入れ替わった彼女

チャロコロ

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意外な人 2

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 「えっ?何言ってるんですか?大丈夫ですよ。
  どちらにしろこの仕事終わらさないと帰れないじゃないですか?」
 「先輩、休んでください!」
 「なっ、何だよお前まで。そんなに俺疲れてるか?よっぽどしかめっ面になってんだな?」
 軽い冗談を言ったつもりだが、二人の反応はない。いつもと様子が違う。
 「そっ、そんなこと言うんだったら、自分に回ってくる仕事の量をもっと減らしてくだ
 さい。そりゃいっぱいいっぱいにもなりますよ」
 苛立ちから課長に嫌みを言ってしまった。
 「先輩!」
 後輩の語気が強くなった。上司に対してまずいことを言ってしまったな。
 「先輩……。課長は先輩にばかり仕事を回してた訳じゃないんすよ」
 「そうだな。皆仕事してるもんな。課長、失礼なことを言って申し訳ありません」 
 頭を下げた。
 「そんなことはどうでもいいんだ」
 課長の顔色を伺った。あまり気にしていないようだ。安心した。
 「先輩なんです……。先輩なんですよ」
 「えっ?」
 「課長に仕事を大量に回すようにお願いしたのは先輩自身なんですよ。
  寝る時間もない位に私に仕事を回してくださいって」
 「俺が?そんなこと言ってねえよ」
 「いいえ、先輩は課長に直談判していました。
  課長は必死に断っていたんですが、先輩は全く引きませんでした。
  『課長が仕事を回してくれないんだったら、自分は死にます』って」
 「俺はそんなに仕事人間じゃねえぞ」
 「それはっ……」  
 「もういいんだよ」
 課長は後輩の肩に手を置いて眼で促した。
 後輩は頷くとその場所を離れていった。
 「私は課長にその様なことを言ったんですか?」
 後輩の背中を見届けながら訊いた。
 「少しくらい休んでも罰は当たらん」
 私の質問には応えなかった。
 「そんなことを言った覚えはありません」
 「社長が何を言っても君を首にはさせない。
  万が一解雇になるようなことがあったら、俺が代わりに会社を辞める」
 「どういうことなんですか?正直、状況が全く分かりません」
 「取り敢えず今は休むんだ。君は疲れ過ぎている。
  これ以上自分を苦しめたら、君は戻って来れなくなる。もう死ぬなんてことは言うんじゃない」
 「死ぬ……ですか」
 「君には死ぬ権利なんてないんだよ。
  私にもない。
  人間は生まれた以上、何があっても自ら死を選ぶことは許されないんだ。
  君が生まれるには両親が必要だ。その両親には更に両親がいる。
  その命の連鎖があって君がいるんだ。君の命は君だけのものじゃないんだ。
  自殺をするのは殺人と何も違わないんだよ」
 課長は何故そんなことを言うんだろうか……。
 私は促されるように会社を出た。去り際に一つだけ訊きたいことがあった。 
 「先程のことですけど、私はいつ言ったんですか?」
 「……8月だ」
 私が婚約を決めた時だった。
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