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第5章

5 - 9 完全懲悪!悪の首領に仕置きせよ!

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ここは王都のとある屋敷

男はソファーにふんぞり返ってブツフツと独り言を呟いている──

「ふん!やっぱり全滅か!街の被害はどんなもんなん?」

《冒険者が64名》

「えっ⁉それだけ⁉街は⁉住民は⁉」

《街の壁に少々の傷は付けたものの住民への被害はなしですね》

「はぁぁぁぁ⁉あり得なくね⁉魔物も軽く10000体は呼び出したハズだろ⁉」

《7割を例の魔法戦士が瞬殺。残りは何故か飛び抜けて強い冒険者が100人程居て、それが3割を撃破》

「ちょっ⁉なにそれ⁉飛び抜けてってどんだけだよ⁉」

《う~ん…100人がかりでやっとフェヒターやキャバリエの足止めが出来る程度ですかね?A級冒険者程度なら100人程度では引き殺しなのですが…》

「はぁぁぁぁ⁉Aより上が100人⁉あり得ない‼」

《しかも隊長格はキャバリエといい勝負をしてましたよ?》

「もう嫌だ!ちっとも面白くないじゃん!」

《ちなみにティラールは裏切り?というか洗脳された?兎に角引き抜かれました》

「ばかな…残りは個人じゃ何の役にも立たないエヴェックだけじゃん…」

《そうですね。どうします?ちなみに超高速で彼が此方に向かって来てますよ?》

「何だっ───ドゴォォォォォン!

突然屋敷に衝撃が走り、突如目の前に大岩が突き刺さった──

「よう…テメーが親玉か」

と彼に絶望を告げる声が聞こえた──




時は少々遡り──

「それじゃバレリィにユリアン!皆と街の防衛を任せる!」

「サー!イエスサー!」
「うん…わかった…」

と俺の指令に二人は敬礼したり頷いたりと違いはあるが問題はないだろう…

「新入り!わかった…ではない!返事はサー!イエスサー!だ!」

「うるさい…」

「新入りの癖に上官に逆らうのか⁉」

「撃つ…よ?」


(………………)《………………》

大丈夫…だよな?喧嘩するほど中川家!って言うなしな!《それを言うなら仲がいい~ですよ。なんですか中川家って…一体何処の中川さんですか…》

(そりゃああれだよ。改造制服で交番勤務だったりTVに出てた面白可笑しい二人組の人達だよ)

《どっちも過去形じゃないですか…二人組なら現役ですよ?過去形は失礼ですよ…》


「兎に角!バレリィはユリアンの指揮に従ってくれ!ユリアンは動ける元訓練生を集めて魔物の生き残りが居ないか街の周囲の索敵を行い、遭遇したら撃破すること!」

「サー!イエスサー!」
「…………」

こらこら…ユリアンくん…そんな怖い顔で睨まないの!バレリィも素直に言うこと聞けばいいのに…と一抹の不安を覚えつつも俺は「【ポータル】」と念じて親玉がふんぞり返っている王都へと瞬間移動した───


王都に着いた俺はすかさず「【フライ】」と念じて空へと飛翔。親玉の屋敷目掛けて全速力で移動する

「ここか…随分といい屋敷に住んでるじゃなか…【クリエイト】」念じて俺は巨大な岩を上空に作成し、そのまま重力に任せて大岩を屋敷にぶち落とした!


ドゴォォォォォン!


大岩はけたたましい音を立てて屋敷の屋敷を突き破り、屋敷には目出度く毎日太陽を拝めるようにと大きな穴が穿たれた

開いた穴を覗き込めば、中には二人の人間の姿が見えた──


「よう…テメーが親玉か」と俺が声を掛けると

「何故此処が⁉一体どうやって⁉」と慌てふためく男

「何故もなにもないだろう?俺はお前の部下を調略したんだぜ?その時ちょこちょこっと脳内を調べて此処にふんぞり返っているお前を見つけたって訳だ」くくくっと俺は目下に男を見下しながら口角を上げる

「お前!俺を誰だと思ってやがる⁉こんなことをしてタダで済むと思っているんじゃあないだろうな⁉」と言っている口とは正反対に足腰はガクブルと恐怖に震えた子鹿のようだ

「誰もなにも貴様は先の副将軍でもあるまいし?勿論タダで済まそうだなんて思ってないぞ?きっちり取り立てられる物は取り立てたいと思ってるよ」と俺はニヤニヤと口元を歪め──

「てめえの汚ねえチンコを引き千切って口に突っ込ませてケツの穴を鋼の棒で犯した後そのまま串刺しにしてコンガリ狐色に焼き上げてやるから覚悟しろ!」と俺は湧き上がる怒りから男に怒声を浴びせると一直線に飛び掛かった!!

