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第6章
6 - 5 躰は正直だな?とか一度言ってみたかったんだけど…なんか思ってたのと違った
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「お前みたいな子供が領主だと…」
俺と対峙した男は驚きに目を見開く──かと思いきや、いまだ同情したような顔で俺を見る
「そんなくだらない嘘なんて吐かなくてもいいんだぞ?俺たちが怖かったのなら謝るから…その剣?を置いて家に帰るんだ。今なら俺たちを見た事も無かった事にしてあげるから…な?」
明らかに俺を頭のおかしい人間だと決めつけている男に苛立ちを覚えた俺は正清を秋月の構えに持ち替え、正面の男へ向けて殺気を叩き付ける
「な…」と今度こそ驚きの表情に目を見開き、男は慌てて剣を構える。それを見た俺は口角を上げ…
「どうやら貴様の躰は正直なようだな。理性とは関係ないところで俺を認識しているぞ?」
くくく…と笑う俺を見て男の表情は今までの残念な子供に同情する顔ではなく、戦士のそれとしてキリッと引き締まった表情に変わった
《躰は正直…ウホッ!》(黙れ!ダ女神)
「どうやら俺は大きな勘違いをしていたらしいな…お前達!こいつは俺が食い止める!その間にお前達だけでも逃げるんだ!」
「お頭⁉」
目の前の男…どうやら盗賊の頭らしい…その頭の発言に他の盗賊達は驚きの声をあげる
「目の前の子供はとてもじゃないがお前達の敵う相手ではない!行け!スラムの皆を頼む!」
「お頭…ご武運を!」「お頭あああ!」
と叫びながら俺の横を通ろうとする盗賊達だったが──
「誰が逃げていいって言ったよ?【アースウォール】」念じて俺は通路を固い土の壁で閉じてしまう
盗賊達は突如出現した壁を慌てて壊そうと体当たりをするも俺が魔力を込めて作った壁はその程度ではビクともしない。その様子を見ていたお頭が突如俺へと斬り込んだ!
ガキィン!──俺の正清とお頭の大剣がぶつかり合い火花を散らす
「どうやらお前を倒さない限りここから生きて出られなさそうだな!」
「その通りだとするなら全員あの世の閻魔様に謁見する事になるんだが…な!」
ガキィン!ギィン!と甲高い音を立てながら斬り合う俺とお頭
「その剣…細身のくせに俺のバスターソードを受けて折れるどころか刃毀れすらしないのか…」
「俺の刀より…あんたの剣の方が先に折れそうだがな!ぜい!せや!どぉぉりゃぁぁぁ!」
ギン!ギャイン!ギャギン!と俺の剣撃をぎりぎりの所で受けるお頭の剣だが…正清の切れ味が段違い過ぎてあっさりと刀身が断ち切れてしまった
「まさか…剣を斬られるなんて思わなかったが…」と往生際が悪く折れた剣をいまだに構えるお頭
「さて…盗賊行為は立派な悪行な訳だが…とりあえず裁きを言い渡すぞ?と言っても…もちろん死刑なんだけど」と俺は壁にいまだ突撃している盗賊に向かって正清を振るおうとしたその時──
「ぐぅ…」
なんと、盗賊と俺の間に割って入った頭の男が俺の正清を体で受け止めたのだった
「頼む…俺はどうなっても構わない…だが…あいつらだけは……生かして…くれ…」
「お頭!」「お頭!死なないでくれ!」「おかしらああああああ!」
と涙を浮かべてお頭の男の元へ集まる盗賊達…そして痛みを堪えながらも必死に懇願するお頭に違和感を覚えた俺は「【リカバリー】」と念じてたった今正清で負った傷を癒してやることにした。そして俺は傷が塞がっていく事に驚愕して固まっているお頭の男に問う
「なぜそこまでする…それに先ほどスラムがどうとか言っていたな?あれはどういうことだ?」という俺の質問に無言で仲間と見つめ合うお頭の男に「悪いようには決してしないと約束しよう」と言って正清をインベントリへ収納して無手であることをアピールする──するとお頭の男はポツポツと語り始める
スラム暮らしのせいで仕事にありつけないこと、スラムで苦しむ人々のこと、増え続ける捨て子のこと…等々、そんな生活ができない者達を養うために仕方なく盗賊団を結成したこと…
《うぅぅ…私の力が及ばないばっかりに…このように人々が苦しむなんて…》
(お前…チョロすぎって言われないか?)
