いきなり有能になった俺の主人は、人生を何度も繰り返しているらしい

一花みえる

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2章

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 三日後、予定よりも随分と早くヤコフ爺さんから武器が届けられた。その武器は桐の箱に入れられ、柔らかい紙で包まれていた。柄には革紐が巻かれ、鍔は美しい金で作られている。何よりも驚いたのは、その刀身だ。片刃だとは聞いていたが、サーベルとは違い表刃に美しい白い波のような模様が描かれていた。よく見るとそれは着色料で色をつけたわけではなさそうだ。

 それにしても、なんて美しい。俺は武器に美しさを感じたことはないが、これは思わず見惚れてしまうほどだ。

「素晴らしい、ヤコフ! 君は天才だ!」
「いやぁ、ノア様にそこまで褒められると照れちまいますねぇ」
「まさか本当に作り上げるなんて……! 重さもちょうどいい。本当にありがとう、ヤコフ」

 頬を高揚させるノア様は、届いたばかりの武器を持って光にかざした。

「それにしても変わった作り方でしたなぁ。裏に粘土を塗って焼くとは」
「サーベルとの違いはそこかもね。こうすることで両サイドに強度の差ができるんだ」

 ヤコフ爺さんに何度も礼を言い、当初よりも倍ほど多い金額を渡して見送った。俺が普段使っているロングソードと長さも重さもほとんど変わらない。しかし刀身の輝きが段違いだ。

 武器と一緒に頼んでいた木刀も届いたため、さっそくそれで手合わせをすることになった。どうやら木刀というのは言葉通り、木で作られた刀のことのようだ。武器と同じ重さ、長さをしており、簡素な鍔が付けられただけの質素なものだ。

「ああ、この感じ。久しぶりだなぁ」
「お、俺は初めて見ましたが」
「ジョシュアはそうかもね。僕もこの世界では初めてだよ、木刀と刀を手に入れたのは」

 もしかすると、タイムリープとやらの話をしているのだろうか。ノア様が言っていた、何度もこの物語を繰り返しているという話。いまだに信じることはできないが、ノア様はたまにこうして俺の知らないことを話したりする。
 今はもうあまり気にしないようにしているし、ノア様もそれを非難することもない。どこか噛み合わない会話を、こうして時々交わしているだけだ。

「さ、早く手合わせをしよう!」
「わわ、ノア様! お待ちください!」

 ノア様は嬉しそうにさっさとジャケットを脱ぎ捨て、麻で作られた訓練着に着替え始めた。以前よりも少しだけ筋肉がついて逞しくなった腕が、なぜだか目に眩しかった。
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