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7(リアム皇太子殿下視点)
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「リアム皇太子殿下!
本日はお誕生日おめでとうございます!」
「ありがとう。これからも一緒に国を支えてくれ。」
今日何度目かのやりとりに、内心うんざりしながら、完璧な笑顔を貼り付け対応する。誰がいつ敵になるか分からない王宮で、失態を見せることは許されない。
今日の僕の誕生日パーティーは、僕を祝うためのものというよりは、みな僕を品定めし今後も王宮についていくか決めるためのものなのだと父上からも聞いている。
14歳からしかパーティーに参加できないこの国では、同世代はおらず、裏で何を考えているか分からない大人の相手ばかりは正直疲れる。
それにあろうことか、婚約者のいない僕にみな娘を勧めようと必死なのだ。娘もまた自分が皇后になりたいためなのか、10歳の少年にどうしてそんな目ができるのか不思議なくらい、誘うような目で見てくる。
正直鳥肌がたった。当分は婚約者など必要ないと父上にも相談しようと本気で思った。
現実逃避するために僕は唯一の友と呼べる存在でもある、隣国の皇太子殿下のことを考える。
彼は僕より3つ年上で、兄のような存在でもあり、同じ悩みを共有できる唯一無二の存在だ。
我が国が、隣国との交流を深めたいがために、僕たちは頻回に互いの国を行き来しているが、そのおかげで僕は素敵な友達を持つことができた。
今日は彼がいればもう少し楽しかったのだろうと思うが、彼もまたパーティーに参加できる年齢ではない。
友のことに思いを馳せていると、何やら可愛らしい少女がピアノ演奏を始めるらしい。
なぜ同世代の女の子がこのパーティーに参加できているのか疑問に思い、彼女に興味が湧いた。
演奏が始まり驚いた。あんなに退屈だったパーティー会場が、一気に花畑に変わったのではないかと錯覚してしまう程、華やかな演奏だった。
演奏が終わり、彼女が微笑み挨拶をした時には、その可愛い笑顔に思わず見惚れてしまった。
弾き終わった彼女に、貴族たちが群がるのを見て、彼女が他の人に取られることに焦りを覚えて、父上に彼女は誰なのか、直接お礼が言いたいことを伝えた。
これまで人に対して全く興味を示してこなかったため、自分の息子がこんなに興味を示していることが嬉しかったのだろう、父上は笑顔を見せ、すぐに僕と父上は彼女に話しかけに向かった。
彼女は近くで見るとより可愛らしく、僕は初めて一目惚れをしてしまったのかもしれない。
皇太子殿下が王宮に直接女性を誘うことは、婚約者候補に誘うことだと知りながらも、彼女との仲を深めたい一心で彼女を城に誘ってしまった。
パーティーが終わり数日して、彼女が王宮にやってきた。
「リアム皇太子殿下にご挨拶申し上げます。」
「そんな硬い挨拶をしないでよ。
僕は君と仲良くなりたいんだ。」
どこか一線を引いたような挨拶に、やはり迷惑だったのではないかと少し傷つきながらも、僕は務めて優しく振る舞った。
慣れてくると彼女は想像以上に活発な性格だと分かった。彼女と一緒に庭を駆け回ったりもした。
彼女との時間は楽しく、どんどん惹かれていってることを感じた。
その後も何度か交流を続けるうちに彼女とは大分仲良くなれた。
彼女も私のことを悪くないと思ってくれたためか、正式に婚約者になることができた。
私は彼女のためにより良い皇帝陛下になることを心に誓ったのだった。
本日はお誕生日おめでとうございます!」
「ありがとう。これからも一緒に国を支えてくれ。」
今日何度目かのやりとりに、内心うんざりしながら、完璧な笑顔を貼り付け対応する。誰がいつ敵になるか分からない王宮で、失態を見せることは許されない。
今日の僕の誕生日パーティーは、僕を祝うためのものというよりは、みな僕を品定めし今後も王宮についていくか決めるためのものなのだと父上からも聞いている。
14歳からしかパーティーに参加できないこの国では、同世代はおらず、裏で何を考えているか分からない大人の相手ばかりは正直疲れる。
それにあろうことか、婚約者のいない僕にみな娘を勧めようと必死なのだ。娘もまた自分が皇后になりたいためなのか、10歳の少年にどうしてそんな目ができるのか不思議なくらい、誘うような目で見てくる。
正直鳥肌がたった。当分は婚約者など必要ないと父上にも相談しようと本気で思った。
現実逃避するために僕は唯一の友と呼べる存在でもある、隣国の皇太子殿下のことを考える。
彼は僕より3つ年上で、兄のような存在でもあり、同じ悩みを共有できる唯一無二の存在だ。
我が国が、隣国との交流を深めたいがために、僕たちは頻回に互いの国を行き来しているが、そのおかげで僕は素敵な友達を持つことができた。
今日は彼がいればもう少し楽しかったのだろうと思うが、彼もまたパーティーに参加できる年齢ではない。
友のことに思いを馳せていると、何やら可愛らしい少女がピアノ演奏を始めるらしい。
なぜ同世代の女の子がこのパーティーに参加できているのか疑問に思い、彼女に興味が湧いた。
演奏が始まり驚いた。あんなに退屈だったパーティー会場が、一気に花畑に変わったのではないかと錯覚してしまう程、華やかな演奏だった。
演奏が終わり、彼女が微笑み挨拶をした時には、その可愛い笑顔に思わず見惚れてしまった。
弾き終わった彼女に、貴族たちが群がるのを見て、彼女が他の人に取られることに焦りを覚えて、父上に彼女は誰なのか、直接お礼が言いたいことを伝えた。
これまで人に対して全く興味を示してこなかったため、自分の息子がこんなに興味を示していることが嬉しかったのだろう、父上は笑顔を見せ、すぐに僕と父上は彼女に話しかけに向かった。
彼女は近くで見るとより可愛らしく、僕は初めて一目惚れをしてしまったのかもしれない。
皇太子殿下が王宮に直接女性を誘うことは、婚約者候補に誘うことだと知りながらも、彼女との仲を深めたい一心で彼女を城に誘ってしまった。
パーティーが終わり数日して、彼女が王宮にやってきた。
「リアム皇太子殿下にご挨拶申し上げます。」
「そんな硬い挨拶をしないでよ。
僕は君と仲良くなりたいんだ。」
どこか一線を引いたような挨拶に、やはり迷惑だったのではないかと少し傷つきながらも、僕は務めて優しく振る舞った。
慣れてくると彼女は想像以上に活発な性格だと分かった。彼女と一緒に庭を駆け回ったりもした。
彼女との時間は楽しく、どんどん惹かれていってることを感じた。
その後も何度か交流を続けるうちに彼女とは大分仲良くなれた。
彼女も私のことを悪くないと思ってくれたためか、正式に婚約者になることができた。
私は彼女のためにより良い皇帝陛下になることを心に誓ったのだった。
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