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16(アーサ•ムーア視点②)
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その少女は私と同い年か、少し年下くらいであろうに、博識でムーア帝国の民族衣装についても知っているようであった。
少女は小さくも、優しく逞しい背中をしていた。少女は美しいシルバーヘアーをしており、きっとどこかの貴族の娘なのであろう、上品なドレスを身に纏っていた。
この国の貴族なのに、褐色肌の私を庇ってくれるなんて、と驚いた。そして、彼女が振り返り、笑顔で私に手を差し伸べた際、私はこれまで感じたことのない胸の高鳴りを感じたのを覚えている。
私を助けるために両親に何も告げず急いで来てくれたためか、その後来た父親に怒られ、落ち込んでいた。
彼女を慰めようと話しかけたが、どこか焦っていたのだろう、ムーア国語で話してしまい、彼女にうまく伝えることが出来なかった。
そのあとは私のことを知っていた彼女の父に王宮に連れて行ってもらい、ことなきを得た。だがそれ以降、街に出かけることは許してもらえなくなり、エストレジャに遊びにきても王宮内だけで過ごすことになったため、彼女に会えずじまいだった。
「そんなに気になるなら、僕に特徴を教えてくれたっていいだろ!
そしたらきっと彼女を探す手助けだってできるのに!」
リアムは彼女探しを手伝ってくれると言うが、私はその申し出を断っていた。
リアムは優しい上に、見た目にも文句のつけどころがない。いくら彼に大好きな婚約者がいようと、リアムが先に彼女に会ってしまったら、彼女はきっと私ではなくリアムを好きになるだろう。
私自身もムーア帝国では、帝国一の花婿候補として、求婚が絶えない身であるが、エストレジャにおいて、褐色肌の私は婚約者として受け入れづらいであろう。私はリアムに勝てる自信がないのだ。
「必ず彼女を見つけ出すから心配ない。」
「そんなこと言ったって、アーサが毎年 彼女を探すために、貴族の14歳の女の子がみんな集まるデビュタントパーティーに参加しているのを知らないと思っているのか?
それに今年のパーティーでも見つからなかったそうじゃないか!
もはや、来年に来る子は年齢すら合わないだろう?」
「わかっているさ。
だから今年は王宮で開かれる収穫祭のパーティーに参加させて欲しい。
それで見つからなければもう諦めるよ。私ももう来年で20歳だ。そろそろ身を固めなければ皇太子殿下として示しがつかないからね。」
私は自分自身に言い聞かせるようにリアムに言った。
「ったく、そんな辛そうな顔で自分に言い聞かせるくらいなら頼ってくれたらいいのに。
わすれるなよ、僕は君をほんとに応援しているんだからな!」
「ありがとう、助かるよ。」
そして私は思い出の彼女が次こそパーティーで見つけられるように祈りながら、エストレジャの収穫祭パーティーの日を待った。
少女は小さくも、優しく逞しい背中をしていた。少女は美しいシルバーヘアーをしており、きっとどこかの貴族の娘なのであろう、上品なドレスを身に纏っていた。
この国の貴族なのに、褐色肌の私を庇ってくれるなんて、と驚いた。そして、彼女が振り返り、笑顔で私に手を差し伸べた際、私はこれまで感じたことのない胸の高鳴りを感じたのを覚えている。
私を助けるために両親に何も告げず急いで来てくれたためか、その後来た父親に怒られ、落ち込んでいた。
彼女を慰めようと話しかけたが、どこか焦っていたのだろう、ムーア国語で話してしまい、彼女にうまく伝えることが出来なかった。
そのあとは私のことを知っていた彼女の父に王宮に連れて行ってもらい、ことなきを得た。だがそれ以降、街に出かけることは許してもらえなくなり、エストレジャに遊びにきても王宮内だけで過ごすことになったため、彼女に会えずじまいだった。
「そんなに気になるなら、僕に特徴を教えてくれたっていいだろ!
そしたらきっと彼女を探す手助けだってできるのに!」
リアムは彼女探しを手伝ってくれると言うが、私はその申し出を断っていた。
リアムは優しい上に、見た目にも文句のつけどころがない。いくら彼に大好きな婚約者がいようと、リアムが先に彼女に会ってしまったら、彼女はきっと私ではなくリアムを好きになるだろう。
私自身もムーア帝国では、帝国一の花婿候補として、求婚が絶えない身であるが、エストレジャにおいて、褐色肌の私は婚約者として受け入れづらいであろう。私はリアムに勝てる自信がないのだ。
「必ず彼女を見つけ出すから心配ない。」
「そんなこと言ったって、アーサが毎年 彼女を探すために、貴族の14歳の女の子がみんな集まるデビュタントパーティーに参加しているのを知らないと思っているのか?
それに今年のパーティーでも見つからなかったそうじゃないか!
もはや、来年に来る子は年齢すら合わないだろう?」
「わかっているさ。
だから今年は王宮で開かれる収穫祭のパーティーに参加させて欲しい。
それで見つからなければもう諦めるよ。私ももう来年で20歳だ。そろそろ身を固めなければ皇太子殿下として示しがつかないからね。」
私は自分自身に言い聞かせるようにリアムに言った。
「ったく、そんな辛そうな顔で自分に言い聞かせるくらいなら頼ってくれたらいいのに。
わすれるなよ、僕は君をほんとに応援しているんだからな!」
「ありがとう、助かるよ。」
そして私は思い出の彼女が次こそパーティーで見つけられるように祈りながら、エストレジャの収穫祭パーティーの日を待った。
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