入れ替わった彼女

チャロコロ

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中学時代の思い出 3

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 「特に佐々木君が作ったカレーなら、他の女子も喜んで食べること間違いないわ」 
 「偶然なんだけど、俺カレー超得意なんだよ。三日に二日はカレーだからな」
 それも初めて訊いた。 
 「本田君は?」
 「えっ?」
 月野さんが俺に話題を振って来て、思わず挙動不審になった。
 「本田君はカレーとか作るの?」
 「いっ、いや……俺は全然……料理とか作ったことないから」
 傍から見たら挙動不審間違いない。
 「私も全くできないから、佐々木君に全部任せればいいよ」
 佐々木が「ひょえっ」と声を上げる。
 「佐々木の包丁さばきはすごいんだろうな」
 「ねえ?間近で見れるなんて嬉しいわ」
 次は「ひぃっ」と鳴いた。何だこいつは。
 「ふっ……、二人も手伝ってくれよな。俺は俺で忙しいんだから」
 佐々木は唇を尖らせた。
 「何が忙しいの?佐々木君は何の係にも選ばれてないじゃん」
 「お、俺はその、うん、あれだよ。あーうんあれだあれ」
 「どれだよ」
 「べっ、勉強」
 それは苦しいだろ。佐々木は嫌な汗を掻いている。いつ職務質問されてもおかしくない怪しさだ。息を荒げながらしきりに周囲の様子を気にしている。あぶないお薬してないか?
 「そんなことより、肝試しも楽しみだな」
 助け舟を出すと佐々木の表情が一変した。
 俺にウインクしてきた。グッジョブと言いたそうな満面の笑みだ。
 「そうそう、それが言いたかったんだよ」
 「えー?私怖いの苦手。何で肝試しなんてやるんだろうね」
 月野さんが頬を膨らました。その仕草に心臓が高鳴る。
 「毎年の恒例行事だから仕方ないかもね」   
 無難な返答をしておいた。
 「でも、本田君は肝試し好きなんでしょ?」
 「そうなんだよ、こいつは肝試し大好きなんだよ。俺は大嫌いだけどな」
 佐々木は鬼の首を取ったかのように叫んだ。恩を仇で返しやがって。さっきより良い笑顔じゃないか。
 「私怖いの苦手だけど、嫌いじゃないよ」
 「そうだそうだ、俺も苦手じゃない」
 佐々木、その性格嫌いじゃないぜ。始業のチャイムが鳴ってしまった。皆自分の席に戻る。
 「よろしくね」
 月野さんが耳元で囁いた。言葉が出なかったが、かろうじて笑顔で返した。席に座ると手足が震えていることに気付く。ジェットコースターで急降下した時のように身体が宙に浮いてフワフワしていた。
 分かっていた。自分の身体に今何が起きているのか。
 決して病気なんかじゃない。いや、病気と言うべきかも知れない。
 誰もが一度は通る道。小学生の時は感じることができなかった思い。そしていつしか感じることができなくなる思い。
 彼女の顔を見ることができた、眼が合った、それだけで一日が幸せな気持ちになる。
 今日は最高の一日だ。おかげで授業内容が全く耳に入ってこない。それはいつものことだけど。
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