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喜雨【7月長編】
【サーフィン】
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「みゃー!」
「あー」
間抜けな悲鳴と共に、ぼちゃんと銀色の毛玉が海に落ちた。一時間前は得意げに「おみ、さふぃんできるよ!」と言っていたのに。やはり久しぶりだったからだろうか。それとも生来の運動音痴か。
波に乗るどころか浅瀬でバシャバシャ暴れていた。
「あれー?」
「おみ、もう忘れたと?」
「わすれてない! おみ、さふぃんできたもん!」
「そうやねぇ」
半べそでサーフボードを引きずり、それでも諦めることなく再び海へと向かっていく。昔はすぐに「もうやだあぁ」と泣いていたのに。成長したんだなぁ。
そんな様子をパラソルの下で見守る。ちゃんと見てるよ、と視線で伝えれば、おみが「ふん!」と意気込んだ。
「やはり期間を開けすぎたか」
「前回から、ですか?」
「そうだ。三ヶ月……いや、一ヶ月にしておけばよかった」
「それは……あはは」
おみのことが大好きなおいちさんは、冗談とは思えない表情でそんなことを言っている。宗像は好きだし、いつでも来たいとは思っているが。
そんなにも頻繁に山を離れるとおみの霊力が不足してしまう。なかなか難しい話だ。
「むあー! なみー!」
「そう、波の声を聞くんよ!」
「なみさーん! おみを、のらせてー!」
「頑張れ、おみは海の子やけ大丈夫」
「うみのこ? みっ、みゃー!」
おみが、頭から海に落ちた。
頑張れ、海の子。きっとお前なら波と仲良くなれるよ。
「あー」
間抜けな悲鳴と共に、ぼちゃんと銀色の毛玉が海に落ちた。一時間前は得意げに「おみ、さふぃんできるよ!」と言っていたのに。やはり久しぶりだったからだろうか。それとも生来の運動音痴か。
波に乗るどころか浅瀬でバシャバシャ暴れていた。
「あれー?」
「おみ、もう忘れたと?」
「わすれてない! おみ、さふぃんできたもん!」
「そうやねぇ」
半べそでサーフボードを引きずり、それでも諦めることなく再び海へと向かっていく。昔はすぐに「もうやだあぁ」と泣いていたのに。成長したんだなぁ。
そんな様子をパラソルの下で見守る。ちゃんと見てるよ、と視線で伝えれば、おみが「ふん!」と意気込んだ。
「やはり期間を開けすぎたか」
「前回から、ですか?」
「そうだ。三ヶ月……いや、一ヶ月にしておけばよかった」
「それは……あはは」
おみのことが大好きなおいちさんは、冗談とは思えない表情でそんなことを言っている。宗像は好きだし、いつでも来たいとは思っているが。
そんなにも頻繁に山を離れるとおみの霊力が不足してしまう。なかなか難しい話だ。
「むあー! なみー!」
「そう、波の声を聞くんよ!」
「なみさーん! おみを、のらせてー!」
「頑張れ、おみは海の子やけ大丈夫」
「うみのこ? みっ、みゃー!」
おみが、頭から海に落ちた。
頑張れ、海の子。きっとお前なら波と仲良くなれるよ。
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