入れ替わった彼女

チャロコロ

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中学時代の思い出 8

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 今年は秋がなかった。
 そう言いたくなるくらいに、夏が終わると厳しい寒さが舞い降りてきた。
 まだ11月初旬だが、吐息が白く変化するのも遠い先のことではない。
 夏服を卒業して黒い学生服を着るだけでは寒さはしのげなくなる。
 幸運にもウチの学校は冷房器具はないが、暖房器具だけは教室に配置されているので夏よりは遥かに過ごしやすい。
 キャンプから一ヶ月半が経過して、俺と月野さんが付き合っていることが周知の事実になっていた。
 だからと言って毎日話す訳でもなく、すれ違うごとに挨拶を交わす程度で終わることが多い。照れくさいというのが正直な気持ちだ。
 暖房の前で寝そべって温風を一人占めする佐々木を、皆が「せーの」と声を合わせて引き剥がそうとしている。
 このクラスの日常だ。
 「お前のせいで寒いんじゃ!」と言いながら佐々木のみぞおちに教科書通りの膝蹴りをかます真鍋さん。
 「うごっ」という声にならない声を上げながら佐々木は引き剥がされて廊下に捨てられていく。
 これも日常だ。
 平和だなぁと頬杖を付きながら見ていると、肩をちょんちょんと叩かれる。振り返ると月野さんが立っている。
 「えっ、何?」
 驚愕のあまり振り返るスピードはハンパなかった。
 「今日一緒に帰ろっ」
 一緒に帰ろう?一緒に帰ろうということは二人で帰るということか?二人で帰るということは並んで歩くということか?並んで歩くということは佐々木はほっといていいということか?
 「予定あった?」
 深刻な表情に見えたのか、彼女は心配そうに顔を覗き込む。
 「ないない、何もない」
 「良かった、じゃあ部活が終わった後に教室で落ち合おうよ」  
 「分かった」
 彼女が立ち去る後を眺めていると、ふと他の生徒の視線が気になり前を向き直す。こういう時は何事もなかったように振る舞う方がいい。緊張で震える手を必死に抑えながら自分に言い聞かせる。心臓は踊り狂っているけど顔は赤くなってないか?
 「佐々木、こんなところで寝てる……いや泳いでるんじゃない」
 廊下から馬場先生の声。
 「それは勘違いですよ。先生の教科書をお持ちしなければならないと思い、お待ちして
 おりました」
 「いいから服を着ろ」
 どういう状況だよ。
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