おお勇者よ、封印を解くとは何事だ!?

半熟紳士

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第16話 神の恵み

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 嘘だろ・・・・・・?

 なんでこんな所にフレッサが!?

 いや、あいつも冒険者な訳で、ここにいたとしても不思議ではないんだけど・・・・・・

 地獄に仏、ならぬダンジョンにフレッサ。

 いやもう、地獄に鬼レベルの災厄だ。地獄に鬼が居るのはあたりまえなんだけど!

「蛍と一緒にクエストに出かけていたら、あやつのドジで迷ってしまっての。」

 おい、テメーのドジだろうが。

 どれだけ人のせいにすれば気が済むんだ。

「ハァ? ったく、バカだなアイツ。」

 おいおいおい!

 真に受けんなよ!

 声に出したい気分は山々だけど、隠密スキルが解けてしまうので、ぐっとこらえるしか無い。

「つーかガキンチョ、オマエこんな所にいて大丈夫なのかよ?」

「うむ、心配いらぬ。こう見えてもレベル3じゃしの。」

 ばかー!

 いや、でもレベル5だって言わなかったのは行幸だけど、それでもレベル3ってのは・・・・・・!

「ハァ!? レベル3!? オマエがかよ!」

 予想通り、フレッサは目を見開いて驚愕していた。

 そりゃそうか。

 エアリの見た目でレベル3を自称するなんて、冗談にしか聞こえまい。

「? 別に不可解な話ではあるまい、小娘。お主だってレベル3であろう? なら、妾のレベル3であっても問題なかろう。」

 そりゃフレッサの場合は、特別だ。

 転生者でも無いのに、冒険者を始めてから僅か1ヶ月でレベル2に、そしてその翌年、レベル3になった、最速記録保持者だ。

 エアリの、まるでバカボンのパパみたいな無茶苦茶な論理で納得させられるものでは無い・・・・・・

「う、う~ん、そう言うモンなのか・・・・・・?」

 納得していた。

 そういやコイツ、バカだっけ。

「そじゃそじゃ。ところで、お主こそここで何をしてるのじゃ?」

「そりゃ、クエストに決まってんだろ。丁度帰ろうとしていたトコだったんだが・・・・・・あれ、あのアホはどこだ?」

「うん? あのアホはのう・・・・・・あれ、どこじゃ?」

 はいどうも、あのアホです。

 キョロキョロしている2人にピースサインをした。

「参ったのう・・・・・・あやつめ、隠密スキルを使っておるな。」

 大正解、なるべくフレッサとは関わりたくないしね。

 だって、だいたい難癖付けてくるんだもん。

 そんなわけで、この場はやり過ごすために、僕はフレッサ達から少し離れた場所でうずくまっているのであった。

「にゅにゅにゅ・・・・・・! どんだけこの小娘が苦手なんじゃ蛍の奴。しかし困ったのう。アレを発動されては妾は見つけることが出来ぬ。」

 思案顔のエアリとは対照的に、フレッサはニヤリと不敵に笑う。

「なーに、簡単だ。そこら辺片っ端から殴っていきゃあ、そのうち当たんだろ。」

 なんとも脳筋爆発な回答である・・・・・・

 ってヤバない!?

 無駄にカンのいいフレッサのことだ。

 一発で辺りを引く可能性がある。

「おーい、蛍。出てくるんじゃったら今のうちじゃぞー そうすれば、この小娘もぶん殴らないぞー な、殴らんであろ?」

「バカヤロ、殴んに決まってんだろが。」

 決まってんのかよ・・・・・・

 おい、ヤバいぞこれは。

 隠れてても殴らるし、いよーっすと出てきても殴られる。

 なんだコレ、遭遇したら即バットエンドかよ!