迫る俺を見て男は俺に向かって右手を突き出し──

「【ファイヤーチェイン】」と声を上げる!すると男の右手からは炎を纏った鎖が飛び出し、俺を捕らえようと迫って来る──

俺は目の前の男が突如未知の魔法を使用したことに驚き空中で急停止「【エナジーバリア】」と念じて体を薄い膜で覆い隠す──燃え盛る鎖は、その膜に触れた瞬間に蒸発した

霧散する鎖に男は舌打ちをすると空に留まる俺へ再度右手を突き出し「【ストーンカノン】」と声を上げる!

「チッ!炎の鎖の次は今度は岩弾かよ!だが!」俺はその場でエナジーバリアで受け止めようとすると《ダメです!バリアが抜かれます!回避を!》という声が脳内に響くも時すでに遅く

ガガガガガガガガ!と俺のバリアを貫通した岩弾は俺の肉体に無数の穴を穿つ!

「うおおおおお!【リバイブ】」と念じて開いた穴を瞬時に塞ぐ

「瞬時に回復するなんて滅茶苦茶だ!クソったれ!【アストラルスラッシュ】」と男が今度は俺を斜めに切り裂くように腕を振るう

《雷斗さん!鎧を!》「着装ぉぉぉぉぉ!」俺の意志に答え黄金の鎧が顕現し、男が放ったであろう不可視の攻撃を弾いた感覚が鎧超しに伝わる

「だから反則なんだよその鎧!【エアロボム】【スプラッシュ】」と鎧が顕現している間に次の魔法を男が放つ!風が俺の周囲を球体状に囲み空気が圧縮されていく所へ水が大量に流れ込む!
俺は圧縮される空間に押し込められ、流れ込む水に体内を侵食される──

「ははは!その鎧の攻略方法を考えてなかった訳じゃないんだぜ!そのまま溺死しろ!」

男は俺の今の現状を眺めて愉悦に浸っているようだが…俺はインベントリから正清を取り出し、我が身を囲む風と荒れ狂う水を切り裂いた──

パーーン!パシャーン!と音を立て周囲に大量の水が飛び散る中
「今の攻撃は少しだけ面白かったぞ?」ニタァ…と笑う俺を見る男の瞳には恐怖の色がより濃くなり

「ああああああ!【アッシュフレイム】【エアロクロス】【アースジャベリン】」と混乱したのか、立て続けに魔法を放つも当たり前だが俺の金色の鎧こうがいぜっは一撃たりとも通したりはしない

「貴様の放つ軟弱な小宇宙が俺の黄金の鎧を打ち破ることなぞできる訳がないだろう!これでも喰らえ!」と俺は正清を持たない方の手で貫手からの真空破《こっそりとトルネイド唱えるのはどうなんですか?》を放った!(うるさいよ!)

ゲフンゴフン…その貫手の衝撃波に吹き飛ばされた男は壁にめり込み身動きが取れなくなる

「それじゃぁお待ちかねの俺ターイム!と行きますか!」俺は口角を吊り上げつつめり込んだ男へと近寄り──

「捥がれてたまるかああああ!【サモン】風神!雷神!」と叫んだ男と俺の間に現れたのは二体のおっさん?

次に男は「風神!そいつをどっか遠くに吹き飛ばせ!雷神は俺をここから解き放ってくれ!」という指示を出す

「ん?風神とやらが相手か?」という俺めがけ風神は竜巻を飛ばしてくるも…俺はひょい!ひょい!と何度となく飛んでくる竜巻を華麗に回避

「こう言ってはなんだが…エアーマンは毎回最初に倒してたんだぜ?竜巻回避はお手の物だ!」
《最後までE缶取っておくタイプです?》(俺はそんなもの使わないんだよ!プロだからな!)
《プロ発言に草wwww》(シャラーーップ!)