《雷斗さんは父母に人を疑えって教わって育ったんですか⁉》
(くぅ…それを言われると…チッ…わかったよ…)
「お前達の話は理解した…だが、ここの金庫の破壊に窃盗は認められない。盗んだ物は全て俺が預かるから渡しなさい」
俺の言葉に盗賊達はおずおずとそれぞれが持っていた盗品を俺の元へ持ってくる
俺はそれらを全てインベントリに投げ込む…物が瞬時に消えて無くなっていく様を顎が外れんばかりに口を広げてその光景を眺めていた男達に向かって
「それじゃあ…今からお前らの言う事が本当かどうか確かめに行くから俺をスラムへ案内しろ!もし本当であるなら温情を与えてやってもいい…」
という俺の言葉に渋々と言った様子でお頭を含めた男達は俺を案内するためにスラムへと移動したのだった──
俺と対峙した男は驚きに目を見開く──かと思いきや、いまだ同情したような顔で俺を見る
「そんなくだらない嘘なんて吐かなくてもいいんだぞ?俺たちが怖かったのなら謝るから…その剣?を置いて家に帰るんだ。今なら俺たちを見た事も無かった事にしてあげるから…な?」
明らかに俺を頭のおかしい人間だと決めつけている男に苛立ちを覚えた俺は正清を秋月の構えに持ち替え、正面の男へ向けて殺気を叩き付ける
「な…」と今度こそ驚きの表情に目を見開き、男は慌てて剣を構える。それを見た俺は口角を上げ…
「どうやら貴様の躰は正直なようだな。理性とは関係ないところで俺を認識しているぞ?」
くくく…と笑う俺を見て男の表情は今までの残念な子供に同情する顔ではなく、戦士のそれとしてキリッと引き締まった表情に変わった
《躰は正直…ウホッ!》(黙れ!ダ女神)
「どうやら俺は大きな勘違いをしていたらしいな…お前達!こいつは俺が食い止める!その間にお前達だけでも逃げるんだ!」
「お頭⁉」
目の前の男…どうやら盗賊の頭らしい…その頭の発言に他の盗賊達は驚きの声をあげる
「目の前の子供はとてもじゃないがお前達の敵う相手ではない!行け!スラムの皆を頼む!」
「お頭…ご武運を!」「お頭あああ!」
と叫びながら俺の横を通ろうとする盗賊達だったが──
「誰が逃げていいって言ったよ?【アースウォール】」念じて俺は通路を固い土の壁で閉じてしまう
盗賊達は突如出現した壁を慌てて壊そうと体当たりをするも俺が魔力を込めて作った壁はその程度ではビクともしない。その様子を見ていたお頭が突如俺へと斬り込んだ!
ガキィン!──俺の正清とお頭の大剣がぶつかり合い火花を散らす
「どうやらお前を倒さない限りここから生きて出られなさそうだな!」
「その通りだとするなら全員あの世の閻魔様に謁見する事になるんだが…な!」
ガキィン!ギィン!と甲高い音を立てながら斬り合う俺とお頭
「その剣…細身のくせに俺のバスターソードを受けて折れるどころか刃毀れすらしないのか…」
「俺の刀より…あんたの剣の方が先に折れそうだがな!ぜい!せや!どぉぉりゃぁぁぁ!」
ギン!ギャイン!ギャギン!と俺の剣撃をぎりぎりの所で受けるお頭の剣だが…正清の切れ味が段違い過ぎてあっさりと刀身が断ち切れてしまった
「まさか…剣を斬られるなんて思わなかったが…」と往生際が悪く折れた剣をいまだに構えるお頭
「さて…盗賊行為は立派な悪行な訳だが…とりあえず裁きを言い渡すぞ?と言っても…もちろん死刑なんだけど」と俺は壁にいまだ突撃している盗賊に向かって正清を振るおうとしたその時──
「ぐぅ…」
なんと、盗賊と俺の間に割って入った頭の男が俺の正清を体で受け止めたのだった
「頼む…俺はどうなっても構わない…だが…あいつらだけは……生かして…くれ…」
「お頭!」「お頭!死なないでくれ!」「おかしらああああああ!」
と涙を浮かべてお頭の男の元へ集まる盗賊達…そして痛みを堪えながらも必死に懇願するお頭に違和感を覚えた俺は「【リカバリー】」と念じてたった今正清で負った傷を癒してやることにした。そして俺は傷が塞がっていく事に驚愕して固まっているお頭の男に問う
「なぜそこまでする…それに先ほどスラムがどうとか言っていたな?あれはどういうことだ?」という俺の質問に無言で仲間と見つめ合うお頭の男に「悪いようには決してしないと約束しよう」と言って正清をインベントリへ収納して無手であることをアピールする──するとお頭の男はポツポツと語り始める
スラム暮らしのせいで仕事にありつけないこと、スラムで苦しむ人々のこと、増え続ける捨て子のこと…等々、そんな生活ができない者達を養うために仕方なく盗賊団を結成したこと…
《うぅぅ…私の力が及ばないばっかりに…このように人々が苦しむなんて…》
(お前…チョロすぎって言われないか?)
《雷斗さんは父母に人を疑えって教わって育ったんですか⁉》
(くぅ…それを言われると…チッ…わかったよ…)
「お前達の話は理解した…だが、ここの金庫の破壊に窃盗は認められない。盗んだ物は全て俺が預かるから渡しなさい」
俺の言葉に盗賊達はおずおずとそれぞれが持っていた盗品を俺の元へ持ってくる
俺はそれらを全てインベントリに投げ込む…物が瞬時に消えて無くなっていく様を顎が外れんばかりに口を広げてその光景を眺めていた男達に向かって
「それじゃあ…今からお前らの言う事が本当かどうか確かめに行くから俺をスラムへ案内しろ!もし本当であるなら温情を与えてやってもいい…」
という俺の言葉に渋々と言った様子でお頭を含めた男達は俺を案内するためにスラムへと移動したのだった──
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