員室でその娘の顔写真が貼ってある生徒資料を見て『すっげぇ かわいい』って言いふらしてた。
その娘が敷島伊織だよ」
「……ああ、その娘か」
思い当たる生徒がいた、学年で唯一不登校の生徒が。
「俺と小学校が違うってことは、牧田小だった娘か?」
私達の中学校は、私が通っていた笹野小学校と佐々木が通っていた牧田小学校の二つの小学校の生徒が通学することになっていた。
「いや、違うよ」
佐々木は即答した。
「敷島が俺や田中と同じ同じ牧田小だったら、顔ぐらいは知ってるよ。
小学一年からずっと登校拒否ってこともないことはないかも知れないけど。
それならそれで小学時代に噂になってるだろ?
俺が初めて敷島伊織の名前を訊いたのは中学に入ってからのことだからだな」
「そうだな。と言うことは、敷島は中学生からウチの学校に転校してきたってことか」
「それにしても、何で今さら敷島のことを訊くんだよ?」
「ん……、まあな。」
率直な質問に即答するこがとができない。
「まあ良いけどな。接点がないとはいえ懐かしい名前だしな」
私の曖昧な返答に何か察したのか、佐々木はそれ以上突っ込んでこない。
「そう言えば、敷島っていつの間にか転校していったんじゃないか?」
佐々木はまたも必死に記憶をたぐっている様子だった。
「そうなのか?俺は敷島との思い入れが全くないから分からないんだ」
「俺も一緒だよ。でもな、いつの時期かははっきり覚えてないけど、中学校に入学して
比較的に早いうちから彼女の机はなくなっていたと思う。田中ががっかりしてたからな。
でもあいつ次の日には他の娘の尻追いかけてたけどな」
田中……。
「いつ頃転校したんだ?」
「さあ」
「何処に転校したの?どういう理由で?」
「俺が知ってる訳ねえだろ」
笑いを含んだ声が返ってきた。確かに。知っている訳がない。
「いじめにでも合ってたのかな?」
「それはないんじゃないか?そもそも学校に来てないんだから。いじめようもないだろ」
佐々木の意見には半分同意した。だがそれは一日も来ていなかった場合だ。
彼女は入学式には来ていたかも知れない。田舎は排他的なところがあるのも事実だ。
それを察した転校に不慣れな少女が学校に来なくなるというのも充分にあり得る話だ。
「そんなに気になるなら田中に訊いておいてやるよ」
「頼む。俺田中の連絡先知らないんだ」
一学年百人弱の生徒しかいない中学校で、名前の知らない生徒がいるだろうか?
「違う学年か?佐々木と同じ部活の後輩とか」
「学年も一緒だった」
私は単純な質問を投げかける。
「卒業アルバムに『敷島伊織』なんて名前なかったぞ」
「そうだったか?あ、いや、そうか……」
「何だよ?」
はっきりしない態度に苛立つ。
「うちの中学校は卒業してないはずだ」
「転校したのか?」
「正直よく覚えてないんだけどな。
俺達が中学校に入ったばっかの時、三組で一日も学校に来てない女生徒がいるって噂になった じゃん?ほら、三組の田中が偶然職員室でその娘の顔写真が貼ってある生徒資料を見て『すっげぇ かわいい』って言いふらしてた。
その娘が敷島伊織だよ」
「……ああ、その娘か」
思い当たる生徒がいた、学年で唯一不登校の生徒が。
「俺と小学校が違うってことは、牧田小だった娘か?」
私達の中学校は、私が通っていた笹野小学校と佐々木が通っていた牧田小学校の二つの小学校の生徒が通学することになっていた。
「いや、違うよ」
佐々木は即答した。
「敷島が俺や田中と同じ同じ牧田小だったら、顔ぐらいは知ってるよ。
小学一年からずっと登校拒否ってこともないことはないかも知れないけど。
それならそれで小学時代に噂になってるだろ?
俺が初めて敷島伊織の名前を訊いたのは中学に入ってからのことだからだな」
「そうだな。と言うことは、敷島は中学生からウチの学校に転校してきたってことか」
「それにしても、何で今さら敷島のことを訊くんだよ?」
「ん……、まあな。」
率直な質問に即答するこがとができない。
「まあ良いけどな。接点がないとはいえ懐かしい名前だしな」
私の曖昧な返答に何か察したのか、佐々木はそれ以上突っ込んでこない。
「そう言えば、敷島っていつの間にか転校していったんじゃないか?」
佐々木はまたも必死に記憶をたぐっている様子だった。
「そうなのか?俺は敷島との思い入れが全くないから分からないんだ」
「俺も一緒だよ。でもな、いつの時期かははっきり覚えてないけど、中学校に入学して
比較的に早いうちから彼女の机はなくなっていたと思う。田中ががっかりしてたからな。
でもあいつ次の日には他の娘の尻追いかけてたけどな」
田中……。
「いつ頃転校したんだ?」
「さあ」
「何処に転校したの?どういう理由で?」
「俺が知ってる訳ねえだろ」
笑いを含んだ声が返ってきた。確かに。知っている訳がない。
「いじめにでも合ってたのかな?」
「それはないんじゃないか?そもそも学校に来てないんだから。いじめようもないだろ」
佐々木の意見には半分同意した。だがそれは一日も来ていなかった場合だ。
彼女は入学式には来ていたかも知れない。田舎は排他的なところがあるのも事実だ。
それを察した転校に不慣れな少女が学校に来なくなるというのも充分にあり得る話だ。
「そんなに気になるなら田中に訊いておいてやるよ」
「頼む。俺田中の連絡先知らないんだ」
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