ギャルゲーの脇役、情報通な彼に転生してしまった!~こうなったらヒロインの一人位は絶対に確保する!~

GARUD

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 やぁみんな。相澤遥輝改め、佐藤祐也だ。
 新しい家族、父親は年収500万前後の普通のサラリーマンで、母親は専業主婦だ。

 俺がセカンドライフを初めてから三年、幼稚園の入園式を迎えた。
 生まれて半年には寝返りを打ち、一歳になる頃には捕まり立ちを覚え、一歳半にはパパとママの発音が出来るようになった。え?普通だろって?そう言うなよ。ここまでで違いがあったらその赤ちゃんはエイリアンだよ。

 んで、二歳になる頃には親が買ってきた絵本を読み、親が見てない所で部屋の中で走り込み下半身を鍛える。
 そして三歳、さっきも言ったが幼稚園に入園した。
 そしてあっと言う間に一月が経った。

 目の前の鏡には園服をピシッと来た俺が映し出されている。
 赤み掛かった黒髪に、宝石のような黒い瞳、幼児にしては珍しくシャープに尖った顎、走り込みで引き締まった体。三歳児ならばもう少しぽちゃぽちゃしてるもんだが……まぁ問題ないだろう。
 俺は母親のお見送りの元、幼稚園のバスに颯爽と乗り込んだ。

「祐ちゃん。今日も頑張って~」
「うん!ママ、行ってきます!」

 そして幼稚園の運動の時間──

「にゅうやくんあしはやい~」
「ははは!当然だろ!だって俺は幼稚園最速の男だからね!」

 園内では運動会に向けて年少組は二十五メートル走の練習をしていた。
 
 俺は二歳から毎日欠かさず続けていた部屋での走り込みによって鍛えた下半身に前世で身に着けた知識によるオリンピック選手をイメージしたフォームを再現。
 これにより他の園児とは一線を画っした俺は幼稚園最速の男となり、園内ヒエラルキーは頂点に……って言ってて虚しい。と心の中でため息を吐く間にも

「ゆーやくんかっこい~!」
「ゆ~やく~ん」
「にゅ~いゃ~」

 などなど、女の子からの声援が背中にかかり、俺は堕ちた気持ちを隠し、ニコッと笑顔を作ると声援をくれた女の子達に振り向いて手をふるう。

「応援ありがとー」

「ゆ~や~!」
「ゆ~ちゃ~ん!」
「ゆ~だいちゅき~!」
「まるでアイドルの卵を見ているよう……」

 うむうむ。幼くとも女子よな。こら!俺と一緒に走った男の子!圧倒的に負けたからって泣かない!ほら先生も!俺のスマイルに見惚れてないで男の子のフォローをして下さいよ!

 そして音楽の自由時間では前世で遊んだゲームのBGMを弾いてみた!前世の動画投稿で鍛えたピアノテクを惜しげもなく披露。
 優しく弾くように奏でられた某ゲームBGMの街の音楽から一転、激しく叩くように打たれた鍵盤から奏でられたのはボスとの激しい戦闘を表現したBGM。
 ピアノを弾く俺の姿に幼女達は呆然としている。
  
「ゆ~やきゅん……」
「ゆぅくんしゅてき……」
「なんだタダの天才か……」

 先生!何か諦めた表情になってますよ!大丈夫ですよこれくらい!一ヶ月程一日二時間の睡眠を続ければ誰でも出来るようになりますって!無理ですか?そうですか。

 こうして俺は気が付くと幼稚園内では、ちょっとしたアイドルと化していた。

「祐ちゃん!ピアノ弾けるんだってね~!幼稚園の先生がすごい褒めてたわよ!」

 後日、母親にそう言われて思わずシマッタ!と頭を抱えた。
 そう、佐藤家にはピアノが無いのだ。
 よって俺がピアノを弾けるはずがないのだ。
 だと言うのにピアノを華麗に、そして激しく叩いていた俺は馬鹿の極。
 強くてニューゲームに浮かれて油断していたのだ。

「えっと……ピアノぼく弾けるよ!こうやってダンダンッ!て!」

 と俺は床に膝を着くと適当にフローリングを叩いて見せて、いかにも子供が適当に叩いているように見せた。

「あらあら~祐ちゃんすごいね!」

 パチパチと手を叩いてニコニコと笑顔で俺を見つめている母を見て、どうやら上手く誤魔化せたらしいと思い、こっそりと息を吐いた。当分自重しよう。

 その夜、俺は考えた。
 前世チートなど所詮は高校に入る迄の短い間の知識しかない。しかも俺はゲーム以外では平凡以下の能力しかない男子だったのだ。役に立つ物などタカが知れている。
 であれば、今の何でも吸収する頭脳を持つ幼児の段階で色々と学ばなければならないのではないか?──と。

 翌日、幼稚園から帰った俺は母親に頼み事をした。

「ママ~」
「な~に?祐くん」
「ぼく、英語のご本が読みたい!」
「ええ?!」

 そう、俺は思ったのだ。
 大人になって必要になる能力を今のうちに詰め込もう!と。
 まずは、世界共通言語の英語、そしてご近所の国の韓国語、中国語を覚える!
 これらの読み書き、発音が出来れば間違って独り身のまま高校を卒業しようとも就職に溢れる事は無い!