「ロックバスター!」《はいはい…先程喰らった【ストーンカノン】を丸パクリして名前だけ変えてもね…》(黙れよ今いいところ!)

俺の放った岩弾の雨は風神の竜巻すら打ち抜き霧散させ本体を貫いた──音もなく崩れ落ちた風神を一瞥し男を見ると、なんとか雷神の力を借りて壁から抜け出し再度臨戦態勢を取る

「くそ!風神が!雷神よ!時間を稼げ!」と命令を出す男によって無謀な突撃を強いられた雷神に

「Aボタン連打~」《素直に【ストーンカノン】と言えばいいのに…》岩弾の雨を浴びせられた雷神は無数の風穴を開けて敢え無く撃沈──それを呆然と見ていた男へ俺は正清を投擲


ザシュッ!


と投擲された正清は音を立て男の腹を突き破り再び男を壁へと縫い付ける

「ガハッ…く…エヴェック!俺の傷を癒せ!」という叫びに突如現れた別の男が正清を抜き取り親玉の男の傷をなんらかの魔法で瞬く間に塞いでいく

それを見た俺はすかさずターゲットをエヴェックと呼ばれた男へとチェンジ!鉄貨を取り出してエヴェックの脳天めがけて投擲!傷を癒すのに必死になっているエヴェックの頭部がザクロのように弾け飛んだ

目の前で弾けた血飛沫と脳漿をモロに被った男は呆然と立ち尽くし、せっかく拾った命を無駄にしてしまう事となった

俺は「【アースウォール】」と念じて男を岩の中へと閉じ込め四肢の自由を奪うと

「今度こそお楽しみのお時間ですよ~まずは…」ズボンを切り裂きポロンと出た逸物を切り取り──

「あぎゃああああああああああ!」と喚く男の口の中へ…勿論触りたくなかった俺は逸物を正清で突き刺して器用に突っ込んだ!

「おげええええええええ!」と涙を流しながらそれを吐き出そうとする男の口をそうはいかぬと【トルネイド】と念じ風の力で顎と頭を押さえつける

「うぶううううううううううう」と男は涙と鼻汁を大量に流しながら首を左右に振るも、そんなものでは当然のトルネイドの呪縛からは逃れられず──

「よし次はこれだ!」と随分前に倒した忍者もどきが持っていた苦無を取りだしケツの穴から苦無の先端をねじ込んだ

「うぶぶ!ぶぶ!ぶぶぶう!」と豚のように鳴いていた男が突然静かになった…どうやら痛みと絶望に脳が意識をシャットダウンしたらしい…が、そんなことを許すほどこれまでこいつが行ってきた悪行は生易しい物ではない

俺は気絶した男の頭を掴み「【クラッシュマインド】」と念じ脳内を弄って無理やり意識を覚醒させると再び「うぶうぶうぶうぶうぶうぶうぶう」と意識が混濁しているのか男は妙な嬌声を発する

「それでは判決を言い渡す…までもないな。しゃくえんてつしょうぅぉぉぉ!」俺の必殺技。灼焔畷掌によって心臓を抉り取られた男はついに絶命し…

「魔法を使うくらいだからな…マジで神の使いなのかもしれんし…念のため…【サンドストーム】」と念じて死体を灰燼へと化し──

「ふぅ…いい仕事したわ!」キラン!と歯を輝か──《爽やかに行こうとしてもやってる行為は非道そのものですからね…》せ…って(折角かっこよく決めていたのに!要らん突っ込みすんなよな!)

もう疲れたし帰ろっと……

そうして今回の最大の悪はこの世から追放された──

だがしかし…この世に人が居る限り…悪が潰えることなどありはしない──

《行け!久世雷斗!お前達の闘いはこれからだ!》

(なに勝手にENDフラグ立てんだよ!今流行りの闘いはこれからだ!ENDなんてこれから子供が生まれて来るってのに納得できねーよ!これから俺のハーレム無双が始まるんだろうが!このダ女神が!)

俺たちはそう脳内でいつもの漫才を続けながら帰路へと就くのであった──


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