没落令嬢姉妹は『ざまぁ』の後に愛される~王子様からの愛など必要ありません~

桃崎 ジュリ

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case1 ゼノヴィア編

第1話

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 真昼間の路地裏。いくら昼間と言え、その場は薄暗かった。そこで、向かい合う人影。しばらくして、一人の方が言葉を発した。

「キミが……ゼノヴィア=エリンスワースだね」

 その言葉は、問いかけのように思えたがまるで決定事項を述べているように感じられた。それを聞いたのは美しい金色の髪を持つ女性。しかし、彼女は笑顔を崩さずに対応した。

「……どなた様でしょうか?」

 二十歳前後に見える彼女は、実は目の前の男の正体を知っていた。それでも、分からないふりをしたのはせめてもの抵抗の現れだった。思い通りになってたまるか、そう言った気持ちが見て取れる。

 ゼノヴィア=エリンスワース。それは、この金色の髪をした女性の、元の名前だった。立派な家名だが、今の彼女はそれに似つかわしくないような質素な容姿をしていた。平民が着るワンピースに身を包み、地味な格好をした彼女。しかし、それでもどこか隠しきれない気品や美しさを持ち合わせているようにも、思える。

 彼女の家は、エリンスワース侯爵家と言う立派な貴族の家だった。しかし、それももう二年前の話になる。

「……私はエデン、と言う名前ですわ。裏社会で情報屋ファミリー『フォリー』を纏めている女ボス。それ以外の名前や肩書きは一切ありません。生まれも育ちも、裏社会なんですから」

 そう笑顔を向けてみるも、目の前の男は意味ありげな笑みを浮かべるだけだった。美しさをも兼ね備えている目の前の男は、優雅に視線を横にやる。

「そんな嘘はやめた方が良いと思うよ。ゼノヴィア=エリンスワース。いや、今はエデンと呼んだ方が良いのかな。まぁ、どっちでもいいや。僕の正体を知っているくせに、知らないふりはよくないと思うよ?身の為にも、ね」

 その言葉に、女性は表情を崩して真剣な顔になった。そして――。

「……そうですわね。ノエル様。いささか、貴方様を知らないという嘘は、国民としてあり得ないことでしたものね。オウジサマ?」

 と言うのだった――。
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