 逃げようにも、出口にはたどり着けないし、もう完全に八方ふさがり

「だぱぁ!?」

 顎が関節から外れ、そのまま旅立ってしまったような、そんな錯覚を覚えた。

「お、一発で当たりやがった。」

「ほほう、お主さては心眼スキル持ちか。なかなか、大した物じゃのう。」

 ぐおおおと、のたうち回る僕を尻目に、エアリは素直に感心していた。

「お、おいエアリ・・・・・・す、少しは心配したらどうなんだよ・・・・・・」

「阿呆、すぐこの小娘を避けようとするからじゃ。」

 呆れた顔で、僕の頭をぐりぐりと踏みつけるエアリ。

 見た目はロリの魔王に、足蹴にされている男って、なかなかシャレにならんよな。

「いつつ・・・・・・よ、よおフレッサ。」

 遅まきながら、目の前の拳闘士に挨拶をした。

「よお、チキン野郎が。テメー、なんでこんな所にいるんだよ。」

 殺意100パーセントな目で、こっちを睨んでくるフレッサ。

 やっぱり、僕とエアリの扱いの差がありすぎませんかね、この脳筋。

「そ、そりゃあまあ、僕は腐っても冒険者だからな。冒険に行くことは当然だろ?」

「オマエの場合、腐ってもっつーより、腐りきってもって感じだよな。」

 ぐぬう。

 無駄に上手いじゃないか。

 ぐりぐりとされながら、僕は素直に感心した。

「こらエアリ。人様の頭を踏みつけてぐりぐりするなんて失礼じゃ無いか。さっさとどけろ。」

「む? よいのか。てっきりお主の頬が緩みきっておるから、喜んでくれたと思ったんじゃがの。」

「嘘だー! おい、フレッサもゴミを見るような目で見るなよ!?」

 これじゃあ、僕がドMみたいじゃないか!

「へ、テメーなんざゴミ以下だ。転生者の癖にその力を隠してチョロチョロと楽な仮ばっかりしてやがんだからな!」

 びしっと指をさす自信満々なフレッサちゃん。

 うわー面倒くさいよー

「あのな、おまえは僕を過大評価しすぎなんだよ。僕は他の転生者みたいに特別な力は持っていない。だから、楽な狩りばっかやっているんだよ。オーケイ?」

「ノーに決まってんだろが。じゃあ、あのサーモン・ハンターの件はB一体なんなんだっつーの!」      

 やっぱりそれかー・・・・・・

 まあ半分予想していたけど!

 助けを求めてエアリを見ると、死んだふりをしていた。

 もっと上手いごまかし方を見つけてほしいものだよ、本当に。

「い、いや、それは・・・・・・」

「それは、なんだよ?」

 畜生、これじゃあ6話か7話の繰り返しじゃないか!

 まあ、いつもこいつとは似たようなやりとりばっかりなので、今に始まったことじゃあ無い。「えー・・・・・・うー・・・・・・」

 エアリに、SOSのサインを送るが、白目をむいているエアリはピクリとも動かなかった。

 随分な板の付きようである。

 って、感心している場合か。

「さあ、教えやがれ! テメーのすべてをな!」

 おい、なんかすっごい誤解を招きそうな台詞やめーや。

 しばらくしたら、自分の言った台詞の恥ずかしさのあまり、その場でもだえ苦しむことになるぞ、マジで。

 ああ、本当にもう!

 神様! この状況をなんとかしてください――!



 そのとき、不思議なことが起こった。



「ん?」

「お?」

「死ーん」

 ドドドドド、と地響きが接近してくる。

 ま、まさか・・・・・・!

「ギエエエ!」

「クルルルルル!」

「キョエエエエ!」

 どうやら、神様は僕の願いを聞き入れてくれたようだ。

 ただ、一つ問題があるとすれば、それは余りにも過激な方法だったと言うことだろう。

 そうだよな。

 そりゃあモンスターの群れが迫ってくれば、フレッサだって僕を問い詰め続けることは無いだろうよ!

「いーやー!」

「ったく、なんでモンスター共が!?」

「死ーん」

「もう死んだふりやめろ! ふり、じゃなくなるから!」

 わーぎゃーと、ダンジョンでは、新たな戦いの火蓋が切られたのであった――!



 ・・・・・・うん、もう帰りたい。

 もう、早くベッドで横になりたい!

 モンスターにもみくちゃにされながら、心の底からそう思った。
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