入れ替わった彼女

チャロコロ

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転校生 2

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 大きなビル街が建ち並んでいるせいで、不快なビル風が音を立てながら吹き荒んでいる。
 平日はスーツを着たサラリーマンが急ぎ足で歩いている姿ばかりだが、土曜日になると様相が一変して遊びに出掛ける家族連れが多くなる。 
 平日は神経をすり減らして仕事に励み、休みはやんちゃ盛りの子供と遊びに出掛ける。日本のお父さんはすごい、私には到底真似などできなさそうだ。店で運ばれてきたホットコーヒーを一口飲んだ。
 佐々木は昨夜、早速連絡をくれた。田中から訊いた話を教えてくれるということで、今日会うことになった。
 彼も私と同じで田舎から仕事を求めて都会に出てきたので、待ち合わせるのに田舎まで帰る必要はなかった。
 「おおっ、変わってねえなぁ」
 久しぶりに会った親友は変わっていなかった。元気そうに白い歯を見せる。
 「元気そうだな」
 「お前は疲れた顔してるな。眼の下にクマが出来てるじゃん」
 店員にホットコーヒーを注文すると、ゆっくりと席に着いた。
 「最近仕事どうだ?」
 顔を覗きこんで興味深そうな顔を見せる。
 「忙しいよ」
 「俺は少しずつ落ち着いてきたよ。ウチの会社朝が早くてよぉ、朝6時30分に起きて
 るんだぜ」
 「それ普通じゃね?」
 「ああ?そうか?それにしても今度のクラス会楽しみだな。
  やっぱ目当てはアイドル的存在だった倉木かなあ?村手さんも綺麗になってるかも知れないし。  あっ、お笑い担当の山田と会うのも楽しみだしな」
 お笑い担当は佐々木だった気が……。このままでは佐々木が言いたいことだけ言って終わってしまう。
 「敷島伊織の件どうだった?」
 佐々木ワールドを繰り広げる寸前で話を変える。
 「おおっ、そうか。今日はそれで会う約束だったっけな?」
 やっぱ忘れてたか、さすがだよ佐々木。羨ましい。
 「田中や他の奴からも訊いて、色々情報収集したよ」
 「そうか、迷惑かけたな」
 「いいんだよ。先ず、敷島伊織って生徒は俺が話してた通り、中学からの転校生だったらしい。
  田中が当時の担任から訊いた記憶では東京の方から引っ越してきたんだってよ。
  だけど彼女は入学式から一日も姿を現さないまま転校していってしまった」
 「やっぱそうなんだな。東京からの転校生ってのは知らなかったけど」
 「俺達の地元に転校してきた理由については誰も知らなかったみたいだ。
  敷島の親の出身地かも知れないし、多額の借金をして取り立てから逃げていたとか、親が指名手 配犯だとか……。
  まあ普通に考えれば、親の離婚でどちらかの実家に戻ってきたってとこだろうな。
  彼女は当時、田中が話を広めまくったせいで『ミステリアスガール』っていうセンスのないあだ 名で呼ばれて3組で噂になったらしいぞ。謎が謎を呼び、遂にはアイドルだからドラマ撮影のため に通学できねえんじゃねえかっていう、根も葉もない話まで出てきた」
 「アイドルがわざわざあんな田舎に住まねえだろ。不登校は家庭的な事情かも知れないな」
 「そうだろうな。親の離婚、借金、死別だとか、理由は色々考えられる。
  田中の話だと、一学期の終わりに彼女の席はなくなっていたらしい。
  先生から事前の説明もなしに転校したからびっくりしたのを覚えているって」
 「一学期の終わりってことは七月半ばから下旬あたりに転校したってことか……。
  他に何か分かったことはあったか?」
 佐々木は首を横に振る。
 「敷島って生徒の情報は全くと言っていい程なかった。
  同じ3組でも敷島の存在すら忘れてる奴ばかりだ。まあ10年以上前のことで、しかも一日も登 校していない生徒を覚えてろって方が無理があるけどな」
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