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今日はお母様とお父様は街へ視察に行かれるそうなので、私はアリスと庭でお茶をすることになった。

アリスは最近王妃教育を受けており、やや疲れた様子が伺える。
アリスは昔からどちらかというと、動いたりしている方が好きだったので、エマは勉強ばかりになったアリスが心配であった。

「アリス、王妃教育は大変じゃない?」
「勉強は少し退屈ですが、リアム皇太子殿下がよくしてくださいますし、大丈夫です。
お姉様と会える時間が減ったのが寂しいくらいです。」

アリスは少し頬を膨らませながら、拗ねた表情をする。そんな表情ですら可愛いなんて流石はアリスだとエマは思った。

久しぶりの妹と2人きりの時間はとても楽しく、時間が経つのが早かった。

しばらくして、まだお父様たちが帰ってきていないことに気づいた。
いつもは夕飯前に視察を終わらせ、一緒に食事を囲んでいるため、夕食どきでも帰ってこないのは珍しかった。
エマは視察が忙しいのだろうと、アリスと2人で食事を済ませ、先に寝ることにした。

寝る準備を済ませ、ベットに入ろうとしていると、執事が血相を変えて部屋に入ってきた。いつも冷静な執事が、こんなに取り乱すなんて何事かと心配になる。

「お嬢様、落ち着いて聞いてください。ご主人様と奥様が、視察の帰り道馬車の事故に遭われ、亡くなりました。」
「え、そんな、、まさか、」

エマは執事が何を言っているのか、理解できなかった。いつもの視察に出かけたお父様とお母様が亡くなったなんて受け入れられなかったのだ。

アリスも同じ話を聞いたのだろう、大粒の涙を流しながら、駆け寄ってくる。
「お姉様、お父さまが、、お母様が、亡くなったなんて嘘ですよね?
私たちこれからどうすればいいのでしょうか」

エマは自分自身もこの現実を受け入れられていないものの、妹をなんとか安心させようと抱きしめながら、声をかける。
「アリス、大丈夫よ、きっと大丈夫。
お姉様がなんとかするからね。」

しばらくしてアリスは夜が遅かったのと、泣き疲れてしまったのか、腕の中で眠ってしまった。
私はアリスを侍女に託し、寝室に連れてってもらえるようにお願いした。

これまでアリスを慰めるのに必死で、涙を見せていなかったエマも、ひとりになった途端涙が止まらなくなった。

エマたちは祖父母はすでに亡くなったことは聞かされていたが、他の親族にあったことはおろか、話すら聞いたことがなかった。

せめて14歳になっていればこの国では、跡を継ぐことも許されるのだが、エマはまだ12歳であり、とても領地を告げる年齢ではない。教育を受けていようと、後継者であろうと、年齢が満たないことには許されないのだ。

エマはこれから自身に降りかかるであろう困難に不安を感じながらも、妹を守るためもう弱いところは見せまいと強く決心した。
ここでエマにも流石に疲れが現れたのか、気づいたら眠ってしまった。
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