入れ替わった彼女

チャロコロ

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転校生 3

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 「いろいろ嗅ぎ回ってもらったみたいだな。ありがと、助かったよ」
 と言いつつも、あまり収穫はなかった。当然だろう。
 「あっ、でもな」
 佐々木は何かを思い出したようだ。
 「田中が敷島を見たっていうんだよ」
 「敷島を?」 
 「ああ、確実かどうかは分からねえんだけど。
  敷島が『浅野の森』に入っていくところを見たんだって。
  職員室で見た敷島の顔写真と一緒だったから間違いないって言ってた」
 浅野の森とは、中学校のすぐ裏にある小さな山のことだ。
 時代を感じさせる石造りの階段を少し登ったところに滑り台とブランコしかない名無しの公園があるだけで、地元の人間もあまりそこで遊ぶことはなく、常に閑散とした場所だ。
 「いつ頃見たんだ?」
 「田中が敷島を見かけた数日後には転校したって話だから、七月だろうな。何か茫然と
 した感じで山に入っていったから、田中も声をかけることはできなかったってよ。あの
 田中がだぞ」
 どの田中だ。


 「敷島に関することは以上か……」
 気がつくと、佐々木が深刻な表情で私を見つめている。
 「それよりも、婚約の方はどうなんだよ。予定通り進んでるか?」
 「ん……、まあな」
 「ははーん、その言い方は上手くいってないってことだな」
 現在の状況をありのまま伝えていいか迷った。だが、こいつには言っておいた方が良いと感じた。
 「実はな……」
 私は遥が現れてからの混乱振りを掻い摘んで説明した。ある朝突然遥がいたこと、彼女は自分のことを琴音と言ったこと、琴音と行ったはずの水族館の写真には遥が写っていたこと、遥と琴音の味付けが全く異なること、遥のカバンの中にあった保険証は敷島伊織と書かれていたことなどを説明した。
 佐々木は驚きながらも真剣に話を訊いてくれた。腕組みをして眼を瞑って考え始めた。
 「んー……、琴音って娘は最初からいないんじゃないか?」
 「はあっ?」
 思わず変な声を上げた。何を言ってるんだこいつは。
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