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微かに吹いた風が髪をなびかせて首が露わになると、絵里の全身を冷やして身体を震わせた。
図書室での勉強を終えた絵里達が外に出ると、そこには生徒の姿は誰一人見当たらず、受験を控えた生徒がポツポツと残っているだけだった。
日中には校舎を頻繁に出入りしている生徒や教師達で活気に満ちた学校も、陽が暮れてしまう時にはゴーストタウンのようになっており、つい数時間前までは何百人もの生徒がいたとは思えない程に校舎が静かに佇んでいた。
夜間に行動することを想定されていない校庭には街灯がほとんどなく、眼が慣れないうちは足元を確認しながら歩かないとつまづいてしまいそうなくらいだった。
時間は午後7時を回っており、この時期に暗いのは当たり前だった。絵里達は午後七時まで許される自習時間ぎりぎりまで学校で勉強するのが習慣となっていた。
毎日が勉強の繰り返しで、肉体的にも精神的にも疲労が溜まってくる時期で、それは絵里達も例外ではなかった。
ザッザッという地面を擦る音を立てながらつま先を地面に叩きつけて靴を履くガッツ。
それを見た絵里は彼が靴を履き終えるのを静かに待ってから歩き出した。絵里は苦痛な勉強が一区切りついたこのひと時が人知れず好きだった。
大好きな学校に大好きな人達と大好きな学校にいる。
この時間に校庭を歩いていると、学校の全てを自分達が独占している気持ちになれる。誰にも邪魔されず、誰もが知らない学校の裏側を私達だけが知っている。
絵里は前を歩くひかりや嬢ちゃんと少し距離をあけて、ガッツの横についた。
自転車置き場まで50メートル足らずの距離だが、絵里にとってガッツの隣りを独占することができる唯一の時であり、これ以上の幸せな時間はなかった。
前を向く振りをしながら横目でガッツを見る。彼から出る白い吐息が出ては、すぐに消える。
僅かに聞こえる風の音を耳にしながら、絵里はガッツに気付かれないように歩幅を狭くして時間をかけて歩く。
彼女は心の中で、1つの賭けをしていた。
この先にある自転車置き場までに、彼が自分の方を振り向いてくれることを。
だけど、いつも彼は真っ直ぐ前に進むだけで、彼女を見ることはなかった。
途中で足をとめた絵里は、自転車置き場へ向かうガッツの後ろ姿を見送りながら軽く溜息をついた。
今日も賭けに負けたな、心の中で呟いた。
図書室での勉強を終えた絵里達が外に出ると、そこには生徒の姿は誰一人見当たらず、受験を控えた生徒がポツポツと残っているだけだった。
日中には校舎を頻繁に出入りしている生徒や教師達で活気に満ちた学校も、陽が暮れてしまう時にはゴーストタウンのようになっており、つい数時間前までは何百人もの生徒がいたとは思えない程に校舎が静かに佇んでいた。
夜間に行動することを想定されていない校庭には街灯がほとんどなく、眼が慣れないうちは足元を確認しながら歩かないとつまづいてしまいそうなくらいだった。
時間は午後7時を回っており、この時期に暗いのは当たり前だった。絵里達は午後七時まで許される自習時間ぎりぎりまで学校で勉強するのが習慣となっていた。
毎日が勉強の繰り返しで、肉体的にも精神的にも疲労が溜まってくる時期で、それは絵里達も例外ではなかった。
ザッザッという地面を擦る音を立てながらつま先を地面に叩きつけて靴を履くガッツ。
それを見た絵里は彼が靴を履き終えるのを静かに待ってから歩き出した。絵里は苦痛な勉強が一区切りついたこのひと時が人知れず好きだった。
大好きな学校に大好きな人達と大好きな学校にいる。
この時間に校庭を歩いていると、学校の全てを自分達が独占している気持ちになれる。誰にも邪魔されず、誰もが知らない学校の裏側を私達だけが知っている。
絵里は前を歩くひかりや嬢ちゃんと少し距離をあけて、ガッツの横についた。
自転車置き場まで50メートル足らずの距離だが、絵里にとってガッツの隣りを独占することができる唯一の時であり、これ以上の幸せな時間はなかった。
前を向く振りをしながら横目でガッツを見る。彼から出る白い吐息が出ては、すぐに消える。
僅かに聞こえる風の音を耳にしながら、絵里はガッツに気付かれないように歩幅を狭くして時間をかけて歩く。
彼女は心の中で、1つの賭けをしていた。
この先にある自転車置き場までに、彼が自分の方を振り向いてくれることを。
だけど、いつも彼は真っ直ぐ前に進むだけで、彼女を見ることはなかった。
途中で足をとめた絵里は、自転車置き場へ向かうガッツの後ろ姿を見送りながら軽く溜息をついた。
今日も賭けに負けたな、心の中で呟いた。
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