「そうね~……それじゃ、図書館に行きましょうか。祐ちゃん、自転車で行くから準備してね~」
「あい!」

 俺は園服から私服に着替えると、玄関に置いてある自転車に跨った。
 え?自転車に乗れるのかって?そりゃ前世チートで補助輪なぞ初めから有りませんでしたよ。え?自重はどうしたって?その時は何も考えてませんでした。すみません。

 よく考えたら三歳児が突然補助輪無しで自転車乗り回しとる!って考えたらコエーよな。

 一緒に練習するぞ!って張り切っていた父親は俺がサクッと漕ぎ始めるとポカーンと口を開けて立ち尽くしてたっけ……
 母親は必死にデジカメのビデオモードで俺を取り続けていたけどさ。
 ちなみに、その時の動画は父親がネットにアップ。それはアホみたいな再生数になっていた。
 タイトルは『三歳になった息子に自転車を買って一緒に練習した結果』だった。
 動画では補助輪なしのペダルなしの小型マウンテンバイクに跨った子供が地面をキックして進み、一度も転ぶ事無くスイスイと進み、父親がペダルを着け、漕ぎ方を説明するやいなや、子供はサクサクと漕いで乗り回し、最終的にドリフトを決めた所で映像が終わっていた。

 動画下部のコメントには

 アメイジング!
 なんだCGか……
 天才杉www
 出木杉君現るwww
 良くできた合成だ……
 一緒に練習……したてか?
 親父の居る意味w

 等など物凄い数の書き込みがあり、動画収入で一月分の給与が出たとかなんとか父親が小躍りしている所に母親が通帳を奪い去るというシーンが……その後父親は崩れ落ちていた。

 そして入園から三ヶ月、運動会

「それではこれから、年少組による駆けっこが始まります!おとうさん、おかあさん応援お願いします!」

 チャチャチャー!チャチャチャー!チャチャチャチャチャ!

 と、駆けっこの定番のBGMと共に前の組から順番に走り出す幼児達。俺の組は最後。
 俺の組に居るのは太めの幼児ばかり。
 それは何故か?恐らく運動が得意な子達が親の前で俺にぶっちぎられる事で、運動を嫌いになる事を避ける為に幼稚園側が妥協した結果だろう。
 どっちみち足が遅く、一着になれない子達なのだから、その子達を同じグループに入れて一位以外を奪い合って貰おうという算段だ。

 結果、幼児達の二十五メートル走としては有り得ない大差で俺はゴール。

「ゆぅしゃま……」
「ゆ~やくんかっこいい!」
「ゆ~く~ん!」

 幼女達の声に俺は一着の旗を手に取ると、その声援に応えるように彼女達に向かって笑顔で手を振る。

「「「きゃーーー!」」」

 飛び交う嬌声に呆然とする保護者達。
 こら母親!一緒になって黄色い声飛ばさない!そして父親!デジカメでムービー必死に取ってるけど、また動画で一山!とか思ってないだろうな?!

 後日──

 運動会の駆けっこの動画を懲りずにアップロードした父親。おいお前!え?ちゃんと他のお子さんにはモザイクかけてますって?なら良し!
 動画はスタートの合図と同時に俺が飛び出すと短距離走選手のようやフォームで一足飛びに抜け出した後大差の為か、そこからは俺しか映って居らず、そのまま一着でゴールテープを切る俺。
 そして黄色い声援に気が付いて旗を片手に笑顔で手を振る俺──で終わっている。
 タイトルは『幼稚園入園して初の運動会での駆けっこ!』

 動画下部のコメントでは

 だから合成やめろwww
 良くできたCGwww
 速すぎワロタw
 これは他の子が悲惨w
 接待駆けっこw
 何処のアイドル学園ですか?
 スマイルゼロエン!
 是非養子に(え
 ゆぅ君の微笑み爆弾!

 等など、多数のコメントで再生数がおかしくなっていた。
 前回の動画から引っ張れるように『三歳児の日常』というグループまで組んでいる。いつの間にかブログも立ち上げているのか、リンクが貼り付けてあった。父親の本気度が怖い。
 母親は動画収入でホクホク。父親はお小遣いアップをせがんで諭吉さん一枚アップしてもらっていた。
 しかし父よ、この調子で息子を使って動画職人になるんだ!とか言って母に離婚届を叩き付けられないようにな。
 
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