このたび、小さな龍神様のお世話係になりました

一花みえる

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めぐる雨【2月長編】

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   坂口さんから地図をもらい、念の為道順も教えてもらって次は織田さんのところに向かいます。織田さんの織田さんのお家は、このお山のふもとに向かう途中にあるそうです。
    目印につばきの生垣があるので、それが見えるまで地図をよく見ろ、と坂口さんは言っていました。なるほど、つばきですね!    わかりました!    つばきが何かわかりませんが!
「あのね、しらたき。前にりょーたが読んでくれた絵本にね、おかしのいえがでてきたんだよ」
    ほほう。それはすごいですね。おかしのお家だなんて本当にあったら、きっとご主人は大喜びですね。
    一体どんなものなんでしょう。
「びすけととか、ちょことか、あめとかでできてるんだって」
    なんと!    どれも美味しそうですね!   ちょこと言えばこの前みなさんで食べていましたね。とても美味しそうでした!    いつかぼくも食べてみたいです。
    その前にまずは織田さんのおうちですね。しっかり地図を見ましょう、ご主人。
「んー、こっち!」
    ご主人は元気よく指さした方に歩いて行きます。なるほど、こっちですね!    もちろんぼくもついていきますよ!
    少しだけ重たそうに、ご主人はかばんを持っています。大事な大事なお野菜ですもんね。落とさないようにしましょう。
    このあたりはどこも同じような景色なので、迷子になると大変そうですね。
    などと思っていると、背中の方からガサガサ何かが動く音がしました。一体なんでしょう。
「みぃ?」
    不思議そうにご主人が首をかしげ、音のした方に歩いて行きます。あれあれ、大丈夫ですか?    そっちは反対なんじゃないですか?
「だれー?    ちびちゃ?」
    がさがさ、まだ音がしています。それを追いかけているうちに、なんだか見慣れた場所に出てきました。
    あ!    ここ、知っています!    りょうたさんと一緒に歩いている時に見たことがあります!    ということはこっちの道が正しいのですね!
「なんだったんだろうね、しらたき」
    そうですね、不思議ですね。
    でもこれで迷子にはならなそうです。
「おみも、ぱんちぎればよかった」
    ぱん?    それはたまに朝ごはんで食べている、あのパンですか?    どうしてパンをちぎるのですか?
「絵本でね、ぱんちぎってたの。まいごにならないように」
    へえぇ。そんなお話なんですね!    しかもお菓子のお家が出てくるなんて、きっとその絵本はとてもおもしろいのでしょう。
    ご主人がぼくの頭をぽんぽん撫でてくれます。んふふ。きもちいいです。
「おみには、しらたきがいるから。だいじょーぶ」
    そうですよ。ぼくがいますからね。いつでもぎゅーっとして、頭を撫でていいですからね!
    織田さんのお家まではまだまだ続きます。休憩しながらのんびり歩きましょう!